一坪共有地裁判 目的は空港計画撤廃 小長井弁護士 、共有運動を証言

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週刊『前進』08頁(2705号04面04)(2015/11/09)


一坪共有地裁判
 目的は空港計画撤廃
 小長井弁護士 、共有運動を証言


 10月29日、千葉地裁民事第5部(鹿子木康裁判長)で一坪共有地裁判の弁論が開かれた。この裁判は、反対同盟の鈴木幸司さん(故人)、いとさん夫妻が共有権を持つ駒井野の一坪共有地について、2006年に千葉県が明け渡しを求めて起こした訴訟である。
 この日は、三里塚芝山連合空港反対同盟発足当初の顧問弁護団長であった小長井良浩弁護士が証言に立ち、一坪共有地運動について全面的に明らかにした。弁護団の葉山岳夫弁護士が主尋問を行った。
 「新東京国際空港」は当初千葉県富里市に内定し、地元では反対運動が急激に活発化した。こうした中で若き日の小長井弁護士は、社会党議員の依頼によって富里空港反対運動の顧問弁護士となった。そこで新たな闘いの方法として始められたのが一坪共有地運動であった。小長井弁護士は、当時の社会党議員から示唆・助言を受けて「富里に土地を持つ会」を創生した。地元から提供された土地一筆ごとに組合契約を結び、土地は組合員全員の共有となった。組合の事業目的は「空港設置に反対する」と、明白であった。
 富里案が反対運動の力で阻止され、新たな予定地が三里塚に閣議決定された。66年に反対同盟が結成され、戸村一作委員長の依頼で、小長井弁護士は三里塚でも顧問弁護士を引き受けた。富里の成果を踏まえ、ほぼ同じ会則の「三里塚周辺に土地を持つ会」をつくった。目的は空港計画の撤廃であり、共有者は2千人以上に拡大した。
 71年の第1次、第2次強制代執行との闘いでは、反対同盟は一坪共有地に立てこもって実力闘争を闘った。
 小長井証人は富里と三里塚を貫く一坪共有地運動の全体像を、当事者だけが再現できるリアルさで語り、県が一坪運動を「土地を使用する目的がない」と言いなし、利益を生む事業にしか意味を見出せないことに痛烈な一撃を加えた。
 千葉県は、あせって反対尋問に入ったが、無意味な問いをいくつか投げただけで終わった。
 証人尋問が終わると裁判長が原告・千葉県に対し、「千葉県が取得したら、土地はどのように扱われるのか。今後の見通しを具体的に明らかにせよ」と強く要求した。
 原告・県の代理人弁護士は、予想もしていなかった要求が裁判長から突然出されて顔色を変えた。「全面的価格賠償方式で一坪共有地を奪い取る。そのお墨付きは裁判所から簡単に得られる」という、ふやけた甘い見通しが否定されたのだ。 次回期日を12月17日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれた。小長井弁護士が2時間近い証言の疲れも見せずにあいさつに立ち、「多くの人たちが傍聴に駆けつけているのは心強い。今後もその意気込みで空港反対を貫いてください」と激励した。(写真左)
 葉山弁護士を始め弁護団全員が小長井証言の重要ポイントを解説し、県側に大打撃を与えたことを全体で確認した。
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