パククネとの闘い続く 11・20韓国  全教組が集団年休闘争 歴史教科書国定化撤回求め

週刊『前進』06頁(2708号02面01)(2015/11/30)


パククネとの闘い続く
 11・20韓国  全教組が集団年休闘争
 歴史教科書国定化撤回求め

(写真 「労働改悪阻止」「歴史教科書国定化撤回」の二つのスローガンを掲げ集団年休闘争に立ち上がった教育労働者たち【11月20日 ソウル】)


 11・14ソウルでの民衆総決起闘争では、パククネの労働改悪攻撃粉砕と並んで、歴史教科書の国定化阻止が、韓国労働者人民の絶対に譲ることのできない重大要求として掲げられた。11・14に続いて11月20日には、全教組(全国教職員労働組合)6万人が国定化の白紙撤回を求めて集団年休闘争に立ち上がった。実質的なストライキだ。
 この日、首都ソウルで開かれた全国教師決意大会には1500人が結集。労働改悪粉砕・教員評価制度の廃棄などのスローガンとともに、「歴史を歪曲する教科書国定化を直ちに中止しろ!」「歴史歪曲・教育破綻のパククネ政権は退陣しろ!」と叫んで、市内を縦横にデモ行進した。

独裁美化が狙い

 歴史教科書国定化問題は今秋、朝鮮有事情勢が深まる中で急速に浮上してきた攻撃だ。パククネ政権は11月3日、中学と高校の歴史教科書を「国定教科書」として2017年度から全国の学校に一律に強制すると決定し告示した。これまでの教科書が「左翼偏向」しすぎているとし、戦後史はもとより日帝植民地時代を含めて全面的に書き換えて、それをただ一つの教科書として押しつけようというのである。
 その狙いは、パククネの父親であるパクチョンヒを始めとした、歴代の軍事独裁政権の公然たる美化と復権にある。
 独裁政権を打倒した1987年以来の歴史を逆転させるに等しいこの攻撃に、激しい危機感と怒りが一斉に噴き出した。全教組と民主労総は直ちに声明を発して闘いの先頭に立った。「歴史を支配権力の好きなように書き直すこのやり方は、日本の安倍政権がやっていることと同じだ」「親日独裁の美化は断じて許さない」の声は、またたく間に全社会に広がった。
 小中高校の現役の教育労働者2万数千人が氏名と学校名を明らかにして国定化反対を宣言。この教師たちを懲戒処分しろとの政府命令に対し、全国17カ所の地方教育庁のうち10カ所以上がこれを拒否。歴史学者もこぞって反対と教科書執筆拒否を宣言した。さらに、制服姿の高校生や中学生が続々と街頭での座り込みやデモに合流した。

処分恫喝粉砕し

 11月20日の全教組の集団年休闘争は、「参加者は全員処分」の脅しを真っ向から打ち破って闘われた。ソウルでの大会でピョンソンホ全教組委員長は、「歴史は権力が書くのではなく、闘う労働者民衆、まさに今ここにいるみなさんが歴史の主人だ」「今日の闘いは終わりではなく始まりであり、私たちが手に握る勝利ののろしに必ずなる」と、誇りと確信に満ちて訴えた。
 大会で読み上げられた決意文は、「私たちにとって恐ろしいのは懲戒などではなく、私たちを見守る子どもたちのきらきらする目だ」と言い切った。そして「ごく少数の金持ちの側に立つ政権は労働者に人間の尊厳まで捨てるよう強要する。私たち教師は教育が政治権力の侍女に転落する状況を黙って見ていられない。今日の年休闘争で憤然と奮い立った私たちは、道をつける前輪になり、それに従う後輪になり、民主主義を救い出して歴史を前進させる」とパククネ政権と非和解的に対決して闘いぬくことを宣言した。
 民主労総は、パククネによるこの歴史歪曲と労働者階級への階級戦争は一体だと訴えて闘っている。すべては朝鮮有事=朝鮮侵略戦争切迫下で起きていることだ。民主労総と連帯し、日本でも教育労働者を先頭に安倍政権打倒へ闘おう。

------------------------------------------------------------
親日独裁 第2次大戦後に南朝鮮を占領した米軍は朝鮮革命圧殺のために、植民地時代に民族解放闘争に敵対して日帝の支配に協力してきた者を意識的に利用した。イスンマン政権に始まる戦後の韓国の反共軍事独裁政権は、実際にはかつての親日分子によって支えられていた。87年民主化闘争の後にこの事実が次々と暴かれ、「親日」と独裁はつながっていたとの認識が社会的にも広まり、「親日独裁の復活は許さない」というスローガンになっている。

このエントリーをはてなブックマークに追加