青年労働者新年座談会 動労総連合を拡大しストライキで戦争とめる 第2の分割・民営化と断固闘う 安倍打倒の国鉄・参院選決戦へ

週刊『前進』12頁(2712号04面01)(2016/01/01)


青年労働者新年座談会
 動労総連合を拡大しストライキで戦争とめる
 第2の分割・民営化と断固闘う
 安倍打倒の国鉄・参院選決戦へ

(写真 動労千葉 「出向延長弾劾!」「人も仕事もJRに戻せ!」。外注化粉砕へ10月1日ストライキに決起。幕張車両センター前でのスト激励行動)

(写真 動労総連合・新潟 9月19日、戦争法強行採決を弾劾し新潟駅周辺をデモ行進)

(写真 動労神奈川 ストで雇い止めを粉砕。3月26日、小田原駅前で抗議行動)

(写真 動労福島 9月10日に福島県郡山市で動労福島の結成が宣言された。全国から多くの仲間が集まった)

(写真 動労水戸 3月14〜15日、3月ダイヤ改定に反対し乗務職場の全組合員がストライキに決起。水戸運輸区前での宣伝行動)

(写真 動労西日本 10月19日にパワハラと年休剥奪に抗議し四条畷駅で中西副委員長がスト)

(写真 国会前闘争 9月13日、動労総連合に加入する全労組が国会前に集まり安倍の戦争法に怒りを表明した)

(写真 訪韓闘争 動労総連合の青年たちも訪韓しパククネ打倒の11・14韓国民衆総決起闘争をともに闘った)

(写真 動労連帯高崎 9月12日に3カ所でストに入った。TTS籠原【かごはら】事業所前でスト突入集会)


 「動労総連合を全国に建設しよう」と闘った2015年。各地に新しい単組が次々と結成され、外注化粉砕闘争を貫いてきた動労千葉は外注先で組織拡大をかちとった。新自由主義は崩壊し、戦争と貧困・総非正規職化の安倍政権への怒りは満ちている。ストライキで闘う動労総連合の組織拡大と新たな労働者党の登場は待ったなしだ。労組拠点攻防を全力で闘い抜いてきたマルクス主義青年労働者同盟は第12回大会をかちとり、全労働者の未来を賭けて動労総連合建設の先頭で闘う方針を確立した。その緒戦が非正規職撤廃の16春闘だ。JRとその関連会社で働く青年労働者を中心に、動労総連合建設をテーマに大いに語ってもらった。(編集局)

出席者
武市数馬 JR
板東 陸 JR
磯部相太 JR、非正規
藤谷省吾 JR関連
南 朔也 JR関連
宮守千尋 JR関連
瀬口信二 医療
大河内駿介 自治体
波田太郎 合同労組、沖縄
村沢明夫 司会

藤谷 雇い止め解雇粉砕した
正規と非正規が団結し 南
宮守 ストで闘う労組が必要

JRに新単組が次々結成

 村沢(司会) 昨年末、動労総連合定期全国大会が開催され、3けたの組織拡大が呼びかけられました。JR産別労組へと飛躍する歴史的挑戦が始まっています。昨年は動労神奈川、動労総連合・新潟、動労福島が結成されました。それぞれの現場はどんな状況ですか。まず動労神奈川の藤谷君からお願いします。

パートのままでは生きていけない!

 藤谷(JR関連) 小田原駅で電車と駅の清掃をしています。組合結成にいたったのは、本社に抗議の電話をしたことで私の契約期間が6カ月から3カ月に落とされました。ある日、「組合つくって一緒にやらないか」と同僚に誘われました。これがだめなら辞めればいいやという気持ちで入りました。昨年3月に雇い止め解雇攻撃をストライキで粉砕しました。6月にも所長が雇い止め工作をしたんですが、これも粉砕して、所長が飛ばされ辞めたんです。大勝利です。
 村沢 勤務時間は?
 藤谷 朝8時半から次の日の朝8時半まで。24時間勤務です。今、人がいないから2連続夜勤をすることもあります。
 村沢 清掃業務ではどんなことをしているんですか?
 藤谷 駅の清掃はホーム、階段のモップがけ、はき、ふき、ゴミとり。ゴミ箱、自販機のゴミ回収。夜はトイレ掃除。電車は折り返し車両のゴミ取り、忘れ物を駅員に届けたりしています。車両は15両を、人がいない時は3人で掃除しています。基本はだいたい10分以内。グリーン車はイスの回転も加わります。
 宮守(JR関連) ええ! 1車両の掃除時間が2分⁉
 藤谷 人が少ないから増やせと団交で要求しても「人足りてます、もうお金ありません」という回答しかこないんです。「だったら現状を見に来い」と本社の人間に言ったんですけど、見に来ない。ダイヤ改定で上野―東京ラインができてからはもうむちゃくちゃですよ。
 武市(JR) これまでは東京発小田原行だったのが、宇都宮発や高崎発小田原行になって倍以上の距離を走る。だからその分、ゴミの量も増えているんです。職場の人数は減らされているのに仕事量は増えている。
 藤谷 4〜6月で結構、現場の人が倒れちゃったんですよね。みんなが人増やせと言っている。そうしたら最近、ちょっとずつ人を増やし始めました。
 瀬口(医療) 動労神奈川を結成したことが大きい?
 藤谷 そうですね。そもそも〝職場には国労があるから職場が守られている〟という感覚はないですね。だから「動労神奈川はどういう組合なのか」「人は増やさないのか」と組合に聞いてくる。3月のストライキの時は一番反応がよかった。「今でもストやる組合あるんだ」って。
 村沢 組織拡大の機運が満ちていますね。
 板東(JR) 本社が現場を見に来なかったら、それこそみんなでストライキをやっちゃえばいい。ストライキという形じゃないにしても、無理なんだと。イスを回転させないで電車を折り返しさせてしまうとか。
 村沢 組合の闘争としてやったら職場も一変するよね。
 藤谷 あとパートから契約社員にしろと闘っています。「試用期間1カ月、そこから3カ月パート。それから契約社員になる」と求人票に書いてあった。実際は1年以上働いてもパートのまま。賃金が契約社員とパートでは年間75万円ぐらい違ってくる。生きていけない。〝すべてを契約社員にしろ〟は待ったなしの闘いです。

パワハラも解雇も組合の結成で粉砕

 村沢 動労総連合・新潟はどのような組合ですか?
 南(JR関連) 1047名解雇撤回闘争の先頭で闘ってきた国労の仲間とJR関連下請けの労働者が団結して結成しました。正規・非正規を問わず、会社の壁を越えて労働者が同じ組合に結集しています。国労内や日本共産党との激しい党派闘争に勝ち抜いて「階級的利害を体現する結集軸を示す」と結成されました。
 村沢 組合をつくって変わったことはありますか?
 南 結成した直後、関連会社で働く組合員へのパワハラがなくなりました。最近では、外注化された検修職場で働く組合員が契約期間中に会社から解雇通告を受けました。会社に組合員通知と団交申し入れをしたところ、「解雇を保留にする」と会社が言ってきて、実質的に解雇を粉砕しました。組合の力を実感しました。
 一同 おお!
 村沢 JR資本は国鉄分割・民営化絶対反対で30年間闘い抜いてきた動労総連合の姿を見ている。だから小さくても断固として資本に立ち向かえるということですね。そこはどういう職場ですか?
 南 新幹線の交番検査で、機器カバーの着脱業務です。底ぶたなどのカバーを外し、JR東日本の検査が終わったら、また取り付ける仕事です。着脱業務や車内の点検整備が外注化されています。最近、外さなければならないふたを外し忘れて、そのまま誰も気付かず検査が終わってしまうミスがありました。
 武市 最終的に管理者がチェック表に判子を押すわけでしょ?
 南 管理者が見落としていた。
 板東 それは外注会社に責任はないよね。
 村沢 雇用形態は?
 南 外注会社の半分近くが非正規雇用、ほとんどが1年契約です。日勤、夜勤がありますが、日勤で1日7時間30分で6750円。月にだいたい14万円ぐらいでそこから社会保険が引かれます。
 一同 安っ!

分断を突破できる団結をつくりたい

 村沢 賃金が安いと言えば、宮守さんの職場も超低賃金。
 宮守 はい。駅の売店で働いています。みんな非正規です。売店の非正規化も分割・民営化から始まりました。時給は、最低賃金が改定されて700円から710円に上がりました。改定前に同僚と賃金安いよねって話をしていた時、「私は時給710円。でも705円の人もいるから絶対に誰にも言わないで」と言われたんです。710円か705円かをめぐって自分の時給を口にすることすらできない。この現実に怒りと悔しさが込み上げます。本当にこの分断を突破できる団結をつくりたいと思っています。
 武市 どこの職場でもみんな給料明細を見せないですよね。賃金で差をつけて、いかに団結させないか、会社はよく考えている。
 村沢 みんなで給料明細を見せ合うことが労働者がひとつになる一歩になりますね。動労福島の結成の経緯を聞かせてください。
 宮守 郡山車両センターでは橋本光一さんが国労で外注化阻止で闘っていたんですけど、外注化は進められるし、国労自体は裏切っていく。この中で転換になったのは、戦争と総非正規職化に対する民衆の膨大な決起です。国会前では若者を先頭に根底的に闘っている。「社会を根本から変えたい」という欲求があふれました。そのためにはストで闘う労働組合が必要だと。さらにこの福島の地で反原発の拠点が必要だという思いで結成しました。反戦政治闘争と職場闘争が分離している労働運動のあり方を変えたかったんです。
 瀬口 結成して職場は変わった?
 宮守 職場と他労組批判のビラをストレートに出せるようになりました。あとは正規と非正規が団結できるのが大きい。今、6割外注化されている中で、関連企業の労働者を同じ闘う仲間として迎えられる。関連企業の労働者にとってJRはへりくだる相手なんですよ、「JR様」って。何百社という関連会社をグループ会社化していることは許し難いけど、JRの攻撃が職種や、正規・非正規という雇用形態を越えて団結する条件を生み出しているとも言えます。動労総連合の闘いは、労働者が階級として団結できることを示している。本格的にはこれからです。飲み会一つとっても、金額とかどうしようみたいなこともあるし。
 村沢 郡山工場といえば、高校野球の勝敗で賭けをしていたとして全国ニュースになりました。どこの職場でもやっているようなことをまるで大犯罪のようにキャンペーンしている。これについてその後はどうなっていますか。
 宮守 職場内の注意喚起や指導などが一切ないところでの突然の報道です。翌日から下請けも含めて全郡工労働者が面談を受けました。食欲もない、夜も眠れない。誰がたれ込んだのかみんな疑心暗鬼になっています。東労組はおとなしく黙っておけという指示だし、国労は何の指示も出さない。でもこれはこの3月から始まる車体科2組の外注化の流れの中で起きているんです。現場は外注化反対でまとまっている最中でした。「賭け遊び」は労働者同士の交流の一つです。会社はそれさえ容認できなくなった。職場の一体感を資本と闘う団結に転化していくことが私たちに問われています。
 瀬口 分割・民営化の時のヤミカラキャンペーンと同じだね。
 宮守 そうです。外注化のためだとビラで弾劾したら、「騒がないでくれ。反省の色を見せないと処分が出される」と言われたことから議論が始まりました。ちょうどその時、私の職場でも評価制度で低評価の結果が出て落ち込んでいたんです。でもその結果に同僚がすごく怒ってくれて、「評価制度そのものがおかしいんだ」と思えるようになった。制度そのものにみんなが怒っていることもわかった。こういう自分自身の経験を通して、郡工労働者にもこれは攻撃なんだ、おかしいと言い続けようと思ったんです。そして「怒りの矛先は会社に向けよう」というビラを出したら、「このビラいいね」と言う人も出てきました。
 村沢 15年は新しい単組が次々に結成され、ただちに職場から闘いが始まっている。歴史的な出発点を築いたと思います。

板東 プロパー組織化目標に
全部を獲得できる時代 大河内

外注化粉砕へ全力で勝負

JR体制は全面的に破産している!

 村沢 15年は安倍の戦争法と一体の国鉄闘争絶滅の策動に対し、国鉄分割・民営化が国家的不当労働行為であったことを確定させました。そして動労千葉は闘いの継続を宣言しました。JR体制は全面的に破綻し、すべての業務を外注化する第2の分割・民営化との攻防に入っています。
 武市 この間、JRで起きている大事故は今まででは考えられないような数ですよね。昨年3月のダイ改以降、上野―東京ラインが開通してまともに運転した日はあるのか。この会社のすべてが崩壊する状況に入っている。やっぱり、現場で仕事を回しているわれわれ労働者の意見をまったく無視して施策を推し進めてうまくいくはずがない。
 磯部(JR、非正規) JR西日本は尼崎事故で外注化が遅れに遅れています。だから広島印刷事業所廃止、三江線廃止から手をつけようとしています。今、動労西日本の組合員が白紙撤回以外ありえないと先頭で闘い、現場も怒り、JR連合やJR総連とか体制内労組の妥結を阻んでいる。決定的な情勢を切り開いています。さらに大阪の四条畷駅(しじょうなわて)の中西副委員長の闘争があります。駅長が不当労働行為、パワハラなどで不利益扱いをしてきたことに対して、ストライキと職場闘争に立ち上がり、駅長との力関係を転換しました。
 村沢 動労千葉ではこの間、CTS(千葉鉄道サービス)の労働者14人が結集していますね。なぜ組織拡大が成功したんですか?
 板東 やっぱり闘う組合の存在が重要だということを聞いています。賃金も安い、言いたいことが言える組合にやっと入れたと。春闘でCTSの清掃労働者やパートの労働者も闘えるようになったので、組織拡大につながっていくと思います。
 瀬口 そもそもなぜCTSの労働者を組合員にしようと思ったんですか?
 板東 CTSで雇ったプロパー(直雇い)社員は、別の賃金体系の中で同じ仕事をしています。単に「出向解除して仕事も戻せ」では、そのプロパーたちは逆に自分の仕事から追いやられる。だから「プロパーも含めてJRで働きましょう」と訴えている。プロパーの組織拡大が最大の目標ですね。
 波田(合同、沖縄) そういう意味ではCTSの労働者も同じ考え方ですね。
 板東 同じですね。外注化の現実をぶち破るには組織拡大しかないですからね。やっぱり。
 村沢 外注化から3年がたちます。JRは出向を一部解除、基本は延長していますが、職場ではどんな矛盾がありますか。
 武市 会社が3年前に言ってたこととまったく違う状況です。MTS(水戸鉄道サービス)ではまったくプロパーが育成されていません。仕業検査といって、車両を営業に使っていいのかどうかを即座に判断するという経験が必要な仕事を、会社は経験をつんでいないプロパーにやらせる。まともな教育も技術継承もできないで安全を破壊するのが外注化だということがはっきりしました。
 出向が解除されれば現在の仕事から外されて余剰人員にされてしまう。動労千葉では青年が出向解除で、せっかくとった資格も生かされない職場に追いやられ、余剰人員化されている。本当に許せないですよね。水戸では東労組が年配者に「定年まで出向でいれば、そのままエルダーで同じ仕事に就ける」と外注化に賛成させている。自分だけうまくやればいいやというのがすごく許せない。
 波田 階級性を破壊される。
 武市 動労千葉の組合員が「この外注化がなければ本来、今のプロパーはみんなJRで採用されていた労働者なんだ、だから仕事も人もみんなJRに戻すんだ」とよく言うじゃないですか。外注化粉砕攻防の中で、それがすべての回答なのかなと思いますよね。

青年部を結成して組織拡大の先頭に

 村沢 総連合大会では規約も改正されて青年部結成へ向けて大きく動き出しました。この1年の闘いが切り開いた地平ですね。
 武市 動労総連合に結集する青年が集まった時に「清掃の人間の話なんか聞いて興味ありますか?」という意見が出るところから始まって、ともに闘うところまできたのはすごい飛躍。
 村沢 板東さんはその時、「そうじゃないでしょ」と言ったと。
 板東 支社違えど、県違えど、同じ悩みや不満をもっている人間は絶対にいるんだから、興味あるとかないとかではなく、それを共有できればなと思いました。
 武市 その言葉があったからこそ、この人たちとだったら本気でやれると思ってくれたんだと思います。動労神奈川の仲間から「新しい電車のグリーン車のイスは回すのが固い」と聞いていて、新保全体系によるメンテナンスフリーが影響しているのかなと感じていたところに、MTSで「最近、イスが固いな」という声が聞こえてきた。そのネタで話すきっかけができた時は感動的でした。
 宮守 既成の労組はJR本体と清掃や売店の人が一緒に闘うという発想すらない。動労総連合の特徴は階級として団結するというところだと思うんですよ。
 藤谷 職場では正社員との温度差を感じるけど、ここにいる仲間との間では温度差は感じません。
 村沢 この団結は動労千葉の外注化・非正規職化阻止の闘いが生み出した最高の到達地平だと思うんです。外注化の矛盾が安全問題にあること、そして板東さんが言ったように、外注化を粉砕するには外注先の労働者も組織化するしかない。そういう闘いがあって、JR関連会社の青年労働者たちが結集している。外注化粉砕をとことん闘い抜くことが正規と非正規の壁を突き破ることだと実践的につかみとっている。
 武市 分割・民営化絶対反対の30年間の闘いを継いで、動労千葉、動労水戸、動労西日本を先頭に総連合の青年全員で組織としてしっかりやっていきたい。どんな攻撃に対しても全力で真正面から闘いたいですね。
 大河内(自治体) 動労総連合の青年自身が3けたの組織拡大に踏み出していることがすごい。こんな職場の状況を許せるか、この職場を変えてやると燃え立っている。僕らが全部を獲得していく時代に入ったんだと思います。

波田 反合理化・保安闘争貫く
資本と絶対反対で闘う 磯部

非正規職撤廃の16春闘を

改悪派遣法との闘いが決定的課題

 村沢 16春闘は安倍政権の戦争と貧困・総非正規職化の情勢と鋭く対決して闘われますね。
 瀬口 とくに改悪派遣法との闘いは決定的ですね。マスコミでさえ、85年の派遣法制定以来の大転換だと言うほどです。3年たったら派遣労働者は必ず解雇される。労働者を一生非正規・総非正規職化する攻撃で、ここには根本的な転換があると思うんですよ。今までは、非正規職が置かれた現状の許し難さというのは正規職の労働条件を基準にしていた。例えば「正規は首が切られないのに、非正規は雇い止めされるからひどい」と。これからは非正規職の労働条件が基準になる。正規もバンバン首が切られる。労働者の怒りも限界を超え、全社会的に非正規職問題が爆発する過程に入るということだよね。
 村沢 11・13パリ襲撃事件をどう見るのかという意味でも、非正規職撤廃闘争は重要だと思っているんです。「絶望の非正規」(週刊『東洋経済』)が話題になっているけど、パリで武装襲撃を起こした青年も「絶望の非正規」ではないか。フランスでも民営化・非正規職化で労働組合が解体され、生きていけないという絶望をIS(イスラム国)に利用された。だから全世界的に非正規職撤廃へ闘う労働組合をつくり出すことが課題になっている。
 波田 沖縄でも同じ構造です。非正規職化と新基地建設は一体の攻撃です。辺野古新基地建設と職場の破壊、総非正規職化がものすごく吹き荒れている。僕の職場はコールセンターですが、99%が非正規職。基地建設と引き換えの振興策による仕事です。
 今、辺野古は機動隊との激突情勢に入っている。これに対してどう闘ったら勝てるのかがものすごく求められている。はっきりしているのは労働組合の力が必要なんだということです。基地労働者の労働組合がストライキを起こせば基地を止め戦争を止めることができる。だから安倍政権は基地労働者を非正規職化し、労働組合をつぶそうとする。僕らはそれに対して非正規職撤廃を掲げて闘っている。その中で基地労働者にも非正規職撤廃で闘う機運が生まれています。

外注化阻止闘争が展望を切り開いた

 村沢 その点であらためて動労千葉の外注化阻止闘争は、非正規職撤廃闘争の画期的展望を切り開いていますね。
 瀬口 「生きられない」と叫ぶ非正規職の怒りと一つになって正規と非正規などのあらゆる分断をうち破って未来を切り開く闘いだと思うんですよ。
 歴史を見れば、非正規職化とは体制内労働運動と資本の「落としどころ」「妥協点」だった。「今の組合員の雇用・労働条件は守る」と言って、それと引き換えにどれだけ非正規職化を進めてきたことか。労働者の未来を売り渡し、労働者を正規と非正規に分断し、労働運動の後退をもたらしてきた。この連鎖を断ち切るのが動労総連合の外注化阻止・非正規職撤廃闘争だと思います。
 動労千葉だけが唯一、業務の外注化とセットになったシニア制度という攻撃に反対して立ち上がった。体制内労働運動の対極で、動労千葉は「次の世代の労働者に非正規職化された職場を残すわけにはいかない」と闘った。労働者の共同性・階級性とは現在だけでなく未来の労働者にも責任をとることではないか。動労水戸の被曝労働拒否の闘いもこれに通じるものがあります。
 大河内 非正規職撤廃闘争は体制内労働運動の延長線上にはないということですよね。本当に自分のあり方を根本から問い直す闘いが必要だし、動労総連合建設という決断自身がそういうものとしてあるのではないかと思うわけです。われわれのもう一歩の飛躍があれば全労働者を結集させることができるんです。
 村沢 そうそう。だから職場で怒りを一つにして必死に闘う。職場にこそ非正規職化の現実があるからね。「生きさせろ!」と闘う姿を示す。そういう闘いを通してしか正規と非正規の団結も生まれない。非正規職撤廃闘争を具体的な職場闘争方針として確立していくことが今春闘で求められるし、地区党建設の中身として問われているんだろうと思います。
 波田 非正規職撤廃へどう闘うか。反合理化・保安闘争で闘うことだと思います。僕の職場では個人情報漏洩(ろうえい)未遂という事故を起こしたとされ、IJBS(日本IBM・ビジネスサービス)労組の仲宗根光洋書記長が雇い止め解雇された。でも「そこに労働者の責任はない」と反撃に立った。反合理化・保安闘争で構え切って、事故は合理化の結果起きていることを暴露し、非正規職化された職場の破綻の全体像を明らかにした。非正規職を撤廃しなければ僕らは職場でいつまでたっても生きられない。
 11月24日に解雇を認める不当判決が出されたけれども、仲宗根書記長は解雇撤回まで闘うと立ち続けている。裁判所前での僕らの街宣に、コールセンターで同じように不当解雇された女性労働者から激励もあった。僕らの非正規職撤廃闘争は本当に多くの人たちが一緒に闘う闘いです。そこに絶対の自信をもって16年は圧倒的に仲間を増やしていきたい。
 一同 よし!(拍手)

全労働者の未来をかけ組織拡大戦に

 村沢 16年は全労働者の未来を賭けて、3けたの組織拡大でもって動労総連合を力ある組織と運動として登場させていく時ですね。
 宮守 外注化・総非正規職化にしても、インドやトルコなどへの原発輸出、鉄道輸出にしてもJR資本は安倍政権にとっての基軸資本。だから第2の分割・民営化攻撃と徹底的に闘い抜いて動労総連合を建設することは、JR体制=安倍を倒す闘いです!
 磯部 昨年の9・13国会闘争の時、正門前で動労総連合が「職場からストライキで闘い戦争を止めよう」とバーンと語れたのがよかったです。実際に動労連帯高崎は前日からストに入って結集した。労働者には力がないという日本共産党の国民連合政府構想は根底においてうち破ったと思います。動労千葉のビラも国会前に集まった人びとに大反響。資本に屈服して職場で闘わない体制内労組幹部の言う戦争反対ほど欺瞞(ぎまん)的なものはないですよね。最も職場の怒りを体現する、資本に絶対反対で闘う、そしてストライキで闘うというのが動労総連合なんだと思います。
 南 昨年6月の国鉄闘争全国運動大集会で「日韓鉄道労働者共同声明」が出され、感動しました。それで動労千葉訪韓団として参加し闘い抜いたわけですが、労働組合同士の団結が発展したと感じた。日本でも動労総連合が先頭に立ってゼネストを実現できるよう職場を組織したいと思いました。
 武市 動労総連合建設で大きいのは、被曝労働拒否の闘いで原発労働者や除染労働者ともつながったこと。自治体労働者も被曝労働拒否で立ち上がっている。直に原発再稼働を阻止できる。これほど画期的な闘いはないですよね。
 村沢 會澤組合員へのライフサイクル発動の攻防も決戦化していますね。
 武市 駅も含めてすべての業務を外注化するためのライフサイクル攻撃です。それで一番いい時期に運転士をはずして駅に行かせる。労働者のことを考えてもなければ、安全なんてまったくないがしろ。みんな反対だったけど、東労組が会社と確約したから制度が始まったんです。期限を5年から3年にしたから駅に行ってくれと。条件がちょっとよくなったから行ってくれなんていう労働組合は本当におかしい。
 今、制度自体を粉砕する攻防に入っています。会社は行かせても地獄、残しても地獄という状況。というのも會澤さんをめぐっては会社がライフサイクルを発令できる最後の年。発令されなければ例外をつくることになります。発令しないという回答がなければ徹底的にストで闘って組織拡大したいと思います。
 瀬口 やっぱり決定的なのは動労総連合・東京の建設ですよね。秋葉原駅や新宿駅など首都圏は全面的な駅外注化との攻防に入っている。首都のど真ん中で動労総連合の旗がどんなに小さくても立った時の波及力は計り知れない。ここを軸に無数の労組拠点を建設する展望も圧倒的に開ける。
 大河内 動労総連合青年部建設の中に、国鉄闘争の最先端の課題が凝縮されている。同時にこれは新自由主義との最先端の闘いであり、全職場に通用する中身です。すべての地域で動労総連合建設を実践することは、ゼネストの拠点を具体的につくり出す闘いです。

武市 動労総連合の旗 各県に
労働者の力を確信して 瀬口

3けたの組織拡大めざす

本物の労働者党を登場させる参院選

 村沢 16年は参院選で新しい労働者党をつくろうと鈴木たつお弁護士を押し立てて闘いますね。
 大河内 16年は改憲・戦争、原発、沖縄新基地、非正規職化をめぐって労働者が本当に怒って決起する年です。昨年の11・22大阪ダブル選挙では、共産党などあらゆる既成政党が「維新をつぶすために自民に投票するべきだ」という運動方針をとった。でもどっちになっても公務員全員解雇の道州制・民営化です。現場組合員の「自民に入れたくない」という抗議の電話が組合事務所に何件もかかってきたといいます。労働者人民のあらゆる怒りと闘いを糾合(きゅうごう)する新しい労働者の党の登場が本当に求められている。ストライキで闘う労働組合があることでその怒りは一気に糾合する。その中心に動労総連合が立つことではないかと思います。
 じゃあどういう党をつくっていくのか? 韓国・民主労総のハンサンギュン委員長は正規と非正規が団結してパククネを倒すんだと必死になって訴えている。私たちもそこを言い切ることじゃないか。正規も非正規もないじゃないか、労働者は一つなんだと非正規職撤廃へ闘い安倍を倒す。
 支配階級の最後の攻撃は分断攻撃。うちの地区で言ったら市職員の相対評価問題がある。下位5%が最低ランクの評価をつけられ、2年連続で解雇。それがついに発動された。現場組合員が反撃に立っている。解雇攻撃と闘ってきた青年もダブル選挙中に本庁前で声を上げた。その瞬間、自民か維新かの選択肢はうち破られたわけです。参院選という最大の階級攻防で本物の労働者党を登場させ、ストライキで改憲・戦争を止めようと訴え、全地区で闘う労組拠点をつくっていく。そこから必ず16年決戦の爆発が始まると思います。
 一同 そうだ!
 宮守 私からは、3・11反原発福島行動への結集を呼びかけたい。今年は3・11から5年目の福島で日常に戻そうという動きとの攻防を経ながら、郡山市開成山球場の一角にある野外音楽堂で行われます。動労福島を先頭に全国のみなさんとともに成功させたい。
 武市 楢葉町の住民は放射線量が高い地域に帰還を強制されています。これは人が帰ったから電車を走らせたのではなく、国とJR会社が電車を走らせたことによって人が帰されたんです。国とJRが原発に向けて常磐線を延伸させることをどんどん問題にしなければいけない。それを言えるのは動労水戸しかいない。動労福島とともに3・11福島行動を闘います。

産業別労働組合を打ち立てる飛躍へ

 村沢 最後に16春闘をどう闘うか、そして動労総連合建設の夢を語ってください。
 宮守 16春闘は大幅賃上げをかちとりたい。夢は、私の職場は女性が多いので、女性と青年が先頭で牽引(けんいん)できる組合にしたいです。ハンサンギュン委員長が「正規職と非正規職が団結して1千万非正規の時代を終わらせよう」と訴え、韓国では「生きさせろ!」とゼネストに立ち上がっている。そういう闘いを今、動労総連合が挑戦し進んでいるのだと思うと身震いしますよね。
 南 動労総連合・新潟も16春闘をストライキで闘おうと方針を出しています。正規も非正規も、そして本体、下請けにかかわらず、組合に結集してもらって、それぞれの職場で団結を拡大していきたいと思います。
 武市 正規でも非正規でも青年がまともに生活できない賃金なのに消費税ばっかり上がる。こんな情勢許せないと16春闘は職場で怒りの声を大にしてストライキに立ち上がりたい。夢は11月労働者集会を47都道府県の動労総連合○○という旗で埋めること。そういうのができたらすごく楽しい。動労千葉みたいな組合が全国各地にあらゆる形でできたら半端ない。
 一同 いいねえ!(拍手)
 板東 武市君の言ったとおり。賃上げと外注化粉砕、闘うことは山ほどあります。動労という名前にとらわれずに闘う組合を全国につくれればいいと思います。
 磯部 16春闘は広島印刷事業所職場廃止と三江線廃止を組織拡大で絶対にぶっとめる。動労総連合をこれからの時代を握る青年が中心にぶっ立って運営していく組合にしたい。今は単組の連合体だけど、産業別組合として一つにしたいです。そのためにも3けたの組織拡大をかちとりたい。
 藤谷 16春闘は非正規職撤廃と賃上げ要求でストライキをやりたい。動労神奈川をどういう組合にしたいか。組合員を増やす。まずは10人増やす!
 瀬口 今、世界戦争情勢が切迫する一方、われわれの目の前の日常においても貧困や社会保障解体など、資本主義社会は至るところで行き詰まりを見せている。新自由主義を打倒すること、労働者が自らの力を確信して労働者が主人公の社会をつくっていく闘いこそ国鉄闘争です。
 国鉄分割・民営化から30年。国を挙げた新自由主義攻撃に動労総連合はかちぬいてきた。ここで組織拡大をなしとげた時に、闘う労働運動の結集軸となることができる。全国の青年労働者の闘いと動労総連合の青年とが固く団結したら、もっとすごい闘いを6千万労働者階級に見せられると思う。非正規職撤廃へ猛然と職場から立ち上がる16年にしよう!
 村沢 ありがとうございました。

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第2の分割・民営化とは?

 現在、すべてのJR職場で「第2の分割・民営化」攻撃との大攻防が始まっている。国鉄時代の採用者の大量退職をもテコに、JR資本は労働組合を解体しようとしている。これとの攻防は安倍と葛西が一体となってすすめる「成長戦略」―国家戦略との闘いそのものだ。
■際限のない外注化攻撃
 15年ダイヤ改定で、JR東日本を始め全国で外注化が激しく展開された。首都圏の各駅ではJESS(JR東日本ステーションサービス)への転籍攻撃が始まった。検修部門も外注会社へ丸投げ外注化された。ゆくゆくは車掌や運転士の非正規化も狙う。JRは転籍によって労働者の労働条件・雇用の徹底破壊を狙っている。JR資本の攻撃は改悪労働者派遣法と一体で、日帝による総非正規職化攻撃の最先端をなす。
■安全を完全に破壊
 この結果、重大事故が多発している。JRの安全崩壊は巨大な社会問題と化している。鉄道業務を何百もの会社にバラバラに外注化した末、最後は「神だのみ」という恐るべき無責任体制だ。もはやJRはまともに鉄道を動かすことができない。
■社会を崩壊させるJR
 JRは「選択と集中」を掲げ、渋谷・新宿などの主要駅と駅周辺で大規模再開発を行う一方、地方路線や駅を廃止し、「896自治体消滅」を推し進めている。JR北海道の経営破綻と安全崩壊は打つ手もないままに深刻化し、北海道という一つの地域そのものを崩壊させている。北海道の現実は、新自由主義攻撃にのめりこむ日帝の数年後の未来そのものだ。
■全国に動労総連合を建設し、階級的労働運動の復権を
 これらの攻撃と動労千葉は30年間、立ち向かって勝利してきた。動労総連合建設は、この攻撃を根底から打ち破り、JRだけでなく全産業に労働運動をよみがえらせる闘いだ。

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