焦点 全面激化へ向かう大恐慌 年初から全世界で株価が暴落

週刊『前進』02頁(2714号02面03)(2016/01/14)


焦点
 全面激化へ向かう大恐慌
 年初から全世界で株価が暴落


 2016年は大恐慌の全面的激化の年となる。世界戦争危機と大恐慌が相互に絡み合い、帝国主義世界経済が破局的な危機を深めていくことは確実だ。
 そのことを示す事態が年初から起きた。米欧日やアジアの株式市場が軒並み急落した。日経平均株価は5日連続で計1335円も値下がりした。年初から5日連続下げは戦後初めての事態だ。中国の上海株は年明け1週間で10%、ドイツも8%下げた。アメリカの1078㌦の下げ幅は08年のリーマンショック以来だ。中国経済の大減速や中東の戦争、朝鮮半島情勢が資本家階級を大動揺にたたき込んでいる。とくに中国の経済危機がいまや大恐慌を本格化させる最大の要因になっている。
●米帝の利上げで新興国危機
 引き金を引いたのは昨年12月の米連邦準備制度理事会(FRB)のゼロ金利政策の解除=利上げである。これが新興国経済、とりわけ中国の経済危機を加速している。
 利上げは、米帝の利害のみに基づいて行われた。かつては「世界の盟主」として世界経済全体への視点を持っていた米帝も、もはやゼロ金利解除が世界経済にどれほど深刻な打撃を与えるかなどには、構っていられなくなったのだ。それほどまでに米帝は余裕を失い、激しく没落している。世界経済はこれからますます収縮し、分裂・ブロック化して、帝国主義と大国(中国とロシア)は独自利害をむき出しにして争闘戦激化と戦争の道を突き進む以外にない。
 08年のリーマンショック後、帝国主義経済を破局の危機から救ったのは新興国経済とりわけ中国だった。それも帝国主義国から「緩和マネー」が流入したことが大きな要因だった。米欧日の量的緩和政策で創出されたカネは8兆㌦(約960兆円)に達するが、帝国主義各国では資金需要が乏しく、その資金は新興国に流れた。貸し出された資金の総額は7兆㌦(09〜14年)に上る。それが米帝の利上げによって新興国から引き揚げられ、新興国経済に打撃を与えている。巨額の債務が新興国の政府・企業に重くのしかかっている。
 中国が大恐慌対策としてとった4兆元(約60兆円)の財政投入は経済のバブル化を引き起こし、大きな矛盾を爆発させている。14年夏には不動産・住宅バブルが崩壊し、昨年6月以降は株バブルの崩壊が続いている。それはまた、中国の実体経済に大打撃を与えている。製造業や輸出入、商品市場は失速している。その根底には鉄鋼、石炭、自動車など製造業・エネルギー産業の過剰設備、過剰生産能力の問題がある。
 中国経済の大減速に加え、帝国主義各国も大恐慌下で経済成長率が0〜2%程度にとどまってエネルギー・工業原料の需要が伸びず、資源や食糧の取引価格が下落している。原油価格は12年には1バレル120㌦前後だったが、いまや33㌦だ。4分の1に低落した。鉄鉱石は38%、銅は63%、金は70%、とうもろこしは57%、小麦は65%にまで値を下げた(高値のピークの12年頃と比較)。
 これで進行していることは資源輸出に頼る新興国経済の破綻だ。通貨価値が下落し、対ドル相場で過去5年間にロシアのルーブル、トルコのリラ、インドネシアのルピア、インドのルピーなどは半分またはそれ以下になった。インフレ率はロシアが15%台、ブラジル8〜9%、インド5%などで、労働者人民の生活を直撃している。昨年マイナス成長に転落したブラジルでは、失業とインフレ、政治腐敗へ労働者人民の怒りが爆発し、3月100万人、8月60万人の反政府デモが闘われた。
●日米経済も破滅へと突き進む
 米国内でも利上げはこれからすさまじい危機を引き起こしていく。ドル高は輸出品の国際競争力の低下を招き、また住宅の再バブル化や、200億㌦(約2兆4千億円)に膨らんだ自動車版サブプライムローンの問題も深刻である。
 日帝経済もますます決定的な危機と破綻を深めている。円安と株価に依存してきたアベノミクスは大破産した。野放図な金融緩和は円安で食料品価格を上昇させ、消費税増税とあいまって労働者階級に深刻な打撃を与えている。賃金は上がらず、外注化・非正規職化の進行で、労働者階級の怒りは我慢の限界を超えている。
 大恐慌の激化は、戦争と同時に全世界的な革命情勢を生み出している。国際連帯と国鉄決戦―階級的労働運動で世界革命の勝利へ進撃しよう。

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