16春闘をストライキで闘おう 「非正規化と貧困」許すな2・14国鉄集会を突破口に

週刊『前進』02頁(2716号02面01)(2016/01/21)


16春闘をストライキで闘おう
 「非正規化と貧困」許すな2・14国鉄集会を突破口に


 安倍政権は改悪労働者派遣法に続いて「残業代ゼロ」法案や解雇の金銭解決(整理解雇も労組破壊の指名解雇も自由とする)制度導入を狙い、同時に消費増税と社会保障解体を進めている。非正規職化と貧困を極限まで強いる階級戦争だ。16春闘はこれとの決戦への突入である。全国9カ所で開催される2・14国鉄集会を突破口に、16春闘をストライキで闘おう。

非正規職40%に達し貧困と人口減少進む

 母子家庭の貧困や老老介護が社会問題となり、貧困ゆえの心中事件や孤独死、行政による過酷な徴税などが後を絶たない。奨学金の借金がふくれ上がり青年が自己破産に追い込まれ、保証人になった年金暮らしの親が取り立てにあうという現実が明るみに出ている。
 「成長戦略」「財政再建」を掲げた安倍政権による総非正規職化と消費増税、年金や生活保護基準(最低生活費)の引き下げが生活を破壊し多くの命を奪っているのだ。
 87年国鉄分割・民営化による労組破壊・総評解体に続くバブル崩壊後、日経連(現・経団連)は95年、「労働者9割の流動化(非正規職化)」を号令。それ以降、正社員のリストラと非正規職化が進み(図左)、生活保護世帯が急増した。
 昨年11月発表の厚生労働省「14年就業形態の多様化に関する総合実態調査」で非正規職が初めて40%に達した。その6割がパート、次に契約社員や定年後再雇用の嘱託が多い(図右)。企業が非正規職を雇う最大の理由は「賃金の節約」だ。さらに今後、改悪派遣法のもとで、派遣先の雇用責任が問われず消費税の「節税対策」になる派遣労働者にすべて置き換えることが狙われている。
 非正規職の拡大が社会の貧困を深刻化させ、少子化・労働人口減少が急速に進んだ。過剰資本・過剰生産力の問題を爆発させて世界戦争に突進する最末期帝国主義・新自由主義は、社会の富の源泉である労働者階級を食わせることもできない。

年金を削減し働ける限り労働に駆り出す

 まさにプロレタリア世界革命の時である。
 安倍政権は、一層の貧困を強いて、さらに劣悪な非正規労働に根こそぎ駆り出そうとしている。
 内閣府が12月28日発表した「日本経済2015―2016/日本経済の潜在力の発揮に向けて」(ミニ経済白書)は、労働人口減少の危機に対処するために、北欧を例に「高齢者の労働参加を妨げる要因を取り除く」「働き続けることを促す」年金支給年齢の引き上げや給付水準の適正化(切り下げ)を挙げた。
 12月24日の経済財政諮問会議は「経済・財政再生アクション・プログラム」で、生活保護について「勤労意欲の向上」を強調し、マイナンバー制で徴税コストを削減するとともに資産情報・所得情報を把握する仕組みを早急に整備(拡大)し税・社会保険料徴収を進めるとした。
 要は、マイナンバー制も使って、年金や生活保護費を削減し、徴税を徹底して、働ける限り一層暴力的に労働に駆り出すということだ。
 その労働は賃金が正規職の半分とか3分の1の非正規職しかなく、生きていくためにダブルジョブ・トリプルジョブを強いられる。

国鉄決戦闘い民主労総ゼネストと連帯を

 これが「女性や高齢者、障害者らの雇用拡大を本格化して生産性革命を大胆に進める」とする安倍の「1億総活躍社会」の本質だ。
 動労千葉は、年金受給年齢の65歳への段階的引き上げを契機に外注化・非正規職化、労組破壊としてかけられたJR東の00年シニア制度導入攻撃に、絶対反対で闘い団結を守りぬいた。その闘いが今日の外注化阻止・非正規職撤廃、組織拡大の闘いの土台を築いた。動労水戸の被曝労働拒否のストもまた命と団結をかけた闘いである。
 韓国の労働改悪、年金受給年齢引き上げと一体の賃金ピーク制導入による大幅賃下げ、外注化攻撃との攻防も同じだ。
 12月10日、指名手配されていたハンサンギュン民主労総委員長は、「非正規職撤廃」と書かれた鉢巻きをしめて逮捕前の記者会見で演説した。「民主労総は労働災厄、国民大災厄を招く労働改悪を防ぐために、2千万労働者の生存をかけて、政権が最も恐れるゼネストに立ち上がります。……民主労総のゼネストは全国民が支持し、全民衆がともにする闘争へと広がっていくでしょう」
 午後の集会で、全国農民会総連盟のキムヨンホ議長は「私たち農民は死ぬまで民主労総とともに闘う。なぜなら民主労総の行く道が、私たち農民、都市貧民、大韓民国5千万国民がともに行かなければならない道であるからだ」と宣言した。
 生存と団結をかけた動労総連合の闘い、民主労総のゼネストに続こう。

スローガンは非正規職撤廃と大幅賃上げ

 新自由主義によって命すら奪われる現実に、抑えがたい怒りと闘いの機運が広がっている。
 それに恐怖した一部マスコミは、「貧困の連鎖を断ち切る投資」などと言い出した。『ニッポンの貧困―必要なのは「慈善」より「投資」』(日経BP社)は、「貧困対策を進める理由を倫理や善意ではなく、経済合理性に求めようというのが本書の試み」とする。巨大金融資本のゴールドマン・サックスや日本財団などの「貧困投資」を賛美し、首都大学東京・阿部彩教授の皮算用を紹介している。「20歳から65歳まで生活保護を受給した場合のコストは5千万~6千万円。職業訓練などの支援プログラムを2年間実行すると費用は約460万円。非正規でも65歳まで働き続ければ納付する税金や社会保険料の合計額は2400万~2700万円ほど。差し引きで7千万円くらいのメリットが生まれる」。貧困投資とは、一層の搾取と予防反革命のために福祉を解体して労働に駆り立てるものだ。
 非正規職化と貧困の強制は新自由主義の根幹をなす攻撃であり、政策の変更で済む問題ではない。安倍打倒は資本家の政府に取って代わる労働者権力樹立の闘いであり、命脈の尽きた資本主義を倒すプロレタリア革命の問題である。連合・体制内労組幹部や「国民連合政府」を掲げる日本共産党スターリン主義は、階級対立の非和解性を否定して労働者の怒りを抑えつけ、戦争と社会崩壊への道を掃き清めようとしている。その犯罪性は明らかである。
 12月24日、厚生労働省は労働組合に加入するパート労働者が15年6月末時点で102万5千人に達し、組合員全体の1割を超えたと発表した。過酷な労働環境の中で闘いの機運が拡大している。
 非正規職撤廃・一律大幅賃上げは、正規・非正規の分断を許さず全労働者の団結をかちとる闘いのスローガンだ。動労総連合を先頭に「生きさせろ!」の16春闘ストをかちとろう。2月14~15日に全国9カ所で開催される国鉄集会の成功をかちとろう。
(大迫達志)
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