上野東京ラインの開通で事故の運休は3割も増加 反合・運転保安確立は急務 事故多発のJR東日本

週刊『前進』02頁(2718号02面01)(2016/01/28)


上野東京ラインの開通で事故の運休は3割も増加
 反合・運転保安確立は急務
 事故多発のJR東日本

(写真 昨年4月12日、山手線神田・秋葉原駅間で電化柱が倒れた事故)

スキーバスの事故より危険

 軽井沢町でのスキー貸切バスの転落事故で、運転手と多くの命がまた奪われた。「命よりカネ」「死ぬまで働け」の社会が続く限り、同様の事故は続く。運転手は違法だらけの過酷な労働条件で働かされ、真っ先に命を奪われた。政府と資本による大量殺人だ。運転手に責任は一切ない。
 ツアーバス以上に危険な状態にあるのがJRだ。JR東日本の特に首都圏では、昨年3月のダイヤ改定以降、事故や遅延が毎日発生し、駅員、乗務員から「またか、事故が止まらない」「もうヘトヘトだ」と怒りの声がわき上がっている。
 JR東日本の事故は05年以降、増加する一方だ。会社部内に原因があり、30分以上の遅延か運休が生じた輸送障害事故の列車100万㌔走行あたりの発生率は、私鉄大手15社平均の約10倍という状態が続いている。国土交通省が発表した「鉄軌道の安全に関する情報」の統計資料によれば、14年度の部内に原因がある輸送障害は、JR東日本だけで364件起きているのに対し、大手私鉄15社は合計して75件だ。(表参照)
 またJR北海道の事故発生率は13年度が4・09、14年度が6・12で、事故増加が止まらない。破綻しているのだ。

外注化で拡大の無責任体制

 昨年3月ダイヤ改定の目玉として開通した上野東京ラインは、当初の指摘どおり事故を増加させた。開通後の15年度上半期(4〜10月)と14年度の同期の事故・運休本数を比較すると、これはきわめて明白になる。上野東京ラインに乗り入れているのは高崎線、東北線、常磐線、東海道線の4路線だが、高崎線は4件から8件に倍増、常磐線は5件から6件に増え、東海道線は1件で変わらず、東北線は1件減少した。合計すると19件から23件に増えた。1・21倍になったのだ。(グラフ参照)
 これらの事故関連の運休本数は、14年が108本で15年は143本。1・32倍になった。この数字は輸送障害として国土交通省に報告されたものだけだ。それ以外にも事故、遅延、インシデント(事象)は数限りなくある。
 事故の中身を見ると、「駅の当直助役は前日に急きょ対応した乗務行路変更の際、乗務員手配を失念していた」(15年7月11日)とか、「北千住駅構内南側の踏切で遮断棒が線路内方向に曲がっていたが、それを東武鉄道の踏切係員から通報され、列車を抑止。34本が運休した」(15年6月15日)などの例がある。北千住駅の場合、南側改札は外注化され、踏切も無人化されて、遮断棒が曲がっていることをJRは東武鉄道から通告されるまで把握できなかったのだ。外注化と、それによりはびこった無責任体制が、事故の多発をもたらしている。
 線路の陥没、車両故障なども多いが、それも保安費と要員の削減、線路巡回などの周期延伸の果てに、保線などの設備部門を外注化した結果だ。
 事故の影響は駅に集中する。現場の労働者は、罵声(ばせい)を浴びながら必死で事故対応に当たっている。
 ところがJR東日本社長の冨田哲郎は、上野東京ライン開業と北陸新幹線延伸について社内誌の「JRひがし」1月号で「2大プロジェクトを乗り切った。成果だ」と強弁している。運休は3割も増え、「週刊東洋経済」でさえ「高崎線のダイヤ乱れは4倍」と指摘する現状で、どこが「成果」と言えるのか。

施設・検修で続発する労災

 表面化する輸送事故多発の陰には、施設や検査修理部門での労災事故が必ずある。昨年9月7日には青梅線で保線の労働者が立ち木を伐採していたところ、立ち木が別方向に倒れて孫請けの62歳の労働者が死亡した。10月26日には常磐線で夜間作業でのレール交換を終えた労働者が、帰りに交通事故に遭い2人が亡くなった。11月24日には東北線の白川駅構内で保線用の大型機械の点検中に56歳の出向社員が機械に挟まれて死亡した。
 JR全体では、12月17日にJR北海道の苗穂工場で労働者が列車の屋根から転落して死亡。12月4日にJR西日本の山陽新幹線で橋梁(きょうりょう)工事のための足場が崩壊し8人が落下、瀕死の重傷を負った。
 分割・民営化以降のJR東日本の労災死亡者数は173人に達している。そのうち下請け労働者は167人だ。社内誌「JRひがし」で冨田社長は「11月に当社社員が死亡」と書いているが、その他の死亡事故にはまったく言及していない。下請け・孫請け労働者の死亡は数にも数えられていないのだ。命まで差別するのがJRだ。
 冨田は昨年4月12日の山手線支柱倒壊事故についても、いまだに「インシデント」と言い張っている。国交省でさえ明確に「事故」扱いとし、運輸安全委員会による調査がなされているにもかかわらずだ。この事故は、支柱の傾きを電力の労働者も運転士も通報していたが、JRはそれを放置し、倒壊に至ったものだ。危険を察知した労働者の通報を握りつぶしたのは、外注化・非正規職化を進めてきた冨田社長らJRの幹部たちだ。
 冨田は、E235系と呼ばれる山手線の新型車両が、営業運転初日で運行中止になった事態にも触れていない。
 今年3月のダイヤ改定で北海道新幹線が開業するが、これがJR北海道の赤字をさらに増大させ、一層の事故をもたらすことは明らかだ。

動労総連合を建設し闘おう

 新自由主義を倒さない限り労働者は殺される。日本の福島原発事故、韓国のセウォル号沈没事故、トルコの炭鉱爆発事故など、新自由主義による惨事は繰り返されている。食品やマンション建設などでも、カネもうけのために安全はないがしろにされている。
 だが、資本・権力、体制内労働運動と非妥協に対決する闘いが、韓国・民主労総のゼネストを先頭に巻き起こっている。
 動労千葉の反合理化・運転保安確立の闘いは、労働者が職場の支配権を取り戻すための鍵だ。この路線で世界の労働者とつながろう。正規・非正規、本体・外注先の分断を打ち破り、16春闘に立とう。国鉄1047名解雇撤回・JR復帰の新たな闘いに挑戦する動労千葉とともに闘う労働組合をよみがえらせ、東京を始め全国で動労総連合の組織拡大・拠点建設をかちとろう。2・14国鉄集会に総結集しよう。

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