弁護団と動労千葉から

週刊『前進』02頁(2724号01面02)(2016/02/18)


弁護団と動労千葉から

不当労働行為のJRには解雇撤回の義務
 動労千葉顧問弁護団長 葉山岳夫さん

 15年6月30日の最高裁の上告棄却決定で13年9月25日の高裁難波判決が確定しました。以前の1047名裁判では不採用基準が不当労働行為であることを否定していた難波裁判長は、それを自らひっくり返し、高裁判決で以下のように認定しました。すなわち「国鉄当局としては当初は動労千葉所属の組合員を......採用候補者名簿に記載する方針で同名簿の作成の準備を進めていたにもかかわらず、改革労協側の姿勢に触発されるなどして、国鉄分割・民営化に反対する姿勢を示していた労働組合に所属していること自体を理由として、差別して不利益に取り扱う目的・動機(不当労働行為意思)の下に、本件名簿記載基準を策定し、......JR東日本の採用候補者名簿に記載しなかったものと推認することが相当である」。最高裁決定は、高裁のこの認定を否定できず、高裁判決が確定しました。
 解雇撤回・JR復帰を認めない点では高裁判決も最高裁決定も反動判決・反動決定です。しかし、不当労働行為を認定したことは重大です。
 弁護団は元JR西日本社長・会長を務めた井手正敬の懇談議事録『国鉄改革前後の労務政策の内幕』を高裁に提出しました。この中で井手は、不採用基準の策定に元新日鉄の社長でJR設立委員会の委員長である斎藤英四郎が加担して3人の共謀で策定されたことを明らかにしました。
 斎藤英四郎JR設立委員長が不当労働行為に加担していることの意味は重大です。JR東日本は解雇を撤回して復職させる法律的な義務・責任があります。最高裁決定で確定した不当労働行為と斎藤英四郎の加担の事実は、1047名全体の問題です。
 解雇撤回・JR復帰の闘いは、国鉄闘争全国運動の闘いと動労総連合の全国的な結成の発展と結合して、職場・街頭での労働運動・大衆運動として展開していくことができると確信しています。弁護団は勝利を獲得するまで、ともに闘う決意を表明します。

新署名運動で全国に闘う組合をつくろう
 動労千葉委員長 田中康宏さん

 今日この場から、新しい闘いを開始します。
 私たちは5年前、国鉄闘争全国運動を始めました。そしてついに、労働者の選別・首切りの基準そのものを敵の側である最高裁に認めさせた。不採用基準をつくれと命じたのが、JR設立委員長・斎藤英四郎だったと明らかにした。JRの法的責任が明確になりました。
 誰が旗を降ろそうと、ここに集まった皆さんの力で30年闘い負けなかった。この力をもってすれば必ず時代は動く!
 9月9日、動労千葉はJR東日本本社に「採用を全部やり直せ。解雇を撤回しろ」と申し入れを行いました。以前は絶対に受け取らなかった申入書を彼らは受け取った。敵はぐらぐらです。
 私たちが始める署名は単なる署名運動ではありません。これまでの10万筆署名運動の上に、全国の産別・地域をこえた無数の職場に、小さくても無数の闘いの火をつくり、組織をつくる運動です。必ずできます。
 動労千葉は分割・民営化にストで立ち向かい、40人解雇されても団結を崩さなかった。全面的な外注化・非正規化攻撃に対しても、外注化阻止闘争で立ち向かった。その結果CTSの仲間たち14人が動労千葉に加入しました。「貧困」「2千万非正規」の現実、憲法改悪と戦争の時代への危機感が、労働者の気持ちを動かし始めています。
 昨年9月、国会での安保戦争法強行の陰で、労働者派遣法の大改悪が行われました。国鉄分割・民営化以来の社会の大転換攻撃です。分割・民営化の当時、それが以前とまったく質の違う攻撃だとは、残念ながら国鉄労働運動はつかめなかった。同じ轍(てつ)は踏まない。それがこの新しい闘いの意味です。
 無数の怒りの声を署名に結集し全国につなげ、動労総連合をつくる、新しい労働運動の芽をつくる。そういう本当の解雇撤回闘争に入ります。
 動労千葉は外注化阻止闘争を中心に、この春闘でCTSと貨物の仲間を先頭にストに立ち、必ず組織拡大を実現します。

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