国鉄闘争の新段階開いた2・14集会 解雇撤回の新署名を武器に労働運動再生の反転攻勢へ

週刊『前進』04頁(2727号02面01)(2016/02/29)


国鉄闘争の新段階開いた2・14集会
 解雇撤回の新署名を武器に労働運動再生の反転攻勢へ

(写真 2月14日に東京・墨田区で行われた国鉄集会。JR復帰へ新たな段階の闘いが始まった)

 7628人の国鉄労働者に不採用が通告された1987年2月16日から29年、全国9カ所で国鉄集会が開催され、JR資本に対して〈1047名の解雇撤回・原職復帰〉を要求する新たな署名運動が開始された。国鉄闘争は「JRに法的責任あり」を掲げ、本丸であるJR資本と直接に対決する新段階に進んだのだ。

本丸のJR資本を攻め直ちに採用せよと迫る

 動労水戸のライフサイクル強制配転粉砕のストライキで幕を開けた2016年は、1〜2月の激闘を経て大きな勝利を切り開いた。その集大成として闘いとられた2・14国鉄集会は、国鉄闘争が新段階に入ったことを高らかに宣言した。
 動労千葉の解雇撤回闘争は、国鉄分割・民営化による解雇を不当労働行為と最高裁判所に認めさせ、本丸であるJR資本に対して、直接の闘いを再度たたきつけるところにまで進んだ。国鉄分割・民営化に「合法性」を与えた国鉄改革法はついに粉砕され、「新自由主義には勝てない(国鉄改革法には勝てない)」という敗北主義(政治和解路線)は決定的に打ち破られた。国鉄闘争は「JRに法的責任あり」のあいくちをJR資本に突き付けて、解雇撤回・原職復帰を実力で迫る新段階に入ったのだ。
 国鉄分割・民営化は、日本労働運動の中心部隊だった国鉄労働運動を粉砕し、それによって労働者階級全体の力と地位を歴史的に後退させる大攻撃だった。しかし、この攻撃に対して断固として闘いを決断し、原則を貫いた動労千葉・動労水戸―動労総連合は、階級的団結を守りぬいた。職場生産点で四半世紀を超えて維持されたその団結は、今や外注化・非正規職化やライフサイクル強制配転に対する青年労働者の決起、清掃職場からの集団的な決起を生み出している。
 これは、新自由主義のもとで労働者の団結が破壊され、労働者の誇りが奪われ、労働そのものすら分断されてきた現実に立ち向かい、労働を労働者自身の手に取り戻す決定的な突破口を切り開いている。闘いはまだ端緒だが、新自由主義と闘って階級的団結を拡大することはできるのだ。
 闘うべき時期に労働組合が闘いの課題を鮮明にさせて決然と立ち上がれば、労働者が団結を守りぬき、闘い続けることはできる。30年の国鉄闘争は、このことを歴史的地平として確定させた。その意義はきわめて大きい。日本階級闘争はここから反転攻勢を開始するのだ。
 動労千葉の中野洋前委員長は『甦る労働組合』で、「労働者を軽んじ、蔑視する考えに取り込まれない限り労働者は必ず勝てると確信している。難しくない。団結して立ち上がれば道は切り開かれる」と提起した。この精神で闘おう。
 新自由主義が労働者階級に対してどんなに激しい攻撃を展開しようとも、それは資本主義の歴史的限界と終わりを示すものでしかない。労働者階級はたとえ一時的な後退を強いられようと再び闘いを開始し、階級性を回復させ、社会変革の主体となる。

新自由主義が総崩壊し命脈が尽きた資本主義

 新自由主義がもたらした現実は今や「労働崩壊」「安全崩壊」「地方崩壊」「教育破壊」「生活破壊」……底がぬけたような社会の惨状をつくり出している。ブルジョアジーは自らが生み出した新自由主義の破壊作用をコントロールできない。まさしくマルクスが『資本論』で指摘した〈資本主義の自己否定〉である。もはや資本主義は歴史的命脈が尽きた。それは人間社会にとって桎梏(しっこく)でしかない。ブルジョアジーを歴史の舞台から退場させなければならない。
 労働者階級は、新自由主義に対する闘争を通して、主体としての自己を回復させ、社会の主人公となる。新自由主義の崩壊が生み出す現実と矛盾の中にこそ、労働運動再生の可能性がある。新たな国鉄闘争の意義と展望はここにある。
 国鉄闘争こそ、職場の小さな闘いの可能性を現実の闘争と団結に転化し、労働運動へと育て上げ、新自由主義と闘う階級的労働運動の奔流(ほんりゅう)を生み出す推進力だ。新たな国鉄闘争を解雇撤回・JR復帰の新署名運動を武器に全国のあらゆる産別・職場・地域に持ち込み、労働運動を再生させる努力を全力で開始しよう。
 2・14国鉄集会の歴史的な地平の上に、JR職場をめぐる新たな決戦が始まった。

総非正規職化狙う攻撃との大決戦が始まった

 CTS(千葉鉄道サービス)が、雇用形態の抜本的改悪を含む就業規則の変更を一方的に行おうとしていることが明らかになったのだ。
 CTSは、「契約社員」と「パート社員」を「スタッフ社員」に変え、月給制から時給制に変更した上、スタッフ社員の雇用上限を5年に制限(1年契約で更新は4回まで)しようとしている。5年を超える雇用を希望する者には試験を課し、不合格なら雇い止めにするという。
 これまでCTSの契約社員・パート社員は1年ごとに契約を更新して実際は65歳まで働くことができた。だが今度は、5年でいったん全員解雇し、試験で選別された者だけを「限定正社員」として雇うというのだ。
 さらに、作業手当なども大幅に削減される。
 CTSは、これだけ重大な労働条件の不利益変更を、わずか1カ月後の4月1日に強行実施することを狙っている。にもかかわらず組合への提案もいまだに行っていない。他方で、現場での制度改悪の説明は先行させ、すでに決まったこととして制度改悪を押し通そうとしている。
 攻撃の矛先は外注先の非正規労働者だけでなく全労働者に向けられている。安倍が「同一労働同一賃金」を掲げて強行しつつある総非正規職化のモデルケースをJRが先頭に立ってつくり出し、それを全社会に拡大しようとしているのだ。
 これとの攻防は、総非正規職化を粉砕する歴史的な決戦だ。現場の仕事を回している労働者を全員雇い止めにする攻撃など、資本の思い通りにやすやすとまかり通るはずがない。労働者をなめきった攻撃は、必ず手痛いしっぺ返しを受ける。
 何よりも、2・14国鉄集会は、動労総連合を軸とする階級的労働運動の不抜の団結を形成した。国鉄分割・民営化以来、階級的団結を固く守りぬいてきた動労千葉や動労水戸―動労総連合は、外注化・非正規職化、ライフサイクル強制配転、被曝労働の強制と対決して闘いぬき、団結をさらに拡大している。動労神奈川や動労総連合・新潟の非正規労働者の解雇撤回闘争は、総非正規職化攻撃の最先兵として登場したJR資本への歴史的反撃の宣言だ。
 動労総連合を東京を始めさらに全国に建設しよう。それを基軸に、新たな国鉄闘争を自治体・教育・郵政を始めとするあらゆる産別・職場・地域に波及させよう。新段階に突入した国鉄闘争には歴史的地平と底力がある。新たな署名運動は労働運動再生の推進エンジンだ。
 新自由主義がもたらす矛盾に対して職場の仲間と議論を開始し、闘争化する努力を継続しよう。国鉄闘争を先頭に、あらゆる産別・職場・地域で労働運動を再生させ、16春闘を闘おう。
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