非正規化・貧困の強制と闘い女性労働者は春闘の先頭に

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週刊『前進』04頁(2727号02面04)(2016/02/29)


非正規化・貧困の強制と闘い女性労働者は春闘の先頭に


 殺されてたまるか! 女性労働者が労働組合の先頭で決起している。非正規職化と貧困が労働者とその家族を直撃し、とりわけ母子世帯や高齢者の貧困が深刻だ。ところが安倍政権は一層の貧困を強制してさらに非正規労働に駆り出そうとしている。怒りが限界を超え、医療・介護、保育・児童館・学校、小売職場を始め非和解の闘いが始まっている。女性労働者が立つ時、歴史は変わる。派遣法粉砕・非正規職撤廃、外注化阻止へ、女性労働者は16春闘の先頭に立とう。

「就業時間延長希望する女性が600万」のウソ

 安倍を議長とする経済財政諮問会議は1月21日、「1億総活躍」政策の課題を打ち出した。
 〝就業や就業時間延長を「希望する」女性や高齢者などが950万人(女性は約600万人=表1)いる。社会的損失だから働き方改革でその障害を取り除く。配偶者控除や配偶者手当、年金を削減して労働に駆り出し、医療・介護や保育・学童など公的分野の産業化(民営化)、社会保障改革(解体)で財政危機や労働人口減少などの問題を突破する----〟
 しかし誰が好き好んで労働時間の延長を望むというのか。今でもぎりぎりで子どもが病気になったら大変なことになる。生理休暇も取れず、体を壊したり薬に頼る人も多い。病院は高齢者だけでなく若い女性でいっぱいだ。だが労働時間を増やさないと生活できない。パートも残業を拒めば脅される。低賃金の現実が二重、三重の職の掛け持ちや長時間労働を強いている。それを女性が「希望している」からもっと駆り出すというのだ。安倍は11月の講演で待機児童の増加は「働く女性が増えたから無理もない。うれしい悲鳴だ」と言い放った。これが「女性の活躍推進」の本質だ。
 安倍政権は昨年9月、安保戦争法とともに改悪労働者派遣法と同一労働同一賃金推進法を成立させた。

全員派遣に換え同一賃金法使いさらに分断狙う

 改悪派遣法は全業務で永続的な派遣労働を解禁した。すでに正規職を派遣に換えてゼロ化する攻撃が始まっている。JRは駅全面外注化へ、子会社の派遣会社をつくってターミナル駅構内の各店舗に派遣することを進めている。自治体や病院、介護職場でも派遣労働者が急増している。改悪派遣法は3年で全員を解雇する団結破壊の大攻撃だ。経団連の16年版経労委報告は派遣法をフル活用するために「新しい期間制限の仕組みの理解」を強調し、有期雇用派遣労働者の「上限は3年」だから〝直接雇用したくないならその前に雇い止めにしろ〟と示唆した。
 さらに安倍は同一労働同一賃金法に基づいて非正規職の賃金に「熟練度」を反映させると言い出した。業績評価による能力主義・成果主義賃金の導入で、正規職の定期昇給制解体・大幅賃下げと同時に非正規職を分断し団結を破壊する。これが安倍の言う「同一労働同一賃金」だ。
 「不当解雇の金銭解決」をうたう金銭解雇制も準備している。解雇規制を全廃し労組破壊の不当労働行為を解禁する大攻撃だ。しかし逆にそれは国鉄闘争の前進が安倍をいかに追い詰めているかを証明するものだ。

母子世帯の母親の賃金は年平均で125万円だ

 11年時点で母子世帯の就業率は80・6%、うち57%が非正規職で賃金は平均年125万円でしかない(表2)。これが全パート労働者1591万人(14年)の9割を占める女性労働者と母子世帯の置かれた現実だ。
 厚生労働省が「管理職が増えフルタイムの女性の賃金は最高の24万2千円になった」とする宣伝は許しがたい。非正規職の増加で労働者全体の実質賃金は4年連続で減少している。東京の最低賃金は907円。1日5時間のパートで4535円。週5日、年間50週働いても額面で113万3750円。これでは家族が生きていけない。ダブルジョブで10時間働いても226万7500円にしかならない。深夜に働けば時給は高くなるが子どもがいるために容易ではない。親の貧困は子どもたちに及ぶ。
 国鉄分割・民営化と一体で労働者派遣法と男女雇用機会均等法が85年に制定された。労組破壊と女性労働者の超勤・深夜勤解禁は全労働者に過労死を強制する留め金を外した。今度は残業代ゼロ法までつくって労働時間規制=8時間労働制そのものを一掃しようとしている。労働者全体の命を奪う階級戦争である。

分断をのりこえ闘う労組再生し16春闘ストへ!

 帝国主義は経済破滅と世界戦争に突進し、巨万の労働者が体制選択・歴史選択をかけ、闘いに立つ時が来た。だから安倍は恐怖にかられて労組破壊に一切をかけている。
 外注化と非正規職化が進み、貧困と分断の中で重大事故や事件が続発している。命を支える介護や医療、保育職場を始め女性労働者、青年労働者が団結を求め誇りある労働を奪い返そうと労組に結集し闘っている。安倍の階級戦争に立ち向かう職場攻防だ。国鉄決戦を基軸に労働運動全体を塗り替える闘いが広がっている。女性労働者の組織率が急増している。大半はパート労働者だ。怒りは根底的であり、帝国主義労働運動、体制内労働運動にからめとろうとするUAゼンセンや自治労本部がどんなにあがこうと闘いの爆発を抑え込むことはできない。
 11月14日、韓国ソウル市庁前で15万人の民主労総労働者大会が開催された。その中心に位置したのは全国学校非正規職労組の女性労働者の大部隊であった。民主労総ゼネストと団結して3・8国際婦人デー行動の成功をかちとり、動労総連合を先頭に16春闘ストに突き進もう。(大迫達志)

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3・8国際婦人デー 1908年3月8日にアメリカで女性労働者が参政権を求めてデモをしたことを受けて世界に広がった。女性労働者の決起は歴史の歯車を回す。ロシア革命の突破口を開いたのも3・8婦人デーのストとデモであった。

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3・8国際婦人デー行動

宮城 3月6日(日)午後2時30分 エル・ソーラ仙台大研修室/主催 3・8国際婦人デー企画実行委員会
東京 3月6日(日)正午開場 豊島区生活産業プラザ/集会後、デモ/主催 3・8国際婦人デー行動実行委員会
相模原 3月20日(日)午後2時 大野南公民館/主催 婦人民主クラブ全国協議会相模原支部
関西 3月6日(日)午後1時30分 エル大阪視聴覚室/集会後、大アピール行動/主催 婦人民主クラブ全国協議会関西ブロック、関西労組交流センター女性部
広島 3月5日(土)午後1時 幟会館/集会後、デモ/主催 国際婦人デー記念3・5行動実行委員会
福岡 3月5日(土)午後1時 農民会館/集会後、デモ/主催 3・8国際婦人デー集会実行委員会福岡
沖縄 3月13日(日)午後2時 沖縄県青年会館/主催 婦人民主クラブ全国協議会沖縄支部結成準備会

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