第3誘導路裁判 国側の暴論を弾劾 〝農業こそ市東さんの意思"

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週刊『前進』04頁(2749号02面04)(2016/05/23)


第3誘導路裁判
 国側の暴論を弾劾
 〝農業こそ市東さんの意思"


 5月17日、千葉地裁民事第3部(阪本勝裁判長)で、第3誘導路裁判の弁論が開かれた。三里塚芝山連合空港反対同盟と顧問弁護団、支援の労働者・学生・市民は、農地強奪のために造られた第3誘導路への怒りを新たに、闘いに臨んだ。
 被告の国と成田空港会社(NAA)は前回、天神峰で営農を続ける市東孝雄さんへの個人攻撃をエスカレートする主張を行ってきた。
 「原告市東は、自らの自由意思で空港敷地にとどまっているから騒音を受忍すべき」「騒音の発生源である空港敷地内は保護の対象ではない」「市東の住む土地は収用されるべき土地であり、騒音防止措置は無用だ」
 一字一句を許すことができない! この暴論を徹底的に打ち砕くため顧問弁護団は総力で準備書面を用意し、以下の内容で陳述を行った。
 市東家は3代にわたって営農を続けてきた。日本農業は就業人口の減少、高齢化、耕作放棄地拡大などの深刻な危機に直面しており、その中で市東さんが農業を守っていることは称賛に値するものであれ、土地を追い出されるいわれはない。国・NAAの主張は市東さんの人権を否認する重大な憲法違反だ。
 市東さんの居宅は周囲を滑走路・誘導路に囲まれ、健康に害を及ぼすほどの激しい騒音被害を受けている。空港の三里塚への位置決定と建設の過程は、暴力行使と既成事実の積み上げによって進められてきた。市東家にすれば、自分の土地を空港に使われるなど予定していない。それを「自由意思だから騒音に堪えろ」とは、盗人猛々しい言いぐさだ! まして「騒音発生源だから」などと切り捨てるのは、航空機騒音防止法などの趣旨をねじ曲げる珍論だ。そして、用地取得のために農家の軒先まで工事を進め、機動隊の暴力を背景に立ち退きを迫るというやり方に何の反省もない鉄面皮な主張だ。
 市東さんは父の遺言に従い、実家に戻り農業を継いだ。金や暴力に屈せず農業を続けることが市東さんの自由意思だ。
 成田は空港間競争で敗勢に追い込まれており、「地元の要請で第3滑走路建設が期待される」と虚構を語り、〝空港の公共性〟を押し出すのはインチキの極みだ!
 この陳述が、国・NAA側と裁判官を完全に圧倒した。国の代理人は「次回までに反論できるところは反論を出す」などと言う。次回期日を7月19日として閉廷した。
 千葉県弁護士会館で、伊藤信晴さんの司会で報告集会が開かれ、葉山岳夫弁護士を始め全弁護士が発言に立った。昨年末の阪本裁判長への突然の交代に乗じて、被告側は早期結審をもくろんで市東さんへの攻撃をエスカレートした。だが、この策動を今回の法廷での全力の奮闘で完全に粉砕した勝利を確認した。
 最後に、翌日の最高裁への署名提出行動と7・3三里塚50周年東京集会の成功を誓い合った。

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三里塚裁判日程
新やぐら裁判
 5月30日(月)午前10時30分開廷 千葉地裁
 (傍聴券抽選のため30分前に集合)

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