サミット=戦争会議粉砕を 激化する争闘戦と日帝の危機

週刊『前進』02頁(2750号01面03)(2016/05/26)


サミット=戦争会議粉砕を
 激化する争闘戦と日帝の危機

サミット警備で人権を蹂躙

 伊勢志摩サミットは帝国主義強盗どもの世界支配と戦争のための会議である。サミットとこれに先立って行われた関係閣僚会合のために「テロ対策」と称して厳戒態勢が敷かれ、不当な逮捕・捜索・職務質問、人権蹂躙(じゅうりん)が行われている。また、駅や道路・空港で大幅な規制が敷かれ、伊勢志摩地域では電車・バス・定期船が1週間の運休を強いられた。旅館・ホテル・みやげ店には大打撃だ。こんな暴挙がまかりとっていいのか! 安倍政権がやっていることは「99%」の労働者人民を犠牲にして「1%」の資本家の利益をはかるものだ。
 サミット参加国(G7)は、アメリカを筆頭にフランス、イギリス、ドイツ、カナダなど、現在中東やアフリカで空爆や軍事作戦を行っている戦争当事国である。イタリア、EU(欧州連合)、日本も「有志連合」に加わっている。こうしたやからが行うサミットは、血塗られた帝国主義強盗どもの戦争会議という以外にない。
 実際、伊勢志摩サミットは、北朝鮮を「世界の脅威」「核の脅威」として、新たな朝鮮侵略戦争を準備するものである。サミット終了後、オバマと安倍が広島を訪れ、「核のない世界をめざす」という欺瞞(ぎまん)的キャンペーンを行おうとしている。北朝鮮への侵略戦争を正当化し合理化するためである。
 安倍政権は4月1日、許しがたいことに「憲法9条は、一切の核兵器の保有および使用をおよそ禁止しているわけではない」という答弁書を閣議決定した。このように核保有・核戦争を公言した安倍とオバマが広島を訪問し、被爆者を蹂躙することなど断じて許されない。
 ところが日本共産党は、こうした帝国主義の野蛮な狙いを全然暴露しないどころか、原爆投下への一言の謝罪すらないオバマの広島訪問を「被爆者が願っていたこと」とか「重要な前向きの第一歩」と美化する。安倍の言動とどこが違うのか。そして、共産党は反戦ビラをまいていた全学連の学生を、警察を呼んで逮捕させ、サミット弾圧の手先となっている。

大恐慌の下で経済対立露呈

 サミットは「タックスヘイブン(租税回避地)対策」を打ち出すとしているが、これほど欺瞞的なものはない。パナマ文書で明らかになったことは、世界の大金持ち、大資本家ほど税金を支払わないということだ。各国政府もそれを容認している。総額35兆㌦(約3750兆円)という、アメリカのGDP(国内総生産)の2倍にも匹敵する途方もない金が、人民の目から隠されて税金逃れをしている。アメリカやイギリスの政府は自国内にタックスヘイブンを設けて、ブルジョアジーの脱税を保護している。サミットの「税逃れ監視の強化」など、まったくのペテンだ。
 「協調」を演出する背後で、帝国主義間の争闘戦は非和解的に激化している。20、21日に仙台で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議では、各国の利害対立があらわとなった。日帝・安倍政権の「各国で財政出動を」という提案は、フランスやドイツにはねつけられた。マスコミすら「サミット本番に暗雲」(東京)、「G7溝浮き彫り/足並みそろわず」(朝日)と報道せざるをえない状況である。
 アメリカは4月末、日本を初めて為替政策の「監視対象国」に指定した。日本が今後、自国通貨安を誘導する為替介入を繰り返せば、制裁も辞さない構えだ。一方、英独仏伊はアメリカの不参加要請を無視して中国主導のAIIB(アジアインフラ投資銀行)に参加するなど、米帝の歴史的没落の中で、帝国主義間の協調は不可能化しつつある。行き着く先は戦争しかない。

国鉄・選挙闘争で安倍打倒へ

 日本は最も深刻な危機にあえいでいる。「3本の矢」で経済成長の実現を狙ったアベノミクスは完全に破産した。成長率はマイナス〜ゼロ近辺に低迷している。アベノミクスの破産の揚げ句に、日銀は1月に初のマイナス金利政策に踏み込んだが、その狙いとした円安・株高はまったく実現しないどころか、逆の方向に向かっている。加えて三菱自動車やスズキの燃費偽装の露呈や、資源価格の低落による大手商社の赤字転落、鉄鋼・電機産業の不振など、日本帝国主義は国際争闘戦での敗北にあえいでいる。
 追い詰められた安倍政権は、サミットで「構造改革の推進」を確認することをてこに、戦後労働法制の大改悪=総非正規化、賃下げと解雇の自由化攻撃を一挙に進めようとしている。労働者階級と労働運動をめぐる重大な階級決戦の到来だ。
 フランスでは120万人がゼネストに決起している。韓国・民主労総は6月ゼネストへ進撃している。G7のどの国も階級支配の破綻を深め、労働者階級の決起―革命の現実性に震えている。
 プロレタリア世界革命の勝利に向かって6〜7月選挙闘争に総決起し、鈴木たつお弁護士の必勝をかちとり、新しい労働者の政党をつくろう。
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