全基地撤去・安保粉砕へ 沖縄全島ゼネスト実現を

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週刊『前進』04頁(2751号03面01)(2016/05/30)


全基地撤去・安保粉砕へ 沖縄全島ゼネスト実現を

米軍属の女性殺害に全島で怒りが爆発

 米軍属による20歳の女性の暴行・殺害事件が発覚して以後、沖縄の怒りの炎は燎原(りょうげん)の火のごとく急速に燃え広がっている。
 「胸が締め付けられ、涙がこぼれます。このままでは再び事件が発生する日も遠くないだろう」「米軍基地は全面撤去しかない」「声高に『全基地撤去』を明言したい。基地があるゆえの被害はもう限界だ」「北朝鮮や中国の脅威を強調するが、県民が最も脅威とするのは県民の生活圏にある米軍基地だ」(5月24日付琉球新報に紹介された県民の声)
 誰もが悔しさをかみしめながら、「もうこれ以上、命を奪われてなるものか」と、不退転の決意で新たな闘いに立ち上がっている。
 20日には米軍嘉手納基地第一ゲート前で緊急抗議集会が開かれ、結集した200人が飛び交う米軍戦闘機の轟音(ごうおん)の下でこぶしを突き上げた。22日には、女性団体が中心となって呼びかけた抗議集会が、在沖米軍司令部のあるキャンプ瑞慶覧ゲート前で開かれ、参加した2千人が一斉に「すべての基地・軍隊の撤去を」と書かれたプラカードを掲げた。宮城盛光北中城村議を始め沖縄労組交流センターや沖縄大学学生自治会の仲間も駆けつけ、全参加者とともに「全基地撤去!」を叫んだ。25日の嘉手納での緊急県民集会には、平日にもかかわらず4千人が結集した。
 そして来月19日に那覇市・奥武山公園で県民大会を開催することが決まった。1995年の少女暴行事件に対する10・21県民大会(宜野湾海浜公園に8万5千人、全島で10万人が決起)と同規模を念頭に準備すると言われているが、すでに湧き上がる怒りの規模と根底性は95年をはるかに上回るものとなっている。
 これ以上、誰一人殺させてはならない。死すべきは基地であり、安保であり、米日帝国主義だ。

朝鮮侵略戦争の切迫が引き起こした事件

 72年の「復帰」以後、沖縄の米軍人、軍属、家族ら米軍関係者による犯罪の検挙数は、2015年末までに5896件に上る。うち殺人、強盗、強姦(ごうかん)などの凶悪事件は574件(検挙者741人)というおびただしい数に達する。だがこれらは沖縄県警が検挙した数にすぎず、実際はこの数字すらはるかに上回る凶悪犯罪が横行し、そのほとんどが闇に葬られてきたのだ。「綱紀粛正」「再発防止に努める」などといった言葉を何度繰り返そうが、軍隊と基地が存在する限り、人間の命と尊厳を踏みにじる凶悪犯罪がなくなることはない。
 そして今回の事件は、こうした沖縄戦後史の上で、何よりも米日帝国主義による朝鮮侵略戦争の切迫の中で引き起こされたということをはっきりさせなければならない。とりわけ米海兵隊は朝鮮半島への強襲上陸作戦を想定した韓国軍や自衛隊との共同訓練を強化し、今まで以上に「殺人訓練」を日常化させている。今回の事件を起こした米軍属も、元海兵隊の射撃指導員だった。
 イラク・アフガニスタン戦争の中で、海兵隊を始め多くの米軍兵士が心身を破壊され、帰還兵の自殺や犯罪が激増しているが、朝鮮侵略戦争の切迫はこの事態に一層拍車をかけているのだ。

1971年の全島ゼネスト以来の大情勢

 こうした現実に対し、今や沖縄は、「県内移設か、県外移設か」といった議論が完全に吹き飛ばされ、日米安保への怒りと「全基地撤去」の要求が圧倒的多数の沖縄県民の声になるという、まったく新しい情勢を迎えている。琉球新報ですら「全基地撤去要求」と題する社説で「今回の事件を受け、全基地撤去を求める民意は広がりを見せている」と論じている(5月22日付)。辺野古以外の基地と安保の容認を前提とした「オール沖縄」体制も、今や急速にのりこえられつつある。
 この事態に焦った米オバマは、25日夜に急遽(きゅうきょ)安倍と会談し、女性殺害事件について「心からショック」などと述べた。だが謝罪は一言もなく、あらためて「普天間移設を前進させる決意に変わりはない」と強調した。もはや米日帝と沖縄の怒りはどこまでも非和解だ。
 情勢は完全に1971年全島ゼネスト以来の爆発点に向かって進んでいる。この怒りと闘いを体制の枠内(基地と安保によって成り立ち、戦争をする以外に維持できない米日帝国主義の支配下)に抑え込もうとする一切の政治勢力、一切の体制内的な弥縫(びほう)策は、すべて破産必至だ。
 「『復帰』44年の5・15沖縄闘争には、朝鮮侵略戦争に反対し、全世界の労働者の最先頭で新自由主義と闘う韓国・民主労総の仲間が参加し、沖縄と韓国の労働者の国際連帯闘争の第一歩を記した。この労働者国際連帯の闘いだけが朝鮮侵略戦争を阻止し、崩壊する新自由主義を打倒することができる。ここに沖縄の米軍基地撤去の闘いの勝利の道がある」(本紙2750号2面)。この訴えを旗幟(きし)鮮明に掲げ、本土と沖縄が一体となってゼネストを切り開こう。
 そして6・5国鉄集会と7月選挙決戦で首都・東京に闘う労働運動をよみがえらせ、鈴木たつお弁護士を先頭に新しい労働者の政党を登場させよう。
(水樹豊)
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