「君が代」不起立裁判 最高裁で勝訴確定 根津さん停職6カ月取り消し 石原―舛添の戦争教育に断下す

週刊『前進』04頁(2759号03面04)(2016/06/27)


「君が代」不起立裁判 最高裁で勝訴確定
 根津さん停職6カ月取り消し
 石原―舛添の戦争教育に断下す


 2007年卒業式での「君が代」不起立を理由にした根津公子さんへの停職6カ月処分の取り消しなどを求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は5月31日、都の上告を棄却しました。これにより昨年5月28日に出された東京高裁(須藤典明裁判長)の原告勝訴の判決が確定しました。
 確定判決は、根津さんへの停職6カ月処分を違法として処分の取り消しを命じ、さらに精神的苦痛に対する慰謝料として根津さんと河原井純子さんに各10万円の支払いを命じました。
「10・23通達」打ち破る勝利
 07年の停職6カ月の処分取り消しについては、不起立で停職3カ月の処分を受けた06年から07年処分に至るまでの間に処分を過重する新たな個別具体的な事情はないとして、同一の「過去の処分歴」を使って機械的に処分を過重していくことを断罪しました。そして、回を重ねるごとに重くなる「累積過重処分」は、不起立を続ければ免職に至り、教職員に「自らの思想や信条を捨てるか、それとも教職員としての身分を捨てるかの二者択一の選択を迫ることとなる」と批判しました。
 東京都教育委員会は、根津さんが職務命令を拒否して不起立したことを、「学校の規律や秩序を乱した」「服務事故だ」と非難してきました。しかし根津さんは「教育労働者の誇りをかけた教育活動である」と真正面から論陣を張って闘い抜き、都教委の暴挙を粉砕したのです。「日の丸・君が代」を強制する03年「10・23都教委通達」による「従わなければクビだ」という恫喝を、絶対反対の闘いで打ち破ったのです。
 また損害賠償についても、停職処分が生徒と教職員の人間関係を破壊し、教育活動を困難にするものだと認め、その精神的な苦痛が「本件処分の取り消しによって回復される財産的な損害の補てんをもっては十分ではない」と、都に賠償金の支払いを命じました。
 さらに停職出勤(学校の門前で停職処分が間違っていると抗議したこと)についても、「学校の規律・秩序を乱した行為」ではなく、根津さんの意志表明として認めました。門前闘争を労働者の権利として認めさせたことも画期的です。
戦争絶対反対で闘う教組を
 この勝利判決を引き出した力は、何よりも裁判闘争と職場の闘いを結びつけて団結を崩さずに闘ってきたことです。教育委員会が開催される日に欠かさずビラを配布し続け、都庁の労働者に都教委の理不尽な教育行政を暴き、闘いの正義性を訴え続けてきたこと。そのビラを職場にも配り続けてきたこと。こうした不屈・不断の闘いが勝利判決を引き出しました。
 今回の最高裁決定は、都教委が画策していた「君が代」不起立者の分限免職策動も粉砕しました。そして石原慎太郎都政に始まる「10・23通達」=教組つぶしの不当労働行為の攻撃を打ち破り、石原―猪瀬―舛添の3代にわたる腐敗し切った連中の教育行政に断を下しました。特に舛添は「総合教育会議」で教育委員会のトップに座り、「オリンピック教育」への総動員攻撃を開始していました。
 それだけではありません。最高裁決定により、橋下徹ら大阪維新の会が提出して制定された「同一の職務命令違反3回で免職」という大阪府・市の条例を使った「君が代解雇」も破産に追い込んでいます。
 教育労働者の誇りにかけた戦争絶対反対の職場闘争と「正義と団結」の力が勝利する時です。国鉄闘争全国運動と動労千葉は、最高裁で国鉄分割・民営化は不当労働行為だったと確定させ、階級的労働運動の再生に踏み出しています。この国鉄闘争の勝利の地平とともに、「君が代」処分取り消しの最高裁決定の勝利を闘う教組建設へと発展させ、戦争・改憲と労働法制大改悪を阻止し、安倍を倒そう!
(東京/「君が代」不起立被処分者・米山良江)
このエントリーをはてなブックマークに追加