革命圧殺と天皇制強化狙い「生前退位」求めるアキヒト 日帝・天皇制の危機と改憲攻撃

週刊『前進』04頁(2771号01面02)(2016/08/15)


革命圧殺と天皇制強化狙い「生前退位」求めるアキヒト
 日帝・天皇制の危機と改憲攻撃

天皇制存続へ焦りもあらわ

 8月8日、天皇アキヒトが「生前退位の強い意向」を約11分間のビデオメッセージで表明した。「具体的に制度に触れることは控えながら」などと天皇の政治的発言ではないかのように装っているが、実際には〝生前退位を認めよ。そのために制度改定―改憲を!〟と強烈に示唆した。これ自身が憲法を公然と踏みにじる行為だ。
 8・8天皇メッセージを合図に、天皇と天皇制を押し立てた皇室典範改定・改憲への大々的なキャンペーンが始まっている。安倍は記者会見で「重く受け止める」と述べ、有識者会議を設置し、早ければ来年通常国会で皇室典範改定を含めた法整備を行おうとしている。再改造内閣がもくろむ憲法審査会での改憲議論の開始と一体の改憲攻撃だ。
 だがこうした動きの背景にあるのは日帝と天皇制それ自身の危機であり、革命情勢と革命への恐怖だ。2000年代に入り「女帝」の是非をはじめ皇位継承問題が深刻な問題として浮上し、04年の小泉政権時に「皇室典範に関する有識者会議」が設置されたが、問題は打開されていない。安倍政権は「戦後レジームからの脱却」を掲げて皇室典範改定―改憲を水面下で準備してきた。そして7月参院選直後から一斉にキャンペーンを始めたのだ。
 アキヒトはビデオメッセージで、「高齢による体力の低下......務めを果たすことが困難」「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、......社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶ」と日帝・天皇制の危機への焦りをあらわにし、「国民統合の象徴」である天皇制なしに社会も国民の暮らしも成り立たないと傲慢(ごうまん)にも主張した。そして「これからも皇室がどのような時にも国民とともにあり......象徴天皇の務めが常に途切れることなく安定的に続いていくことをひとえに念じ」と結び、天皇制強化を訴えた。
 日帝支配階級が天皇制の危機を逆手にとり、階級対立を超越した存在として天皇と天皇制を再び前面に押し出すことで階級闘争を圧殺し、戦争体制をつくる攻撃に出てきたということだ。
 この攻撃に全野党が屈服している。とりわけ、昨年9月の「国民連合政府」構想提唱以来、安保・自衛隊のみならず天皇制容認を一段と強めた日本共産党の志位和夫委員長は、直ちに記者会見で「お気持ちはよく理解できます。政治の責任として生前退位については真剣な検討が必要」と表明し、「憲法で生前退位を禁じていない」と断定した。むきだしの改憲攻撃であることを否定し、天皇制存続・強化の策動を後押しする度し難い役割を果たしている。

天皇「巡幸」と戦後革命圧殺

 そもそも近代の天皇制は、明治以来一貫して日本帝国主義ブルジョアジーによる階級支配の最大の柱であった。何よりも、日本帝国主義が行った朝鮮・中国・アジアへの侵略と戦争、植民地支配、軍隊と警察による労働者人民への残虐きわまりない弾圧、国家総動員、これらすべての頂点に位置したものこそ天皇と天皇制だった。
 それは1945年の敗戦で破滅の縁(ふち)に立たされたが、日本での戦後革命を圧殺するために、最大の戦犯ヒロヒトは一切の戦争責任を免れ、天皇制は存続した。ヒロヒトは自らの延命と引き換えに沖縄を米帝に売り渡した。
 今につながる「象徴天皇制」の核心は、日帝とともに徹底的に打倒されるべきだった天皇と天皇制が何の責任もとらず存続し、戦後革命を圧殺し、日帝の戦後的再建の道筋をつけたことだった。実際、ヒロヒトが戦後最初に行ったことは46年から54年にかけての全国への「巡幸」だった。その狙いは全国民をあらためて天皇にひれ伏させることだった。
 「資本家的政治支配、階級支配が解体的動揺に陥る中で、天皇制は帝国主義ブルジョアジーの反革命的結集のシンボルとなる」(革共同綱領草案)のだ。
 今日、アキヒトが「公務」と称して福島・被災地や太平洋戦争の激戦地を巡っているのも階級的怒りと革命を圧殺するためだ。こうした階級支配の柱としての役割が危機に陥っているから、次に引き継いで強化すべきだと言っているのだ。
 今日の改憲攻撃と一体の天皇制強化の攻撃は、世界大恐慌と革命情勢の切迫のもとでの日帝のすさまじい危機に発している。何よりも、朝鮮侵略戦争が切迫する中で、国鉄闘争が営々と闘いぬかれ、階級的労働運動勢力が改憲・戦争攻撃に立ちはだかっている。このことが日帝をぎりぎりと締め上げている。
 階級的労働運動と国際連帯の大前進で、天皇制と日本帝国主義に今こそ革命的決着をつける時だ。闘えば勝利できる。改憲阻止・労働法制改悪粉砕の11月国際共同行動をかちとり、ゼネスト・世界革命へ進もう。

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