シールズ解散に際して

週刊『前進』02頁(2774号02面04)(2016/08/25)


シールズ解散に際して

(写真 昨年9月16日、国会前を占拠し「戦争法阻止」を訴える全学連)


 昨年来、国会前などで爆発した労働者・学生の戦争絶対反対の実力闘争に、警察権力と一体となって敵対し、その後「野党共闘」の応援団と化してついに破産した官製運動=シールズが、8月15日、解散した。これを受けて全学連が発した声明を一部抜粋して紹介します。(編集局)

破産した「官製運動」のりこえ大学反戦ストに立ち上がろう
全学連(斎藤委員長)から訴える

(1)
 8月15日、シールズが解散を宣言し、声明を発表しました。私たちは今こそ訴えます。シールズが推進した「野党共闘」に未来はありません。「立憲主義」に戦争を止める力はありません。
 キャンパス・職場で闘うこと、ストライキに立ち上がること、国境をこえた団結をつくりあげること----ここに戦争を止め、社会を根底的に変革する道があります。全国学生は全学連の旗のもとに団結し闘おう!
(2)
 シールズ声明は、「選挙結果も含め、これで十分だったとは思っていません」「市民が立ち上げる政治は、ようやく始まったばかり」と語っていますが、要は「野党共闘」路線を継続させるということです。完敗した都知事選には言及すらしていません。シールズ運動の本質を見据え、のりこえる時です。
 シールズ運動の本質は一つに、戦争法制定―改憲という戦後史上最大の決戦を前に、労働者民衆の怒りを議会内取り引きや議席争いに収斂(しゅうれん)させることでした。それは、戦争絶対反対の怒りが実力闘争として発展することを恐れた国家権力の意を体する「官製運動」でした。
 その本性が暴露された瞬間こそ、戦争法成立目前の9月18日夜、国会正門前での全学連への暴力的襲撃でした。「ストライキと国際連帯で戦争とめよう!」と訴える全学連はシールズをのりこえ、国会前の主流派となりつつありました。それに危機感を抱いたシールズ指導部は、「シールズ防衛隊」を使って全学連への公然襲撃を行いました。現場では広範な怒りの声が上がり、シールズの求心力低下をもたらしました。国家暴力の最大の発動としての戦争を、警察権力と癒着する「官製運動」で阻止することなど不可能です。
 二つに、シールズは「自衛戦争」と「9条改憲」すら容認する改憲・戦争推進勢力です。全学連はシールズ発足時から一貫して、その「青年愛国運動」としての本質を批判し続けてきました。
 シールズ運動から生み出されたのが「新9条論」なる主張です。現行憲法第9条は、第2項の「戦力不保持」「交戦権否認」があって初めて第1項「戦争放棄」の内容を持ちます。しかし「新9条論」は、自衛隊の存在も個別的自衛権も認める内容で、「戦争絶対反対」の精神は完全に骨抜きにされ、切迫する朝鮮侵略戦争の渦中では戦争推進イデオロギーとなります。「(日本は)北東アジアの協調的安全保障体制の構築へ向けてイニシアティブを発揮するべき」なるシールズの主張は、朝鮮侵略戦争の口実へと容易に転落します。
 日本共産党はシールズと呼応しながら「日米安保容認」「有事の際の自衛隊の活用」を呼号しています。自民党と何が違うのでしょうか。参院選と都知事選での「野党共闘」の敗北は、シールズや日共が戦争絶対反対でないことを民衆が完全に見抜いた結果です。
 三つに、シールズ運動は、社会変革の主体としての労働者・学生の存在をおとしめ、「孤独な個人」の異様な強調で労働組合・学生自治会の団結の力に敵対しました。
 資本の支配による長時間労働や生活苦で、多くの労働者・学生が政治を奪われています。職場・大学では戦争の先取りが始まっています。職場・キャンパスでの日常的支配に対し、ストライキで労働と教育と政治を奪還する以外に、戦争を止めることも社会を変革することもできません。
(3)
 私たちは、シールズ運動をのりこえる道を実践で示してきました。京都大学同学会の仲間は昨年10月27日、反戦バリケード・ストライキに立ち上がりました。これは、口先では「戦争反対」を言いつつ、学内では学生弾圧に手を染める大学人への痛烈な批判でした。
 2006年3月の弾圧以来、「126人の逮捕―34人の起訴―13人の処分」をのりこえて前進する法政大の10年の闘いが示すものは、学生の団結した力は国家権力の弾圧や大学当局の分断もはね返し、団結の拡大に転化できるということです。2011年3・11福島原発事故を受け、私たちは法大闘争の地平の上に全国で学生自治会を建設する闘いに踏み出しました。東北大に加え、京都大、沖縄大、広島大に自治会を建設し、ストライキに挑戦するまで闘いは発展しています。
(4)
 来る11月、日本の三つの労働組合、韓国でゼネストで闘う民主労総ソウル地域本部が全世界に呼びかけ、戦争と労働法制改悪に反対する国際共同行動が行われます。
 私たちはこれを自らの集会として取り組み、京大反戦ストライキを口実とした4人の京大生への無期停学処分の撤回を、改憲阻止の最先端攻防として闘います。無期停学処分撤回署名運動は、京大反戦ストの意義を多くの人びとに訴え、ともに闘いに立ち上がることを呼びかける攻勢的闘いです。
 10月3日には京大キャンパスで大集会が予定されています。全国学友は9月1〜2日開催の全学連大会に結集し、シールズ運動をのりこえて改憲阻止闘争を爆発させよう!

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