小池「都政改革本部」の正体 「大阪維新」橋下ブレーンら民営化=都労連破壊を狙う

週刊『前進』02頁(2780号01面02)(2016/09/15)


小池「都政改革本部」の正体
 「大阪維新」橋下ブレーンら民営化=都労連破壊を狙う

「橋下改革」の丸ごと民営化は大破産した

 9月1日、小池百合子都知事は都政改革本部を発足させ、13人の顧問団を従えて副知事や全局長らが列席する第1回会議を開催した。安倍と並ぶ極右政治家・小池知事の主催する改革本部の正体は、「大阪維新」と称して大阪府・市の丸ごと民営化・労組破壊を仕掛けた橋下徹のブレーン=上山(うえやま)信一慶應大教授を中心に据えたことに明らかである。
 小池知事は改革本部の会議で、居並ぶ都の幹部職員に対し「戦後のGHQ(連合国軍総司令部)として都庁に乗り込んでいるわけではない」と言いながら、「自律改革」を求めて脅しつけた。会議後、小池は「これまで東京で『改革』の言葉はなかった。一国に匹敵する予算、豊かな税収で放漫経営に陥っていたのではないか」と指弾した。
 13人の特別顧問は上山を筆頭に全員が新自由主義の旗振り役を務める極悪の学者や弁護士、投資ファンド代表や経営コンサルタントなどである。
 「大阪維新の会」結党に深くかかわり「大阪都構想」を唱えた上山のデタラメな主張は、2010年刊の著書『大阪維新―橋下改革が日本を変える』(角川SSC新書)に明らかである。上山は「国家の改革も……優れた指導者が出てきて時代に合ったビジネスモデルを開発すればものの10年もすれば再生する」「わかりやすい成功例は国鉄改革」であり「国鉄改革と同じスケールの改革を日本国でもやろう、そのためにはまず大阪から変えよう」と豪語した。しかしそれから6年。日本経済は破滅へ突進している。〝国鉄改革が成功〟などとんでもない。JRで事故が多発し安全が崩壊。労組破壊を狙った国鉄改革や橋下の攻撃も、動労千葉を先頭に絶対反対で闘う労働者・労働組合の力でボロボロである。「大阪都」は住民投票で負け、橋下は市長の座すら投げ出した。何が「行政改革のスペシャリスト」だ。上山のペテンは最初から破綻している。
 学習院大教授の鈴木亘は国家戦略特区ワーキンググループ委員である。『社会保障亡国論』(講談社現代新書)を唱え、〝待機児童は認可保育所の安すぎる保育料と公務員保育士の高すぎる賃金のせいだ〟として、特区制度による保育基準(=安全基準)緩和や無認可保育所の拡大を主張している。小池知事は事業所内保育所=企業主導型保育所のシンボルとして民営の都庁内保育所を10月に開所すると発表し、「待機児童という言葉を10年後には死語にしたい」とぶち上げた。ともに保育基準解体、民営化・非正規職化を進める安倍の先兵である。
 金融会社顧問の飯塚正史は会計検査院出身。医療費削減を掲げ診療報酬審査機関の統廃合・民営化、審査厳格化を仕掛ける社会保障破壊の急先鋒(せんぽう)である。

攻防の焦点は民営化反対の現場の闘いだ

 東京五輪の経費や築地市場移転問題で「都政利権の一掃」を叫んで新たな利権を求める小池知事の本性がこの顔ぶれに示されている。
 小池知事が狙うのは東京都の丸ごと民営化と都労連破壊である。攻防の焦点は労組の団結をかけた絶対反対の闘いだ。
 前掲書で上山は、経済低迷と財政赤字、賃金下落と社会不安への特効薬として、国鉄分割・民営化を例に国や自治体の膨大な資産、土地や建物の払い下げと公的医療・介護、保育、水道、清掃、地下鉄・バス、公営住宅の全面民営化を唱えた。「非常勤やパートタイム、不定期の勤務パターンなどを認め雇用条件を緩めていくと中高年の余裕組の時間が活用できる」と強調。労働組合が〝賃金が安いと事故が起きると言って正規雇用にこだわり雇用機会をつぶしている〟と攻撃し、「雇用関連法規の規制緩和が必要である」と、安倍「働き方改革」を先取りする主張を展開した。
 05年から上山は当時の關(せき)淳一大阪市長の改革本部でコンサルタント会社の手法を使って主要事業の点検を行い、〝現業職員の高い賃金と過剰コスト、過剰人員、過剰サービス〟をやり玉に挙げて完全民営化と府・市の事業統合を求めた。關が07年11月に落選すると、次には大阪府知事に就任した後に市長に転じた橋下のもとで労組破壊攻撃を全面化させた。「大阪市の事業の多くはいまだに公務員による直営が多く民営化も外注化も遅れている。労組の組織率は9割を超え強大な労組はつい最近まで市長選挙に関与してきた」(15年5月11日付『日経ビジネス』)として、「労使関係に関する職員アンケート調査」や「入れ墨調査」、組合事務所の退去強制などの不当労働行為と不当処分を連発した。
 しかし動労千葉派を先頭に現場組合員は市労連幹部の屈服を許さず一歩も引かず闘ってこれを粉砕した。地下鉄・バス、上下水道などの完全民営化は頓挫したままである。上山は「都構想と民営化という2つの看板政策が既存政党との対立でまだ成就されていない」(15年11月刊『検証/大阪維新改革』)などとするが、現場の闘いがこれを阻止し続けている。

16秋闘が小池知事との最初の激突になる

 小池知事は8月5日の会見で「都の全事業を点検し無駄の排除を徹底する」と表明した。しかし小池知事が国鉄分割・民営化や橋下型の手口を使おうと、労働組合が絶対反対で闘えば勝てるし倒せる。韓国・民主労総と国際共同行動を呼びかける動労千葉や橋下打倒の勝利の地平に続き職場で闘おう。
 16秋闘が小池知事との初の激突となる。11・6労働者集会に大結集し、かつて都知事・石原を震え上がらせた都労連ストライキをよみがえらせて闘おう。
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