労働法制大改悪を粉砕しよう 「同一労働同一賃金」「長時間労働是正」 総非正規化と賃下げが正体

週刊『前進』02頁(2788号02面03)(2016/10/13)


労働法制大改悪を粉砕しよう
 「同一労働同一賃金」「長時間労働是正」
 総非正規化と賃下げが正体


 安倍政権は9月27日、「働き方改革実現会議」の初会合を開いた。同会議は「長時間労働の是正」や「同一労働同一賃金の実現」を主要なテーマとして議論し、来年3月までに包括的な実行計画をまとめるという。戦後労働法制解体に向けての具体的な攻撃に踏み込んできたのだ。これと最先頭で対決しているのが、JRの子会社CTS(千葉鉄道サービス)の就業規則改悪と立ち向かう動労千葉の闘いだ。

「働き方改革」断じて許すな

 安倍は、国会答弁などで「女性や若者などの多様で柔軟な働き方の選択を広げるために、同一労働同一賃金の実現に踏み込む」と繰り返し発言している。安倍の言う「同一労働同一賃金」は、「多様な働き方」と常にセットになっている。
 95年、当時の日本経団連は「新時代の『日本的経営』」と題するプロジェクト報告を出し、労働者の9割を時給制の非正規労働者にすると打ち出した。以来、資本のすさまじい攻撃のもとで、4割の労働者が非正規化され、生きることもままならない現実がつくり出されてきた。
 しかし、それでも資本の攻撃は全面的には貫徹できていない。だから安倍は、正社員のほとんどを非正規に突き落とす攻撃を仕掛けてきたのだ。
 その導水路に位置づけられているのが「限定正社員」制度だ。
 安倍や資本は、〝日本の正社員制度は職務、勤務地、労働時間が無限定だから長時間労働がはびこった〟などというペテンで、職務、勤務地、労働時間が限定された限定正社員制度を全面的に導入しようとしている。
 職務限定とは、その職種が外注化されるなどして企業の中になくなれば、直ちに解雇されるということだ。勤務地限定とは、その地域の事業所がなくなれば、やはり直ちに解雇される。限定正社員とは、形だけは無期雇用でも、実質的にはいつでも解雇できる非正規職にほかならない。
 資本は全産別でその導入に向けて動いている。その先頭に立っているのがJRだ。JRの子会社で車両の清掃業務などを請け負うCTSは、就業規則を改悪して有期雇用の非正規労働者が労働契約を反復更新する場合の雇用期間に最長5年の上限を設け、選別された労働者だけを無期雇用に転換する制度を導入した。仮に無期雇用に転換されたとしても、賃金は時給制で最低賃金ぎりぎり、定期昇給もない。
 日本郵政の無期転換制度も、スキル評価で無期雇用とする労働者を選別した上で、無期に転換されたとしても労働条件は有期雇用の時と同じにするというものだ。
 経団連が7月に出した「同一労働同一賃金の実現に向けて」と題する報告書は、「日本型同一労働同一賃金」と称して、「職務内容や仕事・役割・貢献度の発揮期待(人材活用の仕方)など、さまざまな要素を総合的に勘案し、自社にとって同一労働と評価される場合に同じ賃金を支払うことを基本とする」と言い放っている。資本が「同一」と決めた労働は同一であり、「同一でない」と決めた労働は同一ではないということだ。正社員・限定正社員・パート社員などの雇用形態の違いによる労働者の分断は維持した上で、正社員を含む全労働者に賃金切り下げを押し付け、それに従えというのだ。
 さらに、全産別で「同一労働同一賃金だから扶養手当はなくす」などの攻撃がかけられ始めた。「同一労働同一賃金」という言葉は、労働者に低賃金を押し付ける道具に変えられている。

残業代ゼロ法も撤回せず!

 安倍の言う「長時間労働の是正」もまったくのペテンだ。安倍政権は15年4月、「高度専門業務」に就き、年収1075万円以上の労働者については労働時間規制を撤廃するという労働基準法改悪案を国会に出した。いわゆる残業代ゼロ法案だ。この法案は今国会でも引き続き審議されている。いったん改悪が強行されれば、年収要件はいくらでも引き下げられる。この法案を撤回もせずに安倍は「長時間労働の是正」と叫んでいる。
 働き方改革実現会議が「長時間労働の是正」の具体策として挙げているのは、残業時間の上限を法律で定めることだ。労働基準法は1日の労働時間を8時間、1週の労働時間を40時間と定め、それを超えて労働者を働かせる使用者には刑事罰を科している。使用者が事業所の過半数を組織する労働組合または労働者代表と協定を結べば(三六協定)労働時間は延長できるが、それにも1カ月45時間、1年360時間などの限度がある。しかし、「特別な事情」がある場合はさらに労働時間を延長できるという「特別条項」が三六協定に盛り込まれていれば、その制限もなくなる。
 働き方改革実現会議は、この「特別条項」による労働時間延長を問題視し、それに法律で上限を設けるという。
 しかし、労働者が過労死に至るような長時間労働を強いられている根本的な原因は、過大な業務量と極限まで進んだ人員削減にある。東京都知事の小池百合子は「都庁の全職員を夜8時までに退庁させ、庁舎を一斉消灯する」とぶち上げた。しかし、業務量も人員もそのままでこんなことを強行すれば、労働者は業務を自宅に持ち帰る、いわゆる「風呂敷残業」を強いられるだけだ。残業代も支払われなくなる。
 過大な業務を押し付けられ、残業したことをあげつらってのパワハラにさらされて、自殺に追い込まれた労働者も少なくない。その現実は何ひとつ変えず、すべての矛盾を労働者に押し付けようとしているのだ。
 そもそも、労働時間が無制限に延長されている現実は、連合などの御用労組幹部が、資本に言われるままの内容で三六協定を結んできたからではないのか。
 闘う労働組合を取り戻してこそ、安倍の「働き方改革」を打ち破ることができる。労働改悪にゼネストで対決する民主労総に応え、11・6労働者集会への巨万の結集を実現しよう。

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