10・29韓国 〝パククネは今すぐやめろ〟 民衆総決起始まる

週刊『前進』02頁(2794号02面02)(2016/11/03)


10・29韓国
 〝パククネは今すぐやめろ〟
 民衆総決起始まる

(写真 総学生会によるパククネ退陣の時局宣言発表に先立って、宣言に署名するために長蛇の列をつくる成均館大学の学生たち【10月27日 ソウル】)

(写真 「高校生も知っている! 操り人形パククネは辞めろ!」のプラカード【10月29日 ソウル】)


 韓国大統領・パククネが個人的に親密なチェスンシルという人物に自己の権力をひそかに分け与え、「影の実力者」として内外政策の立案から政府人事に至る一切を取り仕切らせていたことが衝撃的に暴かれた。パククネがこの事実を認めるや否や、韓国全土は一挙に怒りのるつぼと化した。

民主労総ストが全体を牽引

 10月29日、民主労総を中心とする民衆総決起闘争本部が主催する「集まろう! 怒ろう! 下がれパククネ 市民行動」の大集会が、午後6時からソウルの清渓(チョンゲ)広場で開かれた。主催者が想定した1万人をはるかに超える労働者・学生・市民が集まり、集会開始時には2万人、デモ出発時には3万人を超えた。会場は立錐(りっすい)の余地もなく、広場に入れなかった何千人もの人が周囲にあふれた。「これまでパククネを支持してきたが、もうやめる。今、怒りで眠ることもできない」と語る75歳の高齢者もいた。
 デモ行進は、「パククネは退陣しろ!」「君たちは孤立した。国民が包囲した!」とのシュプレヒコールを繰り返しながら開始された。警察は、デモ隊が事前に申請し確認されていたデモコースを予定どおりに進んだにもかかわらず、その途中に阻止線を張り立ちふさがった。デモの迫力に圧倒され、このまま大統領官邸に突っ込むのではないかと恐れたのだ。怒った民衆は進路を変えて進撃を続け、機動隊の壁と激突して肉弾戦で押しまくり、闘いは夜11時近くまで続いた。
 集会にはストライキ中の鉄道労組を先頭に、民主労総組合員が大挙して参加した。この日の行動はソウルだけでなく、釜山や大邱(テグ)など全国各地でも組織された。公共運輸労組の全北バス支部は、バスの正面や車内にスローガンを貼り付け、3分間の警笛を鳴らす闘いに立った。
 公務員労組、全教組など各労組の「時局宣言」という名の闘争宣言も相次いだ。金属労組は「パククネ下野闘争緊急指示1・2号」を発して大々的な反政府闘争への突入と、11・12にソウルで予定されている民衆総決起闘争への総結集を号令した。鉄道労組はこの日発表した時局宣言で「私たちの闘争は、私たちの社会を支配してきたすべての偽りと迷信との闘いである。私たちには新しい大韓民国が待っている」と、社会を変えるゼネストをさらに貫徹する決意を表明した。
 民主労総のチェジョンジン委員長代行は、「国民はトカゲのしっぽ切りではなく、パククネの責任を問うている」「サード配備を撤回し、セウォル号の真相を究明し、財閥のためではなく労働者や農民のための政治をしろというのが国民の命令だ」と演説。そして「11月12日、100万人の鬨(とき)の声を集めてパククネを引きずりおろそう」と呼びかけた。

全国40大学で火の手上がる

 「チェスンシル・ゲート」への怒りは、「ヘル(地獄)朝鮮」という現実にたたき込まれ、未来を奪われてきた青年・学生たちの中でこそ、最も激しく根底的に燃え上がっている。総学生会によりパククネの退陣を求める時局宣言が行われた大学は、26〜28日の3日間だけでも全国40校以上にのぼった。この間総長打倒の闘いをやりぬいた梨花女子大や、総長室占拠を闘っているソウル大、パククネの母校である西江(ソガン)大、成均館大、延世大、高麗大、漢陽大、韓国外語大、釜山大、済州大などの名前が続々と上がり、さらに拡大しつつある。
 10代の高校生・中学生も街頭に飛び出し、怒りを共有している。ソウルでは29日、青少年169人が「パククネが滅ぼした民主主義を、青少年がよみがえらせよう!」のスローガンを掲げて闘争宣言を行った。高校受験を控えた中学3年生は、「国が滅びようというときに、どうして座って勉強していられるでしょうか」と訴えた。
 今始まっているのは、2013年2月の大統領就任以来、パククネが行ってきた新自由主義攻撃と戦争策動の激化に対する、積もりに積もった怒りの大爆発だ。パククネ政権との絶対非和解を貫いてきた民主労総のゼネスト闘争は、政権への不信をつのらせながらも自ら行動には立ち上がらずにいた数千万の民衆に、政治的決起への最後の扉をついに開いた。そして韓国の闘う労働者は今、この闘いをもはや中途半端な「民主化」で終わらせず、本物の労働者革命への発展をめざして必死に奮闘を続けている。
 日本の労働者階級はこれと連帯して総決起しよう。11・12ソウルでの民衆総決起闘争の勝利をかけ、11・6日比谷への大結集をかちとろう。

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