12・10常磐線再開阻止を 被曝と帰還の強制許すな 動労水戸ストを軸に反撃へ

週刊『前進』04頁(2801号02面01)(2016/11/28)


12・10常磐線再開阻止を
 被曝と帰還の強制許すな
 動労水戸ストを軸に反撃へ


 JR東日本は12月10日、東日本大震災によって不通となっていた常磐線の浜吉田(宮城県亘理町)―相馬(福島県相馬市)間の運転を再開し、仙台―小高(福島県南相馬市)間を直通させようとしている。来年春には小高―浪江(福島県浪江町)間の開通をも狙っている。動労水戸を先頭に、仙台・福島―東京を結ぶ闘いで、被曝と帰還を強制する常磐線開通を阻止しよう。

「被曝か貧困か」を迫る避難指示解除

 政府・与党は、帰還困難区域を除く避難区域(避難指示解除準備区域・居住制限区域)について、来年3月までに避難指示解除を狙っている。対象は全村避難となっている飯舘村をはじめ川俣町(山木屋地区)、浪江町、富岡町の一部などだ。富岡町については地元への相談など何一つないまま、1月に前倒しして避難指示解除を強行しようとしている。
 今年6〜7月には、葛尾村や南相馬市小高区など居住制限区域を含む避難指示が解除された。しかし、実際に地元に戻った住民はどこの自治体でも約1割しかいない。来年3月に避難指示が解除されようとしている自治体でも、住民説明会では「時期尚早だ」「放射線への不安がある」との声が上がり、帰還に向けた準備宿泊への登録者も1割に満たない。
 政府は、来年3月で「自主」避難者への住宅の無償提供を打ち切ろうとしている。5万人を超える人が「自主」避難していると言われるが、仕事の関係で母子だけで福島県外に避難している家族も少なくない。すでにさまざまな分断と困難を強いられている避難者に対して、さらなる生活の破壊か被曝の強制かの選択を迫っている。

労働者と乗客の命踏みにじるJR東

 8月、自民・公明の復興加速化本部は第6次提言を発表し、「将来的に帰還困難区域のすべてを避難指示解除し、復興・再生に責任をもって取り組む決意」と表明した。2021年度をめどに、大部分が帰還困難区域となっている双葉町や大熊町をはじめ7市町に「復興拠点を設定し、整備する」というものだ。
 年間50㍉シーベルトを超える高線量地域への住民の帰還の強制、それに先立つ除染労働者、自治体労働者やインフラ整備を担う労働者への被曝の強制は、殺人的暴挙だ。すでにJRは常磐線全線開通に向けて、帰還困難区域での試験除染を開始している。JRが線路上の空間線量について発表している資料でも、毎時30㍃シーベルト(年間150㍉シーベルト)に達する区間がある。このような超高線量地域に列車を通すなど絶対に許してはならない。
 JRは試験除染によって「線路上の空間線量が毎時3・8㍃シーベルト(!)以下になったから大丈夫だ」と言う。しかし、線路だけ除染しても周辺は依然として高線量なのである。動労水戸との団体交渉でも明らかだが、事故が起きた場合の救出や避難についてもまともに考えていない。今年5月に常磐自動車道で起きた乗用車とバスとの衝突事故では、乗客は数時間も高線量下の路上に放り出された。負傷者は60㌔も離れた福島市の病院まで搬送された。福島第一原発が再臨界・再爆発などを起こした場合、逃げるすべなどない。
 実際、11月22日早朝に起きたマグニチュード7・4の福島沖地震と津波は、あらためて常磐線全線開通強行の無謀性を示した。北茨城からいわき市内の海岸付近の列車は、津波警報解除まで半日間放置された。乗客は避難誘導されたが、高線量地帯の場合どこに誘導するのか。再び臨界事故が起きたらどうするのか。富岡駅では、津波で流された駅舎・線路の内陸移転すら行わず、全線開通を目指した突貫工事が行われている。防潮堤すら造られていない。福島第二原発3号機の使用済み燃料プール冷却停止という事態は、福島第一原発の問題にとどまらないとてつもない危険性を突き出した。「もう地震は起きない」「もう津波は来ない」という政府や東電、福島県、JRの根拠のない暴挙を絶対に許してはならない。

動労総連合さらに拡大しゼネストへ

 動労水戸の被曝労働拒否のストライキは、こうした「国民の命よりカネ」の資本主義の本質を徹底的に弾劾し、鉄道労働者の誇りと労働組合の責任においてすべての運転士・車掌・乗客・住民の安全を守る闘いである。あの原発事故の中で、体の不自由なお年寄りを最後まで守り避難させたのは、国でも行政でもなく労働者だったではないか。そこにこそ、風化させてはならない生きた教訓がある。労働者階級こそがいかなる苦難をも越えて、新しい社会と時代を切り開くのだ。
 韓国では、民主労総・鉄道労組の無期限ストライキを先頭に、青年・学生・女性たちがパククネ政権退陣へ歴史的決起を開始した。民主労総のゼネストは、朝鮮半島における戦争を阻止し、労働者階級の国際連帯で新自由主義を打倒しようという熱烈なアピールだ。動労千葉・動労水戸をはじめ動労総連合の建設・拡大こそ、日本におけるゼネストを組織し、安倍政権を打倒する道である。
 復興加速化本部の提言はまた、「住宅や学校など市街地にある黒いフレコンバッグの汚染土壌をできるだけ早く中間貯蔵施設に搬出」すれば「復興を実感でき」、東京オリンピックまでにそれが実現できれば「世界中の人たちが評価してくれる」「風評の払拭(ふっしょく)につながる」と述べている。「豊洲市場」同様、すべてカネと利権のためだ。フレコンバッグが見えなくなれば復興なのか! 被曝の影響はなくなるのか! 東京オリンピックという巨大利権のために震災・原発事故をなかったことにし、被災者・避難者を切り捨てることなど絶対に許してはならない。
 JRは12月の常磐線開通に合わせて、原ノ町運輸区の誘導業務を外注化する。仙台--小高間の直通運転再開で「震災は終わった」として、外注化を一挙に進めようとしているのだ。JR東日本は「グループ経営構想Ⅴ」で3・11大震災と原発事故を「国鉄改革に次ぐ第二の出発点」に位置づけた。JR東日本こそ安倍政権と一体で、鉄道の安全よりもカネもうけにひた走る巨大独占企業である。鉄道職場をバラバラに外注化し、分社化することでJRの安全は崩壊している。労働組合の解体は、人間的共同性と安全の解体である。だから命の破壊なのだ。労働者階級の歴史的社会的責任において、常磐線開通と外注化に立ち向かおう。
 外注化・非正規職化阻止、被曝労働拒否の闘いを全国に広げ、動労総連合を全国に拡大しよう。とりわけ首都・東京に労組拠点を打ち立てよう。ふくしま共同診療所が中心となって呼びかける「被曝と帰還の強制反対署名」運動を全国で展開しよう。12・10開通阻止闘争を突破口に、2017年ゼネスト決起に進撃しよう!

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12・10常磐線開通阻止闘争
【仙台】
 午前8時~9時 JR仙台支社抗議行動
 午後1時 JR仙台支社包囲デモ
 仙台市・五橋公園(仙台市青葉区五橋1―1―7)
 午後4時 常磐線開通反対!仙台集会
 仙台市シルバーセンター(仙台市青葉区花京院1―3―2)
【南相馬】
 午後 JR原ノ町運輸区抗議闘争
【東京】
 正午 JR本社抗議行動(新宿駅南口)

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