韓国 パク拘束・財閥解体へ 真の闘いはこれからだ 労働者権力樹立へ前進しよう

週刊『前進』02頁(2806号02面01)(2016/12/15)


韓国 パク拘束・財閥解体へ
 真の闘いはこれからだ
 労働者権力樹立へ前進しよう


 12月9日、韓国国会でパククネ大統領の弾劾決議が可決された。民主労総を先頭とする200万人の怒りの総決起が国会をも追いつめ、実力でもぎとった結果である。だが闘いの真の正念場はこれからだ。パククネ政権の延命の根を完全に断ち切り、さらに次の権力を誰が握るかこそが問われている。労働者権力の樹立―革命に向けた本格的な大格闘が始まった。

弾劾可決は闘いの始まり

 12月9日午後、国会前広場を埋めた労働者人民の中から一斉に歓声が上がった。パククネ弾劾決議が賛成234、反対56の圧倒的多数で可決されたのだ。ソウルの街頭を制圧してきた巨万の民衆決起のうねりが議会内与野党によるペテン的収拾策動をもすべて粉砕する中で、ついにパククネを実力で大統領職務停止に追い込んだのである。
 だがこれはほんの始まりだ。決着は何ひとつついていない。誰もがそのことを感じている。必要なのはパククネを即刻退陣させ、獄にたたき込むことだ。パククネとその共犯者全員を処罰し、とりわけ最大の黒幕である財閥を解体することだ。民主労総はすでに「財閥を解体しなければ第2、第3のパククネが出てくる」と訴え、その闘いに全力で突き進んでいる。
 実際にパククネは断崖絶壁に追いつめられながらも延命の道を探っている。9日の夕方には各省庁の長官を集めて憲法裁判所で争う意志を示すとともに、政府が推進してきた国政課題は「最後まで進めてほしい」と要求した。軍隊慰安婦の日韓合意、高高度迎撃ミサイルシステム(サード)配備、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)締結などの戦争政策とともに、労働法制大改悪と労組破壊の攻撃を中止するなということだ。
 これに対して弾劾可決の翌日、再びソウルで80万人、全国で100万人を超えるキャンドルの火が燃え上がった。全国1503団体を組織する主催者の「パククネ政権退陣非常国民行動」は、パククネの態度は「国民への新たな宣戦布告」だと断罪し、即時退陣と拘束、内閣総辞職、与党・セヌリ党解体を求めた。その中心に立つ民主労総は、パククネの全政策を即時廃棄し、韓国社会の全面的変革へ突き進もうと訴えた。革命への本格的第一歩が始まった。

労働組合の絶大な力示す

 今やパククネと全支配階級は恐怖のどん底にたたき落とされている。パククネを擁護する極右勢力は10日、100万人決起に対抗する集会を開いたが、動員力は最大で4万に落ち込んだ。そこでは「従北左翼勢力が民衆革命を完成するために行動している。このままでは体制が崩壊する」との悲鳴が上がっている。
 彼らは、民主労総をはじめ資本や権力に立ち向かう者をすべて「従北勢力(=北朝鮮の手先)」と呼び、その圧殺を求めてきた。だが今や、その民主労総が全人民の怒りの結集軸、闘いの指導部へと押し上げられていることに、プロレタリア革命の現実性を見て震え上がっている。
 事実、パククネ打倒の闘いをここまで発展させてきた原動力は民主労総のゼネスト闘争だ。資本と絶対非和解で不屈に闘う労働組合の存在が、社会を崩壊させてきた新自由主義への全人民の根源的な怒りを解き放ち、ひとつに結集する求心力となった。とりわけ9月末以来の鉄道労組の無期限ストを先頭とする公共運輸労組のゼネストは、資本の競争原理の犯罪性を全社会に暴いた。そしてストに決起した労働者の階級的団結とその発展の中にこそ、資本が破壊した人間社会の共同性を奪還していく道があることを示したのだ。
 労働組合が本気でゼネストに決起すれば、資本と権力の強大な支配も打ち破れる。労働者階級の団結の中にはこの社会を変える力がある! 韓国での闘いはこのことを全世界に示している。

中間的決着はありえない

 闘いは新たな段階に突入した。いま始まった韓国における革命への道が最後の勝利を手にできるか否か。その一切は、これから始まる革命と反革命との一層巨大な激突にかかっている。
 第一に、パククネの巻き返しのための絶望的あがきは必至だ。パククネに代わって全権限を代行する座についたファンギョアン首相は検察出身の超タカ派で、2014年末に国家保安法を発動して統合進歩党を強制解散に追い込んだ張本人だ。この首相と内閣全員をパククネもろとも即刻退陣させ、財閥の頭目と一緒に監獄にぶち込んで、延命の根を根底から断ち切ることである。
 第二に、既成のブルジョア野党勢力などによる一切の中間的な政権の登場を許さないことだ。ハンサンギュン民主労総委員長が言うように、1987年の民主化大闘争がチョンドファン軍事独裁政権を打倒しながらその同類でしかないノテウを政権の座につけた過ちを、再び繰り返してはならない。闘いの体制内的収拾に動くあらゆる勢力をぶっとばし、労働者権力の樹立を正面に掲げて進む時が来ているのだ。
 何よりもハンサンギュン委員長を直ちに獄中から奪還することだ。パククネ打倒後の国家権力を韓国の全民衆が唯一、信頼して託せる人はハンサンギュンだ。財閥と全経連(日本の経団連に当たる)の解体と一体で、全政治犯の釈放と国家保安法の廃止をかちとり、資本家階級の全権力機構を徹底的に粉砕すること。その上に初めて、真の労働者民衆の権力を打ち立てることができる。
 第三に、パククネと韓国支配階級の最後の選択肢は日米帝国主義の懐に飛び込むことだ。米帝や日帝と結託し、朝鮮半島での新たな戦争突入により韓国全土を非常体制にたたき込み、軍隊の制圧下で一切の闘いを圧殺することだ。帝国主義の側もそれを意識し、日帝・安倍を先頭に対北朝鮮の戦争発動への準備に猛然と動き出している。
 このすべてに勝ちぬくには、プロレタリア革命の確固とした思想・綱領と路線をもった労働者階級の党の建設が絶対不可欠だ。韓国の労働者階級が、民主労総の闘いの巨大な前進と一体でそこへの挑戦をやりぬくことに一切がかかっている。

日韓労働者の連帯今こそ

 韓国の労働者階級が全民衆を率いてプロレタリア革命への前進を開始した今、日本でこれに続く闘いをやりぬくことは待ったなしの課題だ。日帝ブルジョアジーと安倍政権はすでに、パククネ政権の倒壊は日本の「国家安全の危機」に直結すると言い、自らもまた打倒されると感じておびえている。そして韓国の革命を圧殺するためにも、日米韓軍事同盟による朝鮮戦争への突進に拍車をかけている。
 戦争を始まる前に止める! この闘いが決定的に重要となった。その最大の鍵を握るのは日本の労働者階級だ。日本の労働者が民主労総のように戦争と労働法制改悪に絶対反対を貫き、安倍政権打倒のゼネスト闘争に立ち上がるなら、戦争を阻止して韓国人民とともに世界革命への道を切り開くことは必ずできる。その突破口として2017年の国鉄決戦を闘おう。
〔坂本千秋〕
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