改憲と労働法改悪、共謀罪 危機感むきだしの安倍施政方針演説

週刊『前進』04頁(2815号02面01)(2017/01/30)


改憲と労働法改悪、共謀罪
 危機感むきだしの安倍施政方針演説


 アメリカで新大統領トランプが就任式に臨むおよそ12時間前の1月20日午後、安倍は開会した通常国会で施政方針演説を行った。
 「日米同盟こそわが国の外交・安全保障政策の基軸、これは不変の原則。早期に訪米し、トランプ新大統領と同盟の絆をさらに強化する」「TPP(環太平洋経済連携協定)の合意は今後の経済連携の礎となる」——安倍は演説でそう強調したが、同じ日に就任式を終えたトランプが真っ先に行ったのは、「米国はTPP交渉から永久に離脱する」と明記した大統領令への署名だった。
 やつれきった安倍をよそに、トランプはさらに23日、企業経営者らとの会合で「日本との自動車貿易は不公平だ」と述べ、対日圧力を強めていく考えを示した。「米国第一主義」のもとトランプが対日争闘戦を激化させ、安保・軍事面でも米軍駐留費の全額負担や基地機能強化を日本に要求してくることは必至だ。
 この中で日帝・安倍は沖縄・辺野古新基地建設をはじめとした日米安保政策をこれまで以上に強行しつつ、日帝独自の軍事大国化と戦争に突き進もうとしている。
 産経新聞は1月22日付朝刊1面に編集局長のコラムを載せ、「非寛容で弱肉強食の『米国第一』を突き進むトランプ時代」の到来に対して、「『米国第一』主義には『日本第一』主義で対抗するしかない」などと空疎に叫んでいるが、これは日帝・安倍に唯一残された絶望的な選択肢を言い表したものだ。要するに安倍は「ミニ・トランプ」になるしかない。TPPが無残に空中分解した今、中国に対抗する経済戦略も皆無という中で、何の展望も成算もなく「日本第一」主義を突き進む日帝・安倍は、結局は戦争に活路を見いだす以外にないのだ。

「最大のチャレンジは働き方改革」

 さらに安倍は演説で、「働き方改革」と称する労働法制改悪を「最大のチャレンジ」と位置づけた。すなわち、「画一的な労働制度」こそ「1億総活躍の国づくり」の前に立ちはだかる「壁」であり、「一人ひとりの事情に応じた、多様で柔軟な働き方を可能とする労働制度の大胆な改革」を推し進めると強調した。
 本年冒頭、経団連会長・榊原定征は日本経済新聞の新春インタビューに答え、労働時間ではなく成果に応じて給与を決める「脱時間給制度」の導入こそ「働き方改革の重要な柱だ」と述べたが、安倍はこれと完全に連動して3月末にも「働き方改革」の計画案を打ち出す考えだ。
 また2020年東京五輪・パラリンピックに向けて「テロなど組織犯罪への対策を強化する」として、「テロ等準備罪」と名を変えた「新共謀罪」法案の国会提出への意図をあらわにした。23日の衆院本会議では「新共謀罪」法案が成立しなければ「東京五輪は開けないと言っても過言ではない」などと主張した。

「天皇退位」への特別立法も狙う

 さらに今回の演説で際立っていたのは、「憲法施行70年の節目」にかこつけて改憲に向けた「憲法審査会での具体的な議論」を執念深く要求したことである。安倍は「ただ批判に明け暮れたり、国会の中でプラカードを掲げても何も生まれません」などと政府の立場から国会論議のあり方に文句をつけた上、改憲に向けた議論を深めることは「国民の負託を受け、この議場にいるすべての国会議員の責任」などと主張した。もはや「三権分立」の建前や様式などお構いなしに、野党も巻き込んだ「改憲論議」をなんとしても今国会で推し進めようと必死なのだ。
 また安倍は、演説の冒頭、天皇の「公務の負担軽減等」について言及し、「静かな環境の中で国民的な理解のもとに成案を得る」として、今国会で「天皇退位」に向けた法整備に踏み出す考えを強調した。
 日帝・安倍の戦争と改憲、労働法制改悪、治安弾圧の攻撃を打ち破り、韓国に続く日本のゼネストを国鉄・都労連決戦を先頭に切り開こう。
このエントリーをはてなブックマークに追加