日米首脳会談は戦争準備 大軍拡に走る安倍 北朝鮮への先制攻撃狙う

週刊『前進』04頁(2817号03面01)(2017/02/06)


日米首脳会談は戦争準備
 大軍拡に走る安倍
 北朝鮮への先制攻撃狙う


 全米・全世界で巨万の反トランプデモが続く中、米トランプ政権はイラク・シリアへの侵略戦争を激化させ、さらには朝鮮半島での新たな戦争への準備を進めている。これに対応し、日本帝国主義・安倍政権はこれまで以上に軍事大国化と戦争の道にのめり込もうとしている。

トランプが虐殺戦争開始

 1月29日、米軍特殊部隊がイエメン中部で「アルカイダとの関連が疑われる部族長らの家屋」をターゲットに大規模な急襲爆撃を行い、学校やモスク、医療施設などを破壊、AFP通信によると少なくとも女性・子ども16人を含む57人が死亡した。トランプ政権が発足してから最初の攻撃作戦で、許しがたい無差別大量虐殺が行われたのだ。
 その前日、トランプは「IS(イスラム国)打倒に向けた包括的な戦略・計画」を30日以内に策定するよう米軍に命じる大統領令に署名した。これを受け、国防省はイラク・シリアへの大量増派へ踏み切る見通しだ。
 中東をめぐっては、昨年12月29日、ロシア、トルコ、イランがアメリカを除外する形でのシリア停戦合意を成立させた。中東への影響力を強めるロシア・プーチンに対し、トランプは「IS掃討」を口実にイラク・シリアへの軍事介入をエスカレートさせることで巻き返そうと必死なのだ。
 トランプによる中東・アフリカ7カ国(イラク、シリア、イラン、スーダン、リビア、ソマリア、イエメン)の国民に対する米国への入国禁止措置は、今や全世界で巨万の人びとの怒りと抗議の渦を巻き起こしている。だが、ここで重要なことは、この大統領令は米帝の中東侵略戦争と表裏一体であり、その対象とされた7カ国の人民はトランプ登場以前から米軍の無差別爆撃にさらされてきたということだ。オバマ政権最後の2016年に米軍が外国に投下した爆弾の総数は2万6千個を超えるが、そのすべてが先に挙げた7カ国に、中でも2万4千個以上がイラクとシリアに投下されているのだ。
 トランプが今やっていることは、オバマまでの歴代政権が行ってきた一連の中東侵略戦争の継続であり、その破産と敗勢の上にさらなる破滅的な侵略戦争へと突き進もうとしているのである。

「敵基地攻撃力」の保有へ

 こうした中で、安倍政権と自民党は米トランプ政権の戦争策動に対応する日帝独自の軍事大国化と戦争準備を急いでいる。自民党は今月中にも国防部会と安全保障調査会の合同勉強会を立ち上げ、中期防衛力整備計画(中期防)の新たな策定へ提言をつくるという。
 とりわけ大きな焦点となっているのが「敵基地攻撃能力」の保有である。安倍は1月25日の参院本会議でトランプ登場後の日米同盟のあり方を問われ、「わが国としても防衛力を強化し、自らの果たす役割の拡大を図る」と主張。翌26日の衆院予算委員会では、北朝鮮について「核ミサイルが配備されるリスクが増大していく」と指摘した上で、「(敵基地攻撃能力は)検討していくべきものだ」「わが国独自の抑止力はどのようなものがあるかということも含め考えていくべきだ」と答弁した。
 敵基地攻撃とは、他国からの攻撃がなくても日帝独自の判断でいつでも先制攻撃を仕掛けるということであり、その前提として爆撃機やミサイルなどの保有が不可欠となる。すでに5兆円を超える防衛予算もさらに青天井で増額される空前の大軍拡が必至となる。それ自体が東アジアの軍事的緊張を極度に高める挑発的な戦争策動であり、断じて「抑止力」などではない。米韓軍の北朝鮮への全面戦争計画である「作戦計画5015」と対応した日帝の戦争準備そのものだ。

始まる前に戦争止めよう

 安倍は2月10日、アメリカでトランプと首脳会談を行う。すでにトランプは就任当初からメキシコ、中国と並んで日本を「不公平な貿易相手国」と名指しし、さらに1月31日には「中国と日本は為替を操作して通貨安に誘導している」と非難した。トランプがさらに対日攻勢を激化させてくることは不可避だ。
 TPP(環太平洋経済連携協定)が無残に大破産した今、安倍は日米2国間交渉を迫るトランプの攻勢に追い詰められている。それゆえに安倍は軍事面での「日本の果たす役割の拡大」をカードに米帝に対抗しようと、ますます日帝独自の軍事大国化と戦争へ突き進む以外になくなっている。
 だが、トランプと安倍の突出した戦争政治は、日本と世界で広範な怒りと闘いを呼び起こしている。国境を超えた労働者の団結でトランプと安倍を打倒し、切迫する朝鮮戦争を始まる前に必ず阻止しよう。

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敵基地攻撃能力
 外国の軍事拠点を直接攻撃するために必要な装備能力のこと。地上爆撃能力を持つ攻撃機や爆撃機、それらを艦載する空母、巡航ミサイル、弾道ミサイルなどが相当する。過去にこれらの保有を政府が主張した際には、国内およびアジア諸国から常に激しい抗議の声が上がっており、今日まで保有に至っていない。

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