労働改悪許すな2・12国鉄集会へ 経団連「経労委報告」を批判する 「長時間労働の是正」の狙いは8時間労働制解体と残業代ゼロ 動労総連合先頭に3月ダイ改阻止を

週刊『前進』02頁(2818号01面01)(2017/02/09)


労働改悪許すな2・12国鉄集会へ
 経団連「経労委報告」を批判する
 「長時間労働の是正」の狙いは8時間労働制解体と残業代ゼロ
 動労総連合先頭に3月ダイ改阻止を


 安倍政権は「働き方改革」と称して労働法制の大改悪に突き進んでいる。当面最大の焦点は8時間労働制の解体だ。安倍はあたかも長時間労働を是正するかのような装いで、この攻撃を進めようとしている。日本経団連も、これに呼応して2017年版経営労働政策委員会報告で「働き方・休み方改革」なるものを押し出した。これを突破口に、労働者を総非正規職化し、低賃金で無制限の労働を強いようとしている。これは国鉄分割・民営化に次ぐ社会の大再編攻撃だ。国鉄決戦こそがこの攻撃に立ち向かえる軸となる。2・12国鉄集会から3・4JRダイヤ改定阻止へ、2〜3月を総力で闘おう。

過労死するまで働かせる「労働時間規制」のペテン

 安倍政権は2月1日の「働き方改革実現会議」で、現行の36(サブロク)協定を見直し、残業時間に上限を設定して、違反した企業には罰則を科す方針を打ち出した。しかし、その「残業時間の上限」は、「年間で月平均60時間、繁忙期には月100時間」というもので、実際には何の規制にもなっていない。現在の厚生労働省の基準でも、「1カ月で100時間超」または「2~6カ月平均で月80時間超」の残業を「過労死ライン」と定めている。だから安倍が言う「残業時間規制」とは、労働者を過労死するまで働かせるということである。
 安倍政権は36協定という制度そのものの解体を狙っている。労働基準法は、1日8時間、1週40時間を労働時間の原則とし(8条)、それを超えて労働者を働かせる場合には、過半数を組織する労働組合か、労働者の過半数を代表とする者との書面による協定を結ばなければならないと定めている(36条)。36協定とは、この労使協定のことだ。
 これは、本来は労働時間の無制限な延長を労働組合の力によって規制することを目的としたものである。しかし、連合などの御用労組は、資本の言いなりになって無制限に労働時間を延長できる協定を締結し、過労死に至る長時間労働を容認し合法化するものに36協定を変質させてきた。
 安倍政権はこの現実を突き、労働時間上限を法で規制するから、もはや36協定という制度もいらないとして、労基法の抜本的な改悪に突き進もうとしている。これは、この数年の「官製春闘」と言われる現実とあいまって、御用労組すら解体するという攻撃である。安倍には、改憲と徴兵制を唱えるUAゼンセンのような労働組合しか、その存在を容認できなくなったのだ。
 さらに安倍は、いわゆる「残業代ゼロ」法案を今国会で成立させようとしている。その内容は、「高度専門業務」に就き、年収1075万円以上の労働者については労働時間規制を撤廃するというものである。この法案は15年4月に国会に提出されたが、労働者の怒りで成立が阻まれてきた。「長時間労働の是正」という安倍の言い分はまったくのペテンだ。

非正規労働者の一斉解雇最先頭で進めるJR資本

 経団連会長の榊原定征は、1月1日付日経新聞のインタビューで、「脱時間給制度の導入が働き方改革の重要な柱だ」と言い放った。さらに、残業代ゼロ法案の対象となる労働者についても、年収条件を引き下げて拡大することを要求した。
 経団連が1月27日に公表した経労委報告も、これと完全に対応している。その最大の特徴は、「働き方・休み方改革」「長時間労働の是正」を異様に押し出し、その一点から労働法制の全面解体に突き進もうとしていることである。
 昨年の経労委報告は、「限定正社員」制度の導入や、非正規労働者を無期雇用に転換するためのルールの整備を強調した。労働契約法によって有期雇用労働者に無期雇用への転換権が発生する2018年を前に、非正規労働者の一斉解雇と選別再雇用を強行するための手段を整えよと、各企業に号令したのである。「限定正社員」とは、雇用期間は無期でも、賃金などの労働条件は非正規並みというものだ。
 この経団連の方針のもと、資本は2018年を待たずに非正規労働者を一斉に解雇する攻撃に乗り出してきた。その攻撃を最先頭で進めたのがJRである。JR東日本は昨年、子会社のCTS(千葉鉄道サービス)の就業規則を改悪した。その内容は、選別された者だけを無期雇用の「限定社員」に転換するが、無期雇用になっても時給820~920円の非正規職であることに変わりはないというものだった。
 外注化・分社化で労働者に転籍を強いたり、就業規則の改悪で労働条件を一気に引き下げる攻撃は、JRを先頭にあらゆる資本が現に強行していることである。だが、経労委報告はそれには一言も触れない。また、経団連が繰り返し主張してきた解雇の金銭解決制度の導入(首切りの自由化)への言及も一切ない。

階級的労働運動の前進に恐れおののく資本家階級

 その背後には、全世界で始まった労働者階級の革命的決起に対するブルジョアジーの恐怖がある。
 経労委報告は「わが国の労使関係は極めて良好で安定しており、企業の競争力の源泉とされている。世界に目を転じれば、見解の相違などにより労使で激しく対立してデモや騒乱に発展するなど、労使交渉を行うこともままならない状況にある国・地域も存在する」と言う。経団連が強烈に意識しているのは韓国・民主労総である。民主労総の闘いが日本に波及することを、ブルジョアジーは心底から恐れおののいている。
 だから経労委報告は、「わが国の労使関係も初めから良好だったわけではない。戦後からさまざまな危機的状況に直面するたびに、労使で『自社の存続と発展』と『社員の雇用の維持・確保』を最優先に考えながら、共に乗り越えてきたという歴史的な積み上げによって、労使協調路線を築き上げてきた」と、あらためて強調しているのである。
 これは動労千葉・動労水戸―動労総連合を先頭とする階級的労働運動を絶滅するという反動的宣言である。そして、連合などの御用労組幹部に向けて、〝階級的労働運動潮流の進出を阻止しろ〟と号令をかけているのだ。
 動労千葉を先頭とする国鉄決戦は、敵の心臓部を射抜いている。これに対し、JR資本は業務の全面外注化と転籍強要を軸とする第2の分割・民営化攻撃を強行し、動労千葉―動労総連合を解体しようと必死になっている。だが、国鉄分割・民営化そのものが、すでに破産しているのだ。
 経労委報告は、「人口減少を好機に変える人材の活躍推進と生産性の向上」というサブタイトルを付けている。1980年代の国鉄分割・民営化以来の新自由主義の攻撃は、労働者が子どもを生み育てることもできない社会をつくり出してきた。その結果の生産年齢人口の減少は、資本主義の存立基盤を掘り崩している。その現実を「好機に変える」と強弁して、資本は社会をさらに崩壊させようとしている。その先頭に立っているのがJR資本である。
 これと国鉄決戦は真っ向から立ち向かっている。この決戦に勝ちぬくことに労働者階級の未来がある。分割・民営化で不当解雇から30年の2・12国鉄集会に総結集し、3月JRダイヤ改定を阻止しよう。

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