常磐線の浪江延伸絶対阻止 3・11郡山反原発行動が大高揚 被曝と帰還の強制に怒り

週刊『前進』02頁(2828号01面01)(2017/03/16)


常磐線の浪江延伸絶対阻止
 3・11郡山反原発行動が大高揚
 被曝と帰還の強制に怒り

(写真 全国から労組を軸に1100人が決起 11年3・11から6年、福島県郡山市で開かれた集会。「原発いらない」のボードを掲げる参加者【開成山公園・野外音楽堂】)

(写真 集会で全国の動労総連合が登壇。家族ぐるみで参加した動労水戸から石井委員長が発言し、今春のJR常磐線の浪江延伸を阻止する決意を語った)

(写真 福島の怒りを体現し、郡山市の中心部をデモ。沿道から手を振る住民も)


 2011年の東日本大震災と福島第一原発事故から丸6年を迎えた3月11日、福島県郡山市で「3・11反原発福島行動17」が開催された。被曝労働拒否を闘う労働組合を先頭に全国から1100人が結集し、「被曝と帰還の強制反対署名」をはじめ闘いを大きく盛り上げることを誓い合った。

新たな闘いの出発点を形成

 今年の3・11闘争は、切迫する朝鮮戦争情勢と対決して、昨年までとはまったく違う新たな闘いの出発点となった。
 原発事故から6年がたち、小児甲状腺がんは疑いを含め185人と、放射能による健康被害が目に見える形で噴出している。だが、政府と福島県は検査縮小を策動している。
 さらに安倍政権は「復興・安全キャンペーン」のもと、避難指示を解除し、福島県は「自主避難者」への住宅補助を打ち切るなど、福島県民に帰還を強制し、福島県民にだけ年間20㍉シーベルトもの高線量の被曝を強制する攻撃を次々にかけてきているのだ。
 集会ではこの国家犯罪への福島県民の怒りの声が次々と語られた。避難者の実力居住を含めた闘いが始まろうとしている。この闘いと動労水戸を先頭にした被曝労働拒否の闘いが結びつこうとしている。その要をなすものとして2万筆を超えた「被曝と帰還強制反対署名」の実践が報告され、集会は、署名が掲げる四つの要求項目実現の日まで署名運動を続ける誓いの場となった。

動労総連合が次々決意表明

 最初にドイツ・ゴアレーベンの仲間や獄中42年の星野文昭さんなど全世界全国から連帯のアピールが寄せられたことが紹介された。
 被曝労働拒否を闘う動労総連合の労働者と自治体労働者が集会をけん引した。
 動労福島委員長の橋本光一さんが実行委員長あいさつを行った。橋本さんはトランプと安倍の核兵器使用発言を弾劾し、自分が働くJRが安倍のお先棒をかついでいることへの怒りと闘いの決意を語った。
 続いて動労水戸の石井真一委員長が家族を含めて大動員で参加していることを報告。JRが4月1日に小高から浪江まで常磐線を延伸しようと試運転を始めていることを弾劾し、被曝労働拒否を掲げて徹底して闘うことを決意表明した。
 動労千葉の中村仁さんは、JRの3・4ダイヤ改定に反対して全本線乗務員がストライキを闘ったことを報告した。動労東京の新支部を結成した労働者も発言した。
 続いて被曝労働拒否を闘う自治体労働者がそろって登壇した。最初に愛媛県職員労働組合の宇都宮理執行委員長から届いた四国電力・伊方原発再稼働阻止への闘いの決意と連帯のアピールが読み上げられた。
 京都府職員労働組合舞鶴支部の長岡達也さんが2月26日の関西電力・高浜原発再稼働絶対反対の大行動を高らかに報告し、「自治体労働者として被曝労働を拒否し動員を拒否すれば、避難計画はそれだけで破綻し、原発再稼働の条件は完全に崩壊する」と闘いの核心を語った。
 署名運動を闘う江戸川区職の佐藤賢一さん、楢葉ツアーへの弾圧を打ち破った埼玉の自治体労働者の幼方(うぶかた)忠雄さんが発言した。
 連帯のあいさつとして沖縄の元基地労働者・水島満久さん、全国農民会議共同代表で福島県本宮市の鈴木光一郎さん、三里塚反対同盟の市東孝雄さんが発言した。

福島の現状と闘いの展望

 集会の圧巻は地元福島からの闘いの報告と発言だった。最初に福島の若者2人が被曝と帰還強制反対署名運動を闘っている全国の人びとへのインタビューを行った。
 続いて、昨年12月に甲状腺がんの摘出手術を行った大越良二さんが発言した。大越さんは、小児甲状腺がんが185人にもなったが、大人はもっと多く何倍にもなるという事実を暴露。さらに、「甲状腺がんはおとなしいがんではない。肺に転移した人が何人もいる。それを一言も言わないのは医者として犯罪ではないか」と現実を告発した。そして、ふくしま共同診療所の存在の意義を訴えた。
 避難指示が解除される飯舘村の住民からのアピールが読み上げられた。
 浪江町・希望の牧場代表の吉沢正巳さんは、避難指示が一部解除されようとしている浪江町の住民としての怒りを爆発させた。吉沢さんは、「原発を終わりにするために残り人生を尽くそう、闘おうと思っています」と熱く語った。会場からは大きな拍手が巻き起こった。
 福島診療所建設委員会代表の佐藤幸子さんは、検査縮小や住宅支援を打ち切る攻撃がかけられる中で苦闘する福島の母親たちの現実を報告し、職場で一緒に問題を取り上げていく手がかりをつかんだことを語った。
 地震発生時刻の午後2時46分に、福島市の椎名千恵子さんが呼びかけて全員で1分間の黙とうを捧げた。
 最後にふくしま共同診療所の布施幸彦院長が怒りを込めて、福島の現状と闘いの展望を語った。布施さんは「これからが本当に放射線による健康障害、健康被害が出てくる時代に入る」と警鐘を鳴らし、「署名運動をとおして東京オリンピックを返上させて安倍政権を倒そう」と熱烈に訴えた。
 デモは福島県民の圧倒的な注目を集めた。デモに手を振る小学5年生の少年たちは口々に、「2時46分には自分たちも黙とうしたよ」「原発死ねー!」と語った。これこそ福島県民の真実の声だ。

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