非正規公務員めぐる改悪法案 スト権を一掃し1年で解雇 更新ごとに試用期間1カ月

週刊『前進』04頁(2839号03面04)(2017/04/24)


非正規公務員めぐる改悪法案
 スト権を一掃し1年で解雇
 更新ごとに試用期間1カ月


 4月14日、非正規職公務員の「処遇改善」をうたう地方公務員法・地方自治法改定案が参議院で可決され、衆議院に送られた。しかしその内実は、臨時・非常勤労働者64万5千人を法の規制で縛って固定化・拡大し、スト権を一掃して最大1年で解雇、任用更新のたびに1カ月の試用期間を課して選別・団結破壊を狙う大攻撃である。

「非正規職にも賞与」のペテンで大攻撃開始

 今回の改悪案は「非正規職にも賞与」の大ペテンで総非正規職化に道を開く歴史的攻撃である。
 自治体の臨時・非常勤労働者は昨年4月には64万5千人に達し、全職員の3分の1に膨れ上がっている。非正規職への大量置き換えの結果だ。
 非常勤は特別職と一般職に分かれ、特別職は地公法の適用外としてスト権が認められてきた。そのほかに臨時職員がいる(表参照)。職場の力関係ゆえに職種や待遇は全国でバラバラである。法案は「趣旨に沿わない運用が見られ適正な任用が確保されていない」から特別職と臨職の任用を厳格化し一般職の制度を明確化させるとしている。
 これまで地公法では常勤職員が基本で、臨時・非常勤などの職員はあくまで例外的とされてきた。今回、その非正規職の大半を「会計年度任用職員」に一本化し、法律で厳格に規定しようとしている。戦後地方公務員制度の重大な転換だ。15年9月の労働者派遣法改悪は「臨時的例外的なもの」とされてきた派遣労働の「常用代替禁止」原則を破壊し、全社会化するものだった。それに匹敵する大攻撃である。
 改悪案は特別職のスト権を奪い、非正規職全員を年度末で解雇し、任用更新のたびに1カ月の試用期間を設けてふるい落とす。闘いでかちとった雇用継続の慣行や勝利判例も踏みにじるものだ。
 法案のベースとなった総務省の「任用等の在り方研究会報告書」(16年12月)は「長期にわたって継続して勤務できるといった誤解を招かないよう努める」「人事評価による勤務実績を考慮」すべきだと強調した。労働者を選別・分断する団結破壊の不当労働行為の法制化だ。
 報告書は常勤職員の業務として「組織の管理・運営自体に関する業務や財産の差し押さえ、許認可といった権力的業務」を挙げた。それ以外は非正規職化し民間委託すべきだという主張だ。

10割非正規化窓口業務委託の突破口狙う

 現に安倍政権は3月7日提出の改悪案以外に、3月10日に別の自治法改悪案を出した。転入届や住民票の写しの交付請求の受理などの窓口関連業務を地方独立行政法人が受託できるようにすることが柱だ。「東京足立区方式」として宣伝されたが守秘義務などの問題で頓挫した窓口業務の全面民営化に道を開こうとしている。
 しかしこうした攻撃は新自由主義の歴史的破綻の中で、朝鮮戦争と民営化・共謀罪に突進する安倍政権に対する労働者の総反乱への恐怖に突き動かされたものだ。動労千葉のCTS(千葉鉄道サービス)闘争や奈良市従の下水道民営化阻止闘争を先頭に正規・非正規の団結が当局・資本を追いつめている。それゆえに非正規職の解雇・団結破壊で必死に闘争を抑えつけようとしているのだ。「積年の諸課題の解決に向けて本法律案を成立させることが重要」とする事務局長談話を発した連合や自治労本部への怒りを爆発させ、非正規職撤廃へ、ストで闘う労働運動を前進させよう。
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地方公務員の臨時・非常勤職員
特別職非常勤職員  22万人
 (事務職、嘱託員、相談員など)
 一般職非常勤職員  17万人
 (事務職、保育士など)
 臨時的任用職員   26万人
 (事務職、保育士、教員など)

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