戦争のための共謀罪粉砕を あらゆる人が対象に 労働組合解体にまで行き着く

週刊『前進』02頁(2840号02面02)(2017/04/27)


戦争のための共謀罪粉砕を
 あらゆる人が対象に
 労働組合解体にまで行き着く


 共謀罪が、差し迫る朝鮮戦争のために制定されようとしている。戦前・戦中の治安維持法と同じく「私には関係ない」ということはあり得ない。2人以上集まることが犯罪とされ、弾圧の対象とされていく。戦争を許さない闘いで絶対に阻止しよう。

団交・スト貫徹議論で「共謀」

 共謀罪法案(組織犯罪処罰法改定案)の条文には「テロ集団」「組織的犯罪集団」の定義はおろか、何が、どう犯罪となるのかも示されず、曖昧模糊(あいまいもこ)としている。捜査当局によっていくらでも解釈可能、どの団体にも拡大可能であり、そこに最大の狙いがある。
 神戸学院大学の内田博文教授は治安維持法について述べている。「そもそも政府には限定解釈する意思はまったくなかった。話し合いや勉強会、サークル活動、宗教団体など、人が集まることがすべてターゲットにされた。この人たちが反政府活動や戦争反対の行動をするかもしれないから、事前に芽を摘んでおこうということです。こうして人びとの普段の生活がすべて取り締まりの対象になりました」
 最大のターゲットは労働組合だ。会議や集会で「団交貫徹を」とか「ブラック企業経営を弾劾しよう」「ストで闘おう」と議論すれば「共謀」が成立し、ビラを作り、連絡したり、買い出しや預金を引き出したりすることは「準備行為」とされる。これまでも、団交が「逮捕監禁」「強要」「恐喝」、ビラの配布や抗議行動が「信用毀損(きそん)」「威迫行為」、ストライキのピケットが「威力業務妨害」にあたるなどとして、労働運動つぶしの常套(じょうとう)手段として使われてきた。しかし今後は「組織的犯罪」として組合員や集会参加者が一網打尽とされ、逮捕や強制捜査まで狙われる。治安維持法弾圧ではスト禁止・労組解散まで強行された。労働組合が最大の戦争反対団体だからだ。これらすべてが戦時下では絵空事でなくなる。
 金田勝年法務大臣は「普通の団体も一変すれば該当する」と述べた。当局が「一変した」と判断すれば取り締まり対象だ。そのための監視や捜索が大手を振ってまかり通ることになる。辺野古新基地建設反対闘争への弾圧に明らかだ。すでに岐阜県大垣市では風力発電所建設問題で勉強会を開いた住民への警察の監視活動が暴かれた。昨年7月参院選で大分県警は別府市内の労組事務所の出入りを盗撮していたことが発覚している。4月21日に政府は「犯罪計画の疑いがあれば準備行為の前でも捜査できる」との見解まで示した。
 共謀罪自体が改憲の先取りだ。さらに国民投票の前に、改憲反対の労働組合や大衆団体は「犯罪集団」とされかねない。そういうことを安倍政権は狙っている。

労働者の団結と決起恐れる

 共謀罪は「2人以上の共謀」をもって犯罪とする。団結破壊であり、労働組合や大衆団体の解体にまで行き着く。
 治安維持法は第1次大戦への怒りの爆発としてかちとられた1917年ロシア革命とそれに続く全世界の労働者決起の中で25年に制定され、日本帝国主義の侵略戦争の泥沼の中で改悪されていった。根底にあるのは国際連帯と革命に対する恐怖だったし、今もそうだ。
 新自由主義は破綻し、安倍政権は戦争と改憲へ突進している。労働法制大改悪と労組破壊が最後の絶望的な延命策だ。
 韓国の労働者は、治安維持法以上の国家保安法弾圧を突き破ってパククネを倒し、社会の根底的変革=革命へと進撃している。そして日本では国鉄分割・民営化以来、国鉄闘争が改憲と戦争国家化、労組破壊・スト根絶の攻撃を阻んできた。
 ストライキが復権しつつある。公安警察は京都大反戦ストを闘った全学連を弾圧し、労働組合や反原発運動への「白タク」デッチあげや「詐欺罪」による障害者作業所破壊などをしかけたが、労働者民衆の怒りで粉砕された。闘えば勝てる。戦争と民営化に絶対反対で闘う団結に、共謀罪を粉砕し安倍政権を倒す力がある。闘いぬこう。

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共謀罪が労働組合に適用されると...

■共謀成立 
・会議や集会で「団交貫徹を」「経営を弾劾 
しよう」「ストで闘おう」と議論
■準備行為
・ビラの作成、組合員への連絡、団交の要請、
買い出し、預金引き出し、下見など
■適用される罪(一例として)
・団交⇒逮捕監禁、強要、恐喝
・ビラ配布、抗議行動⇒信用毀損、威迫行為
・ストライキのピケット⇒威力業務妨害
◎「組織的犯罪」として組合員が一網打尽に

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戦争と共謀罪に反対する大集会
 5月19日(金)午後6時30分
 弁護士会館2階講堂クレオ(東京・霞が関 日比谷公園霞門向かい)
■講演 荻野富士夫さん(小樽商科大学教授)
  「共謀罪―治安維持法
 多喜二の時代から見えてくるもの」
■基調発言 高山俊吉弁護士
「戦争への治安司法を打ち砕け」
■報告 朝鮮戦争最前線の島・沖縄
主催 憲法と人権の日弁連をめざす会
   裁判員制度はいらない!大運動
   現代の治安維持法と闘う会

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