〝出向命令は違法・無効〟 動労総連合強制出向無効確認訴訟 結審迎え最終陳述

週刊『前進』04頁(2853号03面04)(2017/06/19)


〝出向命令は違法・無効〟
 動労総連合強制出向無効確認訴訟
 結審迎え最終陳述

(写真 近藤名誉教授【左】を招き総括集会)

 動労総連合強制出向無効確認訴訟は6月7日の口頭弁論で原告、被告双方の最終陳述が行われ、12年12月の提訴以来の4年半にわたる裁判は結審を迎えた。
 最終陳述に立った原告側の代理人弁護士は、「JRへの復帰が予定されていない出向命令は実質的な転籍であり違法・無効」と断定した。出向期間は3年とされているが、裁判で会社側証人は「出向者を3年後にJRに戻す具体的計画はなかった」と明言している。業務は丸ごと外注化されたので、JRに戻る職場は存在しない。会社側証人は「外注先のプロパー(直雇い)労働者に清掃も検修も行わせれば労働密度が上がる」とも証言したが、外注会社の労働条件をとことん切り下げ、やがてはその条件で出向者を転籍させることがJRの最終目的だ。
 外注化は偽装請負と安全崩壊をもたらす。原告側は「違法状態のところに出向を命じること自体が違法・無効」と結論付けた。
 動労千葉の関道利副委員長、動労水戸の石井真一委員長、動労連帯高崎の漆原芳郎委員長が説得力ある意見を簡潔に陳述した。
 これに対しJRは、「定年後、エルダー社員として再雇用された人は原告適格がない」と言い放ち、「出向命令は就業規則に基づくから有効」「出向後の職場・業務は以前と同一だから原告の不利益は通常の配転より少ない」「偽装請負であったとしても出向命令は有効」とまくしたてた。原告側に反論できず、居直るほかになくなったのだ。
 双方の最終陳述を受け、佐々木宗啓裁判長は10月10日の判決日を指定した。

近藤名誉教授を招き総括討論会

 裁判後、日比谷図書文化館で、裁判闘争の総括・討論会が行われた。出向命令の違法性を明らかにする意見書を執筆した近藤昭雄・中央大学法学部名誉教授が、「労働は労働者の主体的営み」と強調し、「労務指揮権の譲渡は労働者の承諾が必要。そうでなければ人身売買になる。労働者を勝手に出向させることはできない」と述べ、「出向命令への抵抗は重要な反合闘争のひとつ」と指摘した。
 この提起を受けての討論では、JRが最後のよりどころにする「就業規則に基づくから出向命令は有効」という「就業規則万能論」にどう反撃するかが重要なテーマになった。
 動労千葉の田中康宏委員長が、「外注化で膨大な労働者が非正規職化されたが、動労総連合だけが外注化と闘った。JRは業務の全面分社化と転籍強要に踏み出してきたが、これと闘ってこそゼネスト情勢は生み出される」と訴えた。
 動労総連合の各単組が「勝利の鍵は組織拡大」と不屈の闘志を表明した。
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