韓国民主労総が非正規職ゼネスト 5万7千人がスト突入 〝私たちの手で社会を変える〟 6・30 未組織労働者も参加、正規職も連帯

週刊『前進』02頁(2858号02面01)(2017/07/06)


韓国民主労総が非正規職ゼネスト
 5万7千人がスト突入
 〝私たちの手で社会を変える〟
 6・30 未組織労働者も参加、正規職も連帯

(写真 緑とピンクのベストを着た学校非正規職の労働者がゼネスト大会の中心にすわった【6月30日 ソウル光化門広場】)

(写真 給食が中止になった学校の食堂に張られた「スト支持」の壁新聞)

(写真 「最低賃金1万ウォン!」の壇上からの掛け声に応え、「非正規職完全撤廃!」「今すぐ!」のボードを一斉に掲げるゼネスト大会参加者。最前列右から2人目がチェジョンジン民主労総委員長代行【6月30日】)

(写真 「法外労組即刻撤回」「労働基本権戦取」のスローガンを掲げて集会を開く全教組の教育労働者【6月30日 ソウル】)

(写真 公共運輸労組貨物連帯本部の総決起大会で、労働基本権を認めよと声を張り上げる貨物労働者【7月1日 ソウル】)


 6月30日、韓国・民主労総(全国民主労働組合総連盟)は、「最低賃金1万ウォン」などを掲げて初の「非正規職ゼネスト」を打ち抜いた。公共部門の非正規職労働者を中心に5万7千人がストに立った。パククネ打倒から約4カ月、新政権発足から2カ月、革命の第2段階へ労働者階級の力強い前進が始まった。

非正規職が主力のストは史上初めて

 6月30日の社会的ゼネストは、学校や清掃、警備、病院など公共部門の非正規職や財閥大企業の下請け労働者、「一人親方」とされて労働者とみなされない建設現場の請負労働者など、非正規職労働者が主役となった全面ストライキとして闘われた。民主労総の歴史においても初めての画期的なゼネストだ。その主力は公共部門、とくに学校非正規職を先頭とする圧倒的な女性労働者だ。
 打倒されたパククネに代わって登場したムンジェイン(文在寅)政権は社会の「改革」を口にするが、労働者の状況、とりわけ非正規職労働者に強いられている極度の低賃金、強労働、人間扱いされない過酷な現実は何も変わらない。だがその非正規職労働者が組織的に団結し、自ら社会変革の主体として決然と立ち上がったのだ。

じっと待つのではなく闘って勝利を

 午後3時から光化門広場で開催されたゼネスト大会には組合員など5万人が集まった。民主労総を先頭に70以上の諸団体で結成された万ウォン行動(最低賃金1万ウォン・非正規職撤廃共同行動)のもと、農民、貧困者、障害者、学生やアルバイトの青年労働者、未組織労働者、民主労総には未加盟の労組も参加した。
 民主労総のチェジョンジン委員長代行は、「最低賃金1万ウォン! 非正規職撤廃! 労働組合の権利! 今すぐ!」を掲げて闘いとられた今回のゼネストを、「無視と差別、幽霊扱いを受けてきた労働者が社会の主人であることを堂々と宣言するゼネスト」だとし、「非正規職ゼネスト」と名づけた。その要求は「時代の要求」であり、全労働者、全人民の生きる権利を守るものだと宣言した。そして「今が積弊(パククネのもとで積み重ねられた弊害)清算と社会大改革のゴールデンタイム」であるとし、「今を逃せば財閥と保守反動勢力の反撃が始まるのは明白だ。闘いを止めることはできない。より速く、より大胆に、より適切な方向での大改革を求める」と強調した。
 学校給食の調理員として20年働き、あと6カ月で定年という女性労働者は「私の夢は退職する前に後輩や子どもたちに非正規職のない世界をつくって渡すこと。政府はじっと待てと言うがこれ以上待ってはいられない」と語った。全国教育公務職本部のアンミョンジャ本部長は、「私は7年働いて無期契約職になったが校長が代わるとすぐに解雇された。無期契約職が正規職と同じだと言うのはペテンだ」と語り、「学校非正規職の大半が最低賃金以下の時給で働いている。政府にお願いするのではなく、私たちの労働条件は私たち自身の手で直接もぎとろう」と訴えた。

2000校以上で学校給食が中止に

 この日のストは実際に、団結した労働者の力の大きさを全社会に衝撃的に突きつけた。政府発表によれば私立を除く韓国全土の小中高校のうち3704校で非正規職労働者がストライキに入り、給食が中止となった学校が2171校に上った。保守マスコミなどが非難の声を上げる一方、保護者が率先して「スト支持」の壁新聞を教室に張り出す学校も出た。
 全教組(全国教職員労働組合)の組合員も、非正規職労働者と連帯し年休をとって闘いに参加した。パククネは全教組の法的権利を暴力的に奪い、新政権はその撤回を公約したが極右勢力の反発を恐れていまだに実行しない。これへの怒りがたたきつけられた。
 翌7月1日には、大型トレーラー車両運転手の組合である貨物連帯がソウル市内で集会を開き、大統領は公約を守れと怒りの声を発した。「自営業主」扱いされてきた貨物連帯など特殊雇用労働者にとって、労働基本権の獲得は切実な課題だ。労働者の団結した力こそが歴史を動かし、社会を変える! この確信のもと不屈の進撃が始まった。

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