朝鮮戦争に突き進む日米帝 北への「先制攻撃」態勢強める

週刊『前進』04頁(2861号02面02)(2017/07/17)


朝鮮戦争に突き進む日米帝
 北への「先制攻撃」態勢強める

(写真 サードが配備された星州【ソンジュ】の住民が、「サード配備決死反対」を掲げて米大使館包囲の先頭に【6月24日 ソウル】)

 7・2都議選で惨敗した安倍政権は、直後に「2018年改憲」のスケジュールをあくまで強行すると宣言した。その背景には、米トランプ政権による北朝鮮への戦争策動の一線を超えた激化と、それによる朝鮮戦争の超切迫がある。

米韓合同演習に続き日米が演習

 史上最大規模で強行された3〜4月米韓合同演習の終了後、米太平洋軍は、原子力空母「ロナルド・レーガン」「カール・ビンソン」の2隻を西太平洋に展開する異例の「空母2隻体制」を5月下旬から開始。巡航ミサイル「トマホーク」約1700発を同時発射できる「最大限の圧力」(トランプ)で北朝鮮を威圧した。さらに6月以降、グアム・アンダーセン基地所属の超音速爆撃機B1B「ランサー」2機を朝鮮半島上空に展開し、韓国空軍と合同演習を実施。B1Bはその後、九州周辺の空域で航空自衛隊とも共同訓練を行い、北朝鮮に対して日米の攻撃能力を誇示した。
 これと並行して、米トランプと韓国ムンジェイン(文在寅)との初の首脳会談が行われた。ムンは大統領就任以来、あたかも「労働者の味方」であるかのように振るまい、北朝鮮・中国とも関係改善を図ると公言。こうした動きにトランプは「怒り」をむき出しにしてきた。だが首脳会談では、ムンは一転して米韓同盟の重要性を強調し、6月29日のトランプとの夕食会では「トランプ氏の強力な力を基盤とした外交に全面的に共感する」と持ち上げた。これに先立ち、ムンは在韓米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD=サード)について「配備決定をほごにしない」と声明し、その反労働者的正体をあらわにしている。
 他方で、米日韓の軍事的重圧に追いつめられた北朝鮮・キムジョンウン(金正恩)政権は、7月4日、ICBM(大陸間弾道ミサイル)と見られるミサイル発射実験を強行した。これを受けて米韓両軍は5日、弾道ミサイル演習を強行し、「キムジョンウンら北朝鮮指導部を攻撃するためのミサイルだ」とするきわめて異例の声明を発した。
 こうした中で、日帝・安倍政権は朝鮮戦争への参戦を狙い、改憲と軍事大国化=自衛隊の侵略軍隊化を急いでいる。すでに政府は敵基地攻撃能力の保有を念頭に、航空自衛隊に配備予定の最新鋭ステルス戦闘機F35に空対地ミサイルJSMを新たに導入する検討に入った。JSMは「迎撃」ではなく純然たる敵地攻撃用兵器であり、ステルス戦闘機と組み合わせれば北朝鮮のレーダーをくぐり抜けて先制攻撃を加える手段となる。また陸上自衛隊は日本版海兵隊=「水陸機動団」の来春創設に向け、米軍との共同訓練を重ねている。

自治体や学校に「避難訓練」強制

 これらと並行して、安倍政権は地方自治体や小中学校を動員した「有事対応訓練」を全国で展開している。今年3月に「日本にミサイルが発射された」との想定で避難訓練を行った秋田県男鹿市を皮切りに、すでに5自治体が同様の訓練を実施。「頑丈な建物や地下に避難する」「物陰に身を隠すか地面に伏せて(頭を抱えて)頭部を守る」など、内閣官房が作成した避難マニュアルに基づく訓練が小中学校などで強制されている。またこのマニュアルを宣伝する異様な広告がテレビ、新聞、インターネットのポータルサイトなどで、3億6千万円の広告費を投じて展開されている。
 安倍政権の狙いは、訓練を通じて北朝鮮の脅威をあおると同時に、有事の際に住民を戦争協力へと総動員する拠点として、自治体や学校を国家権力の統制下に組み敷くことにある。
 戦争動員の焦点となる4大産別をはじめ、今こそあらゆる職場から労働組合が戦争反対で決起することが求められている。都議選で示された巨大な怒りを団結の力に転化し、戦争・改憲絶対阻止のゼネストを切り開こう。韓国・民主労総をはじめ全世界の闘う労働者とともに、国際連帯の力で戦争をとめよう。
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