「JR改革」叫ぶ東労組 第3の分割・民営化の最先兵に

週刊『前進』04頁(2867号03面03)(2017/08/14)


「JR改革」叫ぶ東労組
 第3の分割・民営化の最先兵に


 JR東日本は鉄道業務を全面的に子会社・グループ会社に外注化し、労働者をそこに転籍させることを狙っている。2000年以来の外注化を「第2の分割・民営化攻撃」とすれば、今、JRがたくらんでいるのは、それとは次元を異にする「第3の分割・民営化攻撃」と言えるものだ。その最悪の先兵が、JR東労組を牛耳るカクマルだ。

優遇策求め大破産

 JR東日本は6月9日、「エルダー社員の会社における業務範囲拡大と労働条件の一部変更について」という提案を行った。内容は、〝60歳定年後に再雇用されるエルダー社員は、子会社やグループ会社に出向させることが原則だが、例外としてJR本体に配置することもある〟というものだ。こうした形でJRは、業務の全面分社化に向けての布石を打ったのだ。
 この提案に向けて秘密交渉を続けた東労組は、それを機に資本との蜜月関係を再形成しようと夢想した。
 東労組が作成した「職場討議資料」は、国鉄分割・民営化に際してカクマルが行った大裏切りについて、「東労組初代松崎委員長は当局から提案された3本柱(他企業への派遣、早期退職、一時帰休)や広域異動を担う代わりに雇用安定協約を締結した」が、「国労は3本柱を拒否し、雇用安定協約を失効、1047名の解雇者を生み出した」と居直っている。また、外注化推進を誓った労組の組合員だけを定年後、子会社に雇用するとした2000年のシニア制度や現在のエルダー制度についても、「国鉄改革を担った東労組組合員の第二の雇用安定協約として整備されたもの」で「分割民営化反対の国労など、他労組のための制度ではない」とわめいている。彼らは6・9提案を「第3の雇用安定協約」と位置づけ、JR本体でのエルダー雇用枠を東労組組合員に優先的に配分するよう、資本にねじ込もうとしたのだ。
 だが、6・9提案をめぐる東労組との団交で、資本は「効率的で生産性の高い筋肉質な業務体制の推進を並行して進める」「原則出向の考えは変わらない」と言い張り、東労組の要求を拒んだ。東労組はあわてふためき、機関紙『緑の風』で「提案時の内容と違うだろー」などと騒ぎ始めた。

総屈服誓った大会

 東労組が6月12~14日に開いた定期大会は、カクマルの資本への総屈服を浮き彫りにした。
 東労組委員長の吉川英一は、6・9提案の狙いが分社化・転籍にあることを一切語らず、その本質を押し隠した。そして、「JR改革が最優先課題」と叫び、大合理化の手先になることをあらためて表明した。
 吉川はまた、「労使協力関係の土台を築き上げてきた会社経営陣の皆様に感謝を申し上げます」「労使共同宣言がある中で……これからもJR東労組に向き合っていただきたい」と資本におもねった。カクマルとの結託体制の最後的な清算に動く資本に対し、〝自分たちを切り捨てないで、新たな労使共同宣言を結んでくれ〟と泣きついたのだ。
 だが、大会に来賓として出席したJR東日本社長の冨田哲郎は、業務の効率化を一方的にまくし立て、カクマルの泣き言をはねつけた。JRは、国鉄採用の労働者が大量退職するこの時期に分社化を一気に強行し、JRのあり方を激変させようとしている。6・9提案も、資本は「激変緩和措置」と位置づけている。
 他方、吉川は分割・民営化の際のカクマルの裏切りを居直る「国鉄改革30年検証運動」と、国鉄採用者が退職した後も「JR東労組運動を次世代に継承する」ための「バトンゾーンのたたかい」を展開すると強調した。だが、バトンが次世代に受け渡された後の展望など何もない。カクマルには、資本の攻撃の先兵となることで延命を認めてもらう方針しかないのだ。
 JRは当面、駅の全業務外注化と、動労千葉―動労総連合の闘いによって全面的には貫徹できていない検修業務の外注化に総力を挙げている。その先にあるのは車掌や運転士の業務の分社化だ。これは運転職場を「拠点」にしてきた東労組を直撃する。資本に東労組優遇策をとる余地はない。

JR総連倒す好機

 JR東日本社長の冨田は今や、「鉄道は専用の線路があるため自動運転に適している」と言い放っている。いずれ運転士はいらなくなるというのだ。JRはそこに向けて、乗務員勤務制度の改悪や乗務手当の廃止をたくらんでいる。
 運転士の業務はもちろん、労働者が担うあらゆる労働は、機械に置き換えられるものでは断じてない。労働者の誇りをかけた怒りは必ず爆発する。それは攻撃の手先となったJR総連カクマルの打倒へと向かう。動労総連合を先頭に第3の分割・民営化攻撃に立ち向かい、11月労働者集会へ闘いを進めよう。
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