焦点 インド訪問で対中対決を前面に 戦争外交に突き進む安倍

週刊『前進』02頁(2880号02面03)(2017/09/28)


焦点
 インド訪問で対中対決を前面に
 戦争外交に突き進む安倍


●日米印3カ国が軍事協力
 日帝・安倍政権は、朝鮮侵略戦争参戦と対中国の軍事的対決を日米同盟として策動しつつ、独自の戦争外交に必死になっている。これは、日帝が大恐慌と争闘戦の激化に追い詰められる中で、脱落帝国主義の現実から突破しようと必死にあがいている現れである。
 8月末に英帝メイと会談し、9月にロシア・プーチンと会談した。これに続き9月中旬にインドを訪問しモディ首相と会談した。安倍はここで「自由で開かれたインド太平洋戦略」なるものを掲げ、インドとの連携を強化して中国と対決することを確認した。
 具体的には、今年から始めた日本・アメリカ・インドの3カ国共同の海上軍事演習を今後、さらに拡大することを合意した。中国の「一帯一路」構想と海洋進出に共同で対抗しようとするものである。
●原発輸出で核武装に協力
 また、7月に発効した日印原子力協定を踏まえ、原発の輸出計画や課題を協議する官民の作業部会の設置を決めた。これは決定的に重大である。現在、米日帝は北朝鮮の核実験を強く非難し、制裁・戦争に突き進んでいるが、他方ではこのように「原発輸出」の形でインドの核保有・核開発に積極的に手を貸そうとしている。
 モディ政権は2032年までに原発の発電能力を今の10倍に拡大する計画である。日帝は東芝の経営危機、原発事業撤退方針で危機に立っているが、これを突破しようと日立や三菱重工業を巻き込んで、原発輸出を必死で狙っている。
 インドに対する原発輸出は、それ自体が被曝と原発事故の輸出であり、とうてい許せない。しかし、それにとどまらずこれは「原発」に名を借りてインドの核武装・核開発に手を貸すものだ。多くのインドの労働者人民が原発と日印原子力協定に反対している。
 そもそもインドはNPT(核拡散防止条約)に加盟しておらず、すでに100発以上の核弾頭を保有している核武装国家である。インドが1974年に初めて行った核実験は、原発の研究目的でカナダから提供を受けた原子炉を軍事目的に転用したものであった。アメリカは、07年にインドと原子力協定を結んだが、その間もインドは核兵器の増強を続けてきた。
 日本政府は「インドが核実験を行えば日本は協力を停止する」と言って、日印原子力協定を強行した。だが外務省幹部は、「爆発を伴わない未臨界実験のようなものまで禁じていない」と国会で答弁している。原発技術と原発材料の軍事転用にはなんの歯止めもない状態である。日帝は米帝と同様にそれを黙認するつもりなのだ。この背景には日帝自身の核武装の衝動がある。
●高速鉄道にJR東が参加
 また、今回の安倍のインド訪問で、日本の新幹線方式を採用するインド西部の高速鉄道計画に1千億円の円借款を供与することを約束した。高速鉄道はインド西部のアーメダバードとムンバイ間約500㌔を結び、総事業費約2兆円の事業である。これにはJR東日本グループが参加している。日帝とJR資本は、安倍の「成長戦略」の成否をかけて、これを突破口に他のインドの高速鉄道計画への参入も狙っている。
 さらに、北東部の道路網整備に386億円の円借款の供与を約束した。北東部は今夏、中印両軍が2カ月半、対峙したドクラム地方にほど近い。日本が協力して建設する道路は、中国との戦争の時にはインド軍の輸送路になる。日本はそれを承知の上で円借款と道路建設への参加を決めた。
 戦争と改憲の道を突き進む日帝・安倍を労働者階級の団結で打倒しよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加