乗務員手当の廃止狙うJR 東労組が重大攻撃おし隠す 労働者をまた資本に売るのか!

週刊『前進』04頁(2881号02面01)(2017/10/02)


乗務員手当の廃止狙うJR
 東労組が重大攻撃おし隠す
 労働者をまた資本に売るのか!

JR東日本は13種類の特殊勤務手当を廃止
廃止された手当
①放射線作業手当
②踏切作業手当
③工場等特殊作業手当
④防疫等作業手当
⑤トンネル内等作業手当
⑥汚物処理等作業手当
⑦高所等作業手当
⑧高圧活線作業手当
⑨復旧警備作業手当
⑩手術手当
⑪自動車運転手当
⑫緊急自動車運転手当
⑬特殊溶接作業手当
残っている手当
①深夜早朝勤務手当
②夜間看護手当
③乗務員手当
④自動車乗務員手当
⑤添乗手当


 JR東日本は鉄道業務のすべてを分社化し、労働者に分社への転籍を強いる第3の分割・民営化攻撃を進めている。これは安倍政権が強行している「働き方改革」の最先端に位置するものだ。JRはすでに、運転士や車掌の業務もJR本体には残さず、分社化すると決断した。その中で、運転士や車掌の勤務実績に応じて支払われている乗務員手当の廃止がたくらまれている。

労働者の怒り爆発恐れる

 乗務員手当の廃止という重大な攻撃について、JR東労組は事実を現場組合員に隠し続けている。
 JR総連傘下のJR東労組は、国鉄分割・民営化に率先協力し、それによって多数派にのし上がり、JR資本と結託して労働者の闘いを徹底的に抑圧してきた。そのJR東労組の執行部を握っているのが、カクマルという反革命党派だ。彼らが、JR経営陣のたくらむ合理化施策について、知らないはずがない。
 だが、乗務員手当の廃止がたくらまれている事実が現場に知れわたれば、労働者の怒りは沸騰し、東労組と資本との対立は非和解化する。資本との関係修復を追い求めるカクマルにとって、それだけは絶対に避けなければならない事態だ。
 攻撃を隠すのは、それを容認する大裏切りだ。東労組カクマルは、自分の利益のためだけに、またも組合員を資本に売り渡そうとしているのだ。
 乗務員手当の廃止は、JR東日本が6月9日に出してきた「エルダー社員の会社における業務範囲拡大と労働条件の一部変更について」の提案と一体だ。
 JR東日本のエルダー社員制度は、60歳でいったん定年退職した労働者をエルダー社員として65歳まで再雇用するが、実際の業務はJRではなく外注会社に出向させて行わせるというものだ。6・9提案は、「エルダー社員はグループ会社に出向させる」ことを大原則とした上で、会社の都合によってはJR本体に配置することもあるという内容だ。その背後には、JR本体の車掌や設備部門で人員が不足しているという現実がある。JRは、分社化を強行する過程で生じる矛盾を取り繕うための調整策として、この提案を出してきたのだ。JRの意志はあくまで、本格的な分社化に踏み込むことにある。

資本との関係修復を夢想

 東労組は「私たちが要求してきたエルダー本体勤務枠拡大/会社提案を引き出す!」と、この提案にもろ手を挙げて賛成した。今年1月以来、東労組がエルダー社員の本体雇用枠の拡大をJRに要求してきた経緯はある。それに乗る形で出された提案を、東労組は「国鉄改革を担った真面目な社員だけを対象とした制度」と位置づけた。そして、JR本体でのエルダー雇用枠を東労組組合員に優先的に配分するよう、資本にねじ込もうとした。カクマルとの結託体制の破棄・清算に向けて動き出したJR資本に対して、カクマルはこうした形で「自分たちを切り捨てないでくれ」と泣きついたのだ。
 しかし、提案の細部をめぐる団体交渉に入ったとたん、JR資本が東労組優遇策など考えてもいないことが明らかになった。東労組はエルダー本体雇用の対象人数を明らかにするよう求めた。だがJRは「(検修部門は)まだ委託の途上にあるので、今後も変動はある」「(駅の営業部門は)水平分業(全面外注化)なので現段階では(本体雇用は)ない」と答えるだけで、東労組の要求にはまったく取り合わなかった。
 それどころかJRは「効率的で生産性の高い筋肉質な業務体制推進を並行して進める」「会社の十年二十年先を見据えて効率的な体制構築を目指していく」と強調した。今後のJRの外注化・分社化攻撃は、これまで東労組が「拠点」としてきた運転職場にも及ぶ。だからJRは、東労組との対立を激化させる姿勢をむき出しにしたのだ。
 これに対して東労組は、「本体勤務枠拡大よりも、効率化が前面に押し出されていることに断固反対」と言わざるをえなくなり、9月7日には「すべての効率化施策のいったん中断」を求める異例の申し入れをした。同時に東労組は、JR水戸支社が10月14日のダイヤ改定でもくろむ常磐線特急の車掌1人乗務化や水郡線のワンマン運転拡大、本線運転士が行っている車両基地への出入区業務のMTS(水戸鉄道サービス)への委託についても、反対を表明した。現場組合員の怒りをなだめ、また動労総連合と対抗するため、そうせざるをえなくなったのだ。

今こそ動労総連合拡大を

 外注化の手先となることで資本におもねり、生き残りを図ってきた東労組カクマルにとって、これは自己の否定につながる危機的事態だ。だから彼らは、乗務員手当の廃止というさらに重大な攻撃については、隠し通すほかにないのだ。
 今年7月に行われたインタビューで、JR東日本社長の冨田哲郎は「自動車の自動運転技術が話題になっていますが、むしろ鉄道の方が専用の線路があるために自動運転に適しています」と言い放った。「技術的には無人運転も可能なのに乗務員に特別に手当を払う理由がない」というのがJRの態度だ。
 だが、運転士は多くの乗客を乗せ、ひとつ間違えたら大変な事故になる重い責任を抱え、不規則で長時間の勤務を強いられて体を酷使しながら乗務している。資本はその現実をまったく無視して、将棋の駒のように労働者を扱おうとしているのだ。断じて許せない。
 分社化・転籍攻撃と乗務員手当廃止絶対阻止へ闘おう。JR総連を打倒し、動労総連合をさらに拡大しよう。職場から反撃し、衆院選決戦--11・5労働者集会の勝利へ進もう。

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