「国難」叫び戦争動員図る 安倍所信表明 労働者の怒りにおびえ

週刊『前進』04頁(2897号01面03)(2017/11/27)


「国難」叫び戦争動員図る
 安倍所信表明
 労働者の怒りにおびえ


 11月17日、安倍は衆参両院の本会議で所信表明演説を行った。そこでは全面的な政策の内容を話すこともできずに、安倍政権の絶望的な危機の深さをあらわにした。「国難を乗り越える」と叫び立て、労働者人民を戦争に動員しようとたくらむ許しがたいものだ。
 総選挙での「自民党の大勝」とは逆に、労働者階級人民の怒りの大きさを安倍自身が一番感じている。演説はこれまで安倍が行ってきた中でもっとも短く、安倍自身が強行した安保戦争法と共謀罪には一言も触れられなかった。ただひたすら労働者階級の決起を恐れているのだ。
 解散・総選挙前は「丁寧に説明する」と言っていた森友・加計問題についての言及はなく、演説の一言目を「緊迫する北朝鮮情勢」から始めて、北朝鮮の脅威をあおりたてた。
 「わが国を取り巻く安全保障環境は、戦後、最も厳しい」と言い、トランプの来日をへて「北朝鮮への圧力をいっそう強化する」「強固な日米同盟の下、防衛力を強化し、具体的な行動をとる」と述べ、朝鮮戦争参戦の意思を明らかにした。他方、トランプはアジアを歴訪し、朝鮮半島の周りに空母を3隻も集め、軍事演習を繰り返し、北朝鮮と韓国民衆への恫喝を強めている。朝鮮戦争情勢はいよいよ切迫している。
 演説の中では、「人づくり革命」「生産性革命」が押し出された。
 「人づくり革命」では、3歳〜5歳までの幼児教育無償化を強調したが、その実は教育・保育・介護の民営化を激しく推し進めるものだ。そもそも労働者の非正規職化によって子どもを産めない膨大な青年層をつくってきたのは歴代の自民党政権だ。それが生産年齢人口の大幅な減少を引き起こしたことに焦っている。そして少子化対策をするから、安倍政権が強行してきた秘密保護法、集団的自衛権、安保戦争法、共謀罪をすべて認めろと労働者人民に迫っているのだ。断じて許すことができない。
 「生産性革命」とは、人口知能、ロボットを導入することによる労働者の総非正規職化と大量解雇である。実際に、三菱東京UFJ銀行は、業務のデジタル化によって2023年度末までに6千人の人員を削減する方針だ。同様に、みずほフィナンシャルグループは26年までに1万9千人の労働者を削減する。演説からは、長時間労働や過労死などは言葉としても消し去っている。
 さらに、11年3・11東日本大震災について、復旧・復興の虚構づくりのために福島の高汚染地域への帰還を強制している。
 最後に、「建設的な政策論議を」と、労働者階級に反対を言わせず改憲を進めると宣言して演説を終えている。最初から最後まで国家に対する労働者の屈服を迫る戦争宣言である。
 そのすべてに「2020年までに」という期限をつけ、オリンピックを盾に、すべてを強行しようとしているのだ。
 日本の労働者階級の回答は明白だ。韓国・民主労総に学び、労働組合の拠点建設を進め、ゼネスト―革命で戦争に突き進む安倍政権を打倒しよう。
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