核攻撃想定し米韓大演習 岩国基地からF35B投入

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週刊『前進』02頁(2900号02面02)(2017/12/07)


核攻撃想定し米韓大演習
 岩国基地からF35B投入

核戦争発動たくらむ米日

 12月4日、米韓両軍は航空戦力を中心とする合同演習「ビジラントエース」を開始した。米軍は空軍、海軍、海兵隊など約1万2千人を投入、また航空機はF22やF35などのステルス戦闘機などを始め、米韓合わせておよそ230機が投入され、定例の演習としては過去最大規模となる。
 特に高いステルス性能を持つ最新鋭戦闘機F35Bは、日本の岩国基地から訓練に投入され、そのまま岩国基地へ帰還する予定だ。
 これに先立つ1日、韓国軍はキムジョンウン(金正恩)ら北朝鮮の最高指導部を殺害する「斬首作戦」を実行する「特殊任務旅団」を創設したと発表した。北朝鮮はこれに激しく反発している。
 この間の米トランプ政権による激しい恫喝と圧力、戦争挑発に追い詰められた北朝鮮は、11月29日、新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)発射実験を強行した。だが、トランプと安倍はこうした北朝鮮の軍事的対応をも口実とし、えじきとして、ますます朝鮮戦争・核戦争に前のめりに突き進もうとしている。
 とりわけ重大なことは、本紙2897号でも報じたように、今や米トランプ政権の中枢から、核による北朝鮮への先制攻撃を要求する声が公然と噴出し始めたことだ。
 11月14日、米上院外交委員会による公聴会の場で、フィーバー元国家安全保障会議顧問は、「アメリカは今も法的には北朝鮮と戦争状態にある。1953年の休戦協定は単なる『停戦』でしかない。この事実が(核による)先制攻撃の法的根拠となりうる」と発言した。さらにトランプ政権の国家安全保障担当大統領補佐官であるマクマスターも、「予防的な核攻撃も選択肢の一つ」だと公言している。
 実際、米軍は核攻撃をリアルに想定した動きを見せている。10月28日、米空軍は戦略爆撃機B52を核爆弾を搭載した状態で常時待機させることを発表した。こうした措置は26年ぶりで、1991年のソ連崩壊に伴う「冷戦」終結以降では初となる。
 この米空軍のB52が今年8月、日本の上空を横断飛行した後、日本海上空で航空自衛隊と共同訓練を行っていたことが、11月19日になって明らかにされた。核攻撃を行う可能性のあるB52と空自の共同訓練が公にされるのは初めてである。しかも訓練内容は空自の戦闘機が編隊を組んでB52を護衛するというもので、明らかに北朝鮮への核攻撃作戦を共同で行うことを想定したものだ。これをあえて公表すること自体が、北朝鮮に対する激しい威嚇であり、核攻撃をちらつかせた挑発行為そのものである。
 この他にも、10月29日に行われた防衛省の航空観閲式に、同じく核爆弾搭載可能な米軍の高性能ステルス爆撃機B2の参加が計画される(当日は悪天候のため中止)など、核による先制攻撃能力をあからさまに誇示した米日の核戦争挑発が繰り返されている。

労働者の団結でとめよう

 だが、こうした米日の朝鮮戦争・核戦争の策動は、トランプと安倍の絶望的な危機の表れである。
 12月1日、トランプ政権とロシアとの非公式の関係を巡る「ロシアゲート」事件で、前大統領補佐官のフリンが連邦捜査局(FBI)から訴追された。フリンは司法取引に応じ、駐米ロシア大使と密かに接触したのはトランプの娘婿のクシュナー大統領上級顧問の指示によるものであったことを明かした。一連のロシアゲート事件で、政権中枢およびトランプ本人にも捜査が及びかねない事態となり、トランプは青ざめている。
 また米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11月30日、トランプ政権の事実上の閣僚トップであるティラーソン国務長官が、トランプとの対立から近く解任される見通しだと報じた。こうした事態は、トランプ政権に対する全米および全世界の怒りの声が渦巻く中で、米帝国主義の支配階級の内部にも深刻な分裂・動揺が生じていることの表れである。トランプは自らの政権が空中分解寸前になる中で、もはや戦争に訴える以外に延命の道がなくなっているのだ。
 こうした米帝の核戦争策動と一体化し、安倍は戦争・改憲への動きを強めている。11月28日、自民党は憲法改正推進本部の全体会合を開き、次期通常国会に9条への自衛隊明記を含む改憲案を提出する方針を固めた。いよいよ改憲をめぐる歴史的決戦が到来した。
 労働者が国境を越えて団結し、戦争を狙う自国政府を打倒する闘いに立ち上がれば、戦争は必ず止めることができる。12・17労働者集会を出発点に、戦争・改憲絶対阻止の大闘争を今こそ巻き起こそう。
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