「日韓合意」は破棄あるのみ 戦争犯罪の歴史は葬れない

週刊『前進』02頁(2908号02面02)(2018/01/18)


「日韓合意」は破棄あるのみ
 戦争犯罪の歴史は葬れない

(写真 水曜集会に集まり「日韓合意の再交渉を求めない」とした韓国政府に抗議し、「ハルモニ元気を出してください」と呼びかける青年たち【1月10日 ソウル・日本大使館前】)

(写真 「『日韓合意』2周年弾劾!朝鮮侵略戦争阻止!」を訴えて闘われた12・16ハルモニと共に川崎反戦集会&デモ)

「合意」の検証によりさらけ出された日韓両政府の破産

 年末年始、日本軍軍隊慰安婦問題での2015年12・28「日韓合意」をめぐり、日韓両政府が完全な破産をさらけ出した。
 12月27日、韓国政府の作業部会が日韓合意を検証した報告書を発表した。報告書は、「被害者の意見を十分集約されず、政府間で『最終的かつ不可逆的な解決』を宣言しても問題再燃は避けられない」とするとともに、合意折衝が秘密裏に行われた上、非公開の「裏合意」があったことを明らかにした。
 1月9日、韓国のカンギョンファ外相が日韓合意が「2国間の公式合意だった事実は否定できない」として再交渉は求めないとした上で、日本政府が拠出した10億円と同額を韓国政府が負担し、「被害者が一途に望んでいるのは自発的な真心ある謝罪だ」と日本政府の自発的措置に「期待」するという「新たな方針」を表明。翌10日、ムンジェイン大統領も「真実と正義に立脚した解決を日本に促す」と語った。
 今回の「新方針」で、ムンジェイン大統領は「日韓合意破棄、再交渉」の公約を公然と投げ捨てたのである。韓国をはじめ世界から一斉に怒りが噴き出している。
 安倍政権は、検証報告が発表されるや、「合意に至る過程に問題があったとは考えられない」「韓国政府が同報告書に基づいて、すでに実施に移されている合意を変更しようとするのであれば、日韓関係がマネージ(管理)不能となり、断じて受け入れられない」(12月27日、河野太郎外相)と恫喝した。
 1月12日、安倍自ら「韓国側が一方的にさらなる措置を求めることは、全く受け入れることはできない」と断じ、韓国をはじめとする労働者人民の怒りの火に油を注いだ。

日韓の政権中枢が戦争のために推進した非公開裏合意

 韓国政府の日韓合意検証報告によると、秘密交渉は、韓国側がイビョンギ国家情報院長(14年7月〜15年2月。3月〜16年5月まで大統領秘書室長)、日本側が谷内(やち)正太郎国家安全保障局長で、15年2月から8回に及んだ。
 パククネ政権で権力を振るったイビョンギは国情院長当時、国情院の特殊活動費からパククネ大統領に総額40億ウォンもの裏金を送金していたとして昨年11月14日に逮捕された。
 一方の谷内は、安倍政権のもとで「安全保障政策の司令塔」として14年1月に発足した国家安全保障会議(NSC)の事務局を率いる国家安全保障局長であり、国家安全保障担当の内閣特別顧問も務める。まさに戦争政治を推し進める安倍政権の中枢にある。
 ともに政権の中枢中の中枢、しかも安保外交部門を担う2人が、水面下での交渉を積み重ねて12・28日韓合意を生み出したのだ。
 つまり、日韓合意の狙いは、日帝の国家的戦争犯罪である日本軍慰安婦問題を「最終的・不可逆的」に封印することだった。そうしなければ米帝トランプとともに朝鮮半島をめぐる戦争に自衛隊を派兵することができないからだ。
 現に昨年末、安倍政権は朝鮮半島で軍事衝突が起きた場合に備え、自衛隊の対応に関するシミュレーションに着手した。これを主導するのもNSCだ。まさに日韓合意は戦争法と連動する安倍政権の戦争政治そのものなのである。
 検証報告によると、韓国政府が、被害女性をサポートしている韓国挺身隊問題対策協議会を「説得する努力をする」こと、また海外で慰安婦被害女性を象徴する少女像などの設置を支援しないこと、「性奴隷」という用語を使わないことなどの裏合意が行われた。
 ここには、戦争被害を繰り返させないために長い沈黙を破って立ち上がった被害女性たちの告発、決起に恐怖する安倍の姿が見える。その記憶を世代を超えて継承し、戦争を阻もうとする労働者人民の闘い、パククネを打倒した韓国人民に震え上がっているのだ。悪政を尽くしたパククネ政権が1700万ろうそく革命によって打倒された今、「積弊清算」=日韓合意破棄はあまりにも当然だ。
 さらに「不可逆的」という表現は当初、韓国側が「謝罪の不可逆性」を強調するために言及したものだという。それが「不可逆的解決」に歪曲されたのだ!
 日韓合意撤廃! 始まる前に戦争を止めるため、国際連帯を力に声を上げよう! 行動しよう!

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