米韓空軍が空前の演習 〝一日で北朝鮮壊滅〟のシナリオ発覚 朝鮮戦争を阻止しよう

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週刊『前進』04頁(2909号03面04)(2018/01/22)


米韓空軍が空前の演習
 〝一日で北朝鮮壊滅〟のシナリオ発覚
 朝鮮戦争を阻止しよう

(写真 米空軍のF22戦闘機。ステルス性が高く発見されにくい)

(写真 米空軍のF35B戦闘機。写真は垂直離着陸の訓練中)


 昨年12月4〜8日、米韓空軍の史上最大規模の合同軍事演習「ビジラント・エース」が行われた。この中で、〝米韓軍が北朝鮮に対して先制攻撃を行い、反撃を許さずわずか一日で北朝鮮軍を壊滅させる〟とのシナリオを描いていることが明らかになった。この残虐な戦争をなんとしても止めなくてはならない。

軍事力の圧倒的な差見せつける

 ビジラント・エースには米韓両軍1万2千人参加、航空機230機が出動と当初発表されたが、11月末に北朝鮮がミサイル「火星15号」を発射したことを受け260機に増強された。
 米軍の最新鋭ステルス戦闘機(レーダーで補足されない「見えない戦闘機」)、電子戦機、戦略爆撃機などが空前の規模で投入された。これらの機を軍事境界線のギリギリまで飛ばし、北朝鮮の移動発射台や長距離砲への爆撃、海上から侵入する特殊部隊の遮断、空中戦などの演習が行われた。また北朝鮮からのミサイル発射の兆候をつかんで迅速に攻撃し、さらに南北軍事境界線付近に集中配備される野砲やロケット砲を破壊するなどの手順も確認された。
 まさに明日にも発動可能な作戦をそのままなぞるものとして行われたのだ。
 この中で、米韓両軍が北朝鮮に対し先制攻撃をしかける具体的な「軍事マニュアル」が存在することが明らかになった。それは、米韓軍の一方的攻撃で北朝鮮軍はなすすべもなくわずか一日で壊滅にいたるという内容だ。
 先陣を切るのが3機の電子戦機EA18Gで、電波を発射して北朝鮮のレーダー網を無力化し、さらに対レーダーミサイルで通信基地を破壊する。実際にこの訓練中も北朝鮮のレーダーをかき乱したと言われる。
 通信網を無力化し制空権を奪ったところで、ステルス戦闘機F22、F35A、F35Bが出動。北朝鮮の空軍を相手にもせず、ミサイル基地などの重要ターゲットを次々と精密爆撃する。南北境界の非武装地帯北方に配置された北朝鮮のロケット砲などの陣地も完全にたたく。こうして反撃能力をつぶした上で、ステルス機能のない戦闘機やB1B爆撃機が、主要軍事施設を我が物顔でじゅうたん爆撃するという手順だ。
 多数の戦闘機が展開する上空には、早期警戒管制機E8が飛び、3桁に及ぶ戦闘機・爆撃機をすべて掌握し、適格な攻撃命令を下す。キムジョンウンが要塞化された地下に身を潜めたとしても、通信衛星で動向は補足され、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を搭載したF35Aが「斬首作戦」を実行する。
 北朝鮮軍は誇大な自己宣伝にもかかわらず、特に空軍の立ち遅れた現状では、米軍がもつ電子戦、スピード、攻撃力に太刀打ちできないまま壊滅することが必至だ。戦闘機は1999年にカザフスタンから旧型のミグ21を購入したのを最後に、老朽機の更新が行われていない。燃料不足、パイロット不足、訓練不足が深刻化している。

在日米軍基地が出撃の大拠点に

 ビジラント・エースで米帝はこの軍事力の圧倒的な差を、北朝鮮に対しまざまざと見せつけた。日本の岩国基地からもステルス機F35Bが直接参加し、着陸することなく岩国に帰還した。在日米軍基地が直接に朝鮮侵略戦争の出撃基地として機能したのだ。
 しかしこのことは、米軍による先制攻撃で戦争が「早期終結」するということでは断じてない。過去に空爆だけで終わった戦争は皆無だ。昨年11月、国防総省は議会の質問趣意書への回答で、「北朝鮮を空爆とミサイルで無力化するのは不可能だ。地上軍投入が必要となる」と述べている。
 ベトナムやイラクを超える大量虐殺と泥沼の終わりなき戦争が不可避となる。この戦争を始まる前に止める以外にない!

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