都立病院7千人解雇許すな 小池都政が独法化・民営化策動 全員を非公務員化

週刊『前進』04頁(2911号02面03)(2018/01/29)


都立病院7千人解雇許すな
 小池都政が独法化・民営化策動
 全員を非公務員化


 1月17日、東京都の都立病院経営委員会(委員長、大道久・日本大学教授)は都立8病院すべてを非公務員型の地方独立行政法人化(独法化)する報告案をまとめ、小池都政は検討作業に入った。医師、看護師など7千人の職員を全員解雇して公務員でなくし、外注化と非正規職化、労働条件大改悪を一気に進める、まったく異次元の民営化による医療破壊・都労連破壊との攻防に突入した。

全員を非公務員化

 都立8病院(地図参照)の病床数は5118床、臨時・非常勤職員、委託企業労働者を除く正規職だけで6831人に達する。地方公営企業法の一部適用(民間企業に近い財務諸表の作成)として運営されてきたが、独法化されるなら総計7千人超の労働者が全員解雇され、非公務員として選別採用されることになる。
 不採算とならざるをえない行政的医療が必要なため、現状は毎年約400億円が都の一般会計から繰り入れられている。公立病院として当然のことだ。ところが御用学者や企業経営者、民間病院長、医師会代表などで構成する経営委員会はその赤字を問題にした。〝都立病院は地方公務員法や条例などで組織・定数、人事・賃金や委託契約などの柔軟性が制限されている。別法人にする独法化で自由度を高め、公務員でなくして効率化することで赤字を圧縮するべきだ〟とする報告案をまとめた。

医療崩壊もたらす

 「効率」最優先は医療の崩壊をもたらす。2010年に独法化された神奈川県立病院では、県立がんセンターの重粒子線治療を担う放射線治療科の常勤医6人のうち5人が次々に退職し、存続すら危ぶまれる事態となっている。
 都立病院でも「効率化」と人員削減、非正規職化と民間委託が進んで、過酷な労働条件ゆえに医師が辞めて集まらない状況になっている。現場から「もうこれ以上は無理だ」という声が上がっている。独法化と労組破壊でそれをさらに進めたとき何が起こるかということだ。現場から怒りが噴き出している。
 都当局は07年にも都立病院の独法化を策動したが、反対が強く頓挫した。今回、小池知事は安倍政権の先兵となって「2020改革」を掲げ、戦争・改憲と労働大改悪、東京都丸ごと民営化と都労連破壊に突進しようとしている。しかし動労東京の闘い、都庁レストラン解雇を許さない柿沼闘争、豊洲移転に反対する築地の業者・労働者の闘いが小池を追い詰めている。

都労連スト復権を

 1月22日の内閣官房と東京都、文京区によるミサイル避難訓練=戦争訓練に怒りがたたきつけられ、全世界で報道された。
 「効率化」と称する公営事業破壊は許されない。「選択と集中」を掲げるJRの第3の分割・民営化攻撃に対し、現場労働者、地方線切り捨てに怒る住民が動労千葉―動労総連合を結集軸に立ち上がっている。国鉄闘争と都労連を先頭とする100万人支援陣形が「連合の完成」=産業報国会化と改憲を阻んできた。ストで闘う都労連の再生をかけて総決起しよう。

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非公務員型の地方独立行政法人 「公共性の高い事業を効率的に行う」と称して自治体から分離・独立して運営する。交通、水道、病院、大学、福祉施設などが対象。職員は公務員ではなくなる。04年創設。

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都立病院経営委員会が都立8病院の独法化を提言
 2018年1月17日
◆現状
・効率化を進めたが地方公営企業法に基づき赤字の年400億円を一般会計から繰り入れている
・人事給与、委託契約などは地方公務員法や条例で縛られている
◆非公務員型地方独立行政法人
・独自に病院の実情にあう柔軟な人員配置、経営状況や職員の業務実績を反映させた給与体系、多様な雇用形態が可能となる
・現職員は法人職員となり、公務員の身分を喪失する

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