関合労弾圧裁判が結審 神戸地裁 3組合員、圧巻の意見陳述

週刊『前進』04頁(2913号04面03)(2018/02/05)


関合労弾圧裁判が結審
 神戸地裁 3組合員、圧巻の意見陳述


 17年は冒頭から共謀罪の先取り弾圧が激化した。関西での最初の攻防は3月の関西合同労組春闘行動弾圧だった。その第4回公判が1月22日、神戸地裁(第1刑事部・芦高源裁判長)で開かれ、論告求刑と最終弁論・意見陳述が行われた。

求刑は「罰金10万円」

 検察官の論告求刑は「建造物侵入」をでっち上げられた3組合員にそれぞれ「罰金10万円を払え」というものだった。検察官は初めから山本美知子さん宅を捜索した際の破壊行為の弁明に終始し、「春闘行動も代わりの者が静かに(かねひろ運輸の)ポストに投函すればいいではないか」などと防戦一方だった。
 「罰金10万円」とは略式起訴程度の事案だ。異常な捜査、大量の押収差し押さえ、勾留による転向強要の違法性を検察自身が認めた。ふざけるな! しかし法廷を国家権力・司法・資本を裁く場にすると宣言してきた通り、半年間の激闘がついに敵の敗北宣言を引き出した。

支部長に「謝罪」強要

 昨年12月21日の第3回公判では、阪神支部の許用皓(ホヨンホ)支部長への尋問で決定的事実が明らかになった。
 許支部長は「公安警察官は捜索する前に謝罪文を私に見せました。弾圧された私が『建造物侵入』したことを謝ってる謝罪文です。二度とそういうことはしませんということを、勝手に作成しているんです。私は当然納得できませんので拒否しました」と証言した。
 警察が勝手に「謝罪文」をねつ造し、捜索時に差し出すとは前代未聞だ。公安警察は許支部長に屈服転向を迫るために来たが、一蹴されると態度が一変したという。転向しないから逮捕・勾留した! ここに今回の弾圧の本質がある。そして破産は明らかである。
 最終弁論で弁護団は以下の4点を主張した。①本件は組合弾圧と資料収集目的の公訴権濫用(らんよう)だ。②労働基本権侵害だ。③違法捜査であり公訴棄却すべきだ。④春闘統一行動の一環であり正当であり、無罪とするべきである。

団結拡大し弾圧粉砕

 最後に3組合員が堂々と最終意見陳述を行った。
 許支部長は、「人間が人間らしく幸せに暮らせる社会を目指して労働運動を学び、動労千葉の路線を学び、分断ではなく労働者の団結こそが権力と資本との闘いに勝利することを確信している。在日としての闘いでは、パククネを打倒した韓国・民主労総との国際連帯を貫いてきた。〝民族・国籍・国境を乗り越えて労働者階級は一つ〟を体現してきた。私は無実であり、裁かれるべきは警察・検察・資本・裁判所である。私たちは弾圧を団結拡大に転化し、勝利したことを宣言する」と断言した。
 山本さんは、「今回の事件は戦争に向かう国家権力・資本による違憲・違法な犯罪だ。労働基本権は戦後革命が強制した。裁判所は労働基本権侵犯をスルーするな。共謀罪は世界でも労働運動に向けられ労働運動の力で粉砕されてきた。今回の弾圧も完全黙秘・非転向と団結拡大で完全に粉砕した」と敵を圧倒した。
 多賀一実さんは、公訴棄却を求める署名が3500筆を超えているとし、「私たちは弾圧を粉砕して勝利者として18年に躍り込んで行く。必ず新自由主義社会をひっくり返す」と意気高く締めくくった。
 3人の接触禁止という保釈制限による組織破壊攻撃を粉砕した。これと一体で12月26日には星野さんを取り戻す会・兵庫を結成。兵庫県党は18年決戦の主体として前面に躍り出ている。戦争と改憲、天皇即位、労働法制改悪という団結の最後的解体攻撃にすでに勝っている。2月26日の判決公判に結集しよう。
(革共同兵庫県委員会)

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▼関西合同労組春闘行動弾圧 関西合同労組阪神支部の許用皓支部長は、かねひろ運輸(兵庫県西宮市)による2000年の解雇に対して解雇撤回・非正規職撤廃を求めて闘ってきた。17年3月7日には春闘行動として、かねひろ運輸に申し入れを行った。兵庫県警は、これを「建造物侵入」だとでっち上げ、5月12日、許支部長と組合員2人を不当逮捕し、6月1日には起訴した。ただちに3人を保釈させたが、互いの接触を禁止する制限が加えられた。

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