常磐線全線開通を阻もう 被曝許さぬ闘いを

週刊『前進』02頁(2914号01面02)(2018/02/08)


常磐線全線開通を阻もう
 被曝許さぬ闘いを


 安倍政権とJR東日本が狙う常磐線全線開通は、高放射能汚染地帯に鉄道を通して被曝と帰還を強制する攻撃だ。動労水戸は被曝労働拒否、常磐線全線開通阻止の闘いに立ち上がっている。この闘いは帰還強制と闘う住民や全国へ避難している人たちを激励している。2・11国鉄集会に大結集し、被曝労働拒否をあらゆる労働組合の闘いに押し上げよう。

帰還困難区域に

 昨年4月1日の浪江、10月21日の富岡延伸に続き、JR東日本は福島第一原発から半径10㌔内の帰還困難区域での営業運転を19年度末までに再開させようとしている。これまでの次元をこえる被曝が強制される。
 1月には帰還困難区域に含まれる富岡町が、夜ノ森駅周辺について19年度末の避難指示解除をめざすと決定した。「駅の利便性を高めることで、住民の帰還を促す」(1月13日付朝日新聞)という。常磐線を開通させても避難指示を解除しなければ乗客が降りられない。だから避難指示を解除するというのだ。何のための避難指示なのか!
 帰還困難区域とは政府ですら「5年間を経過してもなお、年間積算線量が20㍉シーベルトを下らないおそれのある」と規定した地域である。立ち入りが制限され、復旧もままならない。しかも、中間貯蔵施設が住民の反対によって完成しない中で、すでに避難指示が解除されたところの除染で出た放射能汚染廃棄物が町中につくられた仮置き場に置かれたままだ。このようなところに鉄道を走らせ、鉄道を使って被曝と帰還の強制を加速させることを許してはならない。

新駅計画やめよ

 JR東日本はまた、19年4月に全面再開を予定するサッカー施設「Jヴィレッジ」(福島県楢葉町、広野町)の近くに常磐線の新駅を建設しようとしている。Jヴィレッジは97年に福島県での原発増設を計画していた東京電力が県に寄贈した施設だが、原発事故後、事故の対応拠点となった。
 楢葉町は全町が避難指示解除準備区域に設定され、15年9月5日に最も早く避難指示が解除された町だ。政府は楢葉町で帰還強制の突破口を開こうとした。しかしそれは思い通りに進んでいない。避難指示解除から2年以上が経過しても住民は26%しか帰還せず(17年12月1日現在)、そのほとんどがお年寄りだ。昨年3、4月に解除された浪江町、富岡町では帰還率はわずか2%に過ぎない。
 楢葉町の避難者については仮設や借り上げ住宅の無償提供が今年3月末で打ち切られる。だが4月以降の住居が決まっていない世帯は2割にも上る。避難者を切り捨て、帰還か路頭に放り出されるかの選択を迫る暴力的な攻撃に怒りが噴き出している。新駅建設は避難者の怒りを踏みにじり、見せかけだけの「復興」を演出することでしかない。
 重大なことは、この楢葉町で福島県平和フォーラムなどが3月17日に「復興」集会を開くことだ。政府の被曝と帰還の強制に反対せず、労組が総翼賛していいのか。動労水戸・動労千葉・動労福島・動労東京が呼びかける「被曝と帰還を強制する常磐線の全線開通反対署名」をすべての労働組合に持ち込み、真剣な議論を巻き起こそう。動労総連合が軸となり「一人の労働者の被曝も許さない」という労働組合としての本来の闘いをつくり出す時だ。2・11国鉄集会、3・11反原発福島行動に総結集し、常磐線全線開通を阻もう。
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