福島第一原発の危機続く トリチウム汚染水海洋放出狙う規制委員会を許すな!

週刊『前進』04頁(2917号03面03)(2018/02/19)


福島第一原発の危機続く
 トリチウム汚染水海洋放出狙う規制委員会を許すな!

(写真 汚染水タンクで埋め尽くされた福島第一原発の構内。東電は「あと3、4年で敷地がいっぱいになる」と主張している)


 事故から7年目を迎えようとしている福島第一原発の現状は汚染水処理が破綻し、核燃料デブリの取り出しの展望も立っていない。3・11反原発福島行動の成功で殺人的な被曝と帰還の強制攻撃を打ち破ろう。

汚染水処理が破綻行政脅迫する更田

 福島第一原発の事故対策にとって汚染水問題は第一級の課題だ。それが現在、汚染水タンク増設の行き詰まりとして破綻的状況にある。その危機に対して、本来規制すべき立場の原子力規制委員会が、東電が言い出せない汚染水の海洋放出を策動する逆転的な事態になってきている。
 福島第一では、地震でひび割れた建屋に地下水が流入し、原子炉冷却のための「打ち水」と混じり合い高濃度汚染水を日々発生させている。その汚染水を「処理」して貯蔵するタンクには除去装置では取り除けない放射性物質・トリチウム(3重水素)を大量に含む汚染水が蓄えられている。
 汚染水は現在85万㌧あまり。タンクは昨年末時点で841基あり、20年までに約137万㌧を蓄えることができる見込みだが、雨水や地下水の流入などで汚染水は日々100㌧程度増え続けている。汚染水を入れるため、原発の広大な構内は汚染水タンクで埋め尽くされている。
 これに対して、昨年の9月に規制委の委員長に就任した更田(ふけた)豊志は、昨年12月14日から今年1月12日にかけて福島県内計13市町村を訪問し、各首長に「今年中に(汚染水海洋放出の)意思決定ができなければ、新たな困難を迎えることになる」と脅迫じみた発言までして「説得」に回った。これが規制委の委員長が言う言葉か。
 除染基準の大幅緩和問題でも1月17日に先鞭(せんべん)をつけたのは更田だ。
 トリチウム汚染水の海洋放出に対して、福島県漁連は一貫して強く反対している。また昨年12月にロシア外務省が反対を表明した。トリチウムの海洋放出は、太平洋を汚染し、漁業資源に甚大な影響をもたらす。

デブリ取り出しも展望見えず延期へ

 政府と東電が福島第一原発事故収束作業の目玉としている核燃料デブリの取り出しも高線量に阻まれ、いまだに燃料デブリの存在状態を確認できていない。
 そのような中で政府と東電は昨年9月26日、福島第一原発の廃炉工程表を改定し、事故で溶け落ちた1~3号機の核燃料(燃料デブリ)について具体的な工法決定を1年程度先送りし、2019年度とした。
 だがこれも2020年の東京オリンピックまでに燃料デブリの取り出しに着手したというアリバイづくりでしかない。
 労働者の被曝軽減には必須の、原子炉格納容器を水で満たす「水中工法」が不可能なことが判明したにもかかわらず、大量の被曝労働が不可避の「気中工法」で格納容器底のデブリを横側から取り出す方法で検討を進めるという。これは成算のない希望的観測を述べているに過ぎない。

被曝と帰還の強制許さず原発廃炉を

 事故を起こした福島第一原発そのものの危険性は7年近く経ってもまったく軽減されていない。むしろ事態の重大さがますます顕在化してきた。さらに除染ゴミが膨大で処理の見通しが立っていない。除染すれば帰還できるという復興キャンペーンがウソ八百であることが暴露されてきた。
 福島第一原発事故収束の展望はいまだ見えない。だからこそ追い詰められた日帝・国家権力の殺人的な被曝と帰還強制の攻撃が激化し、3・17楢葉集会のように日帝の体制的延命をかけた圧力に屈服・迎合する一連の事態が生じてきている。より根底には没落する米帝トランプの朝鮮侵略戦争・核戦争衝動と、日帝・安倍の改憲・戦争・核武装攻撃があるのだ。
 まさに体制そのものを問題にし、打倒しない限り労働者階級人民は生きられない、福島の現実は突破できないことが日々明らかになってきている。
 今こそ「避難・保養・医療」の原則を掲げ、動労水戸を先頭とする被曝労働拒否の闘いを推し進め、被曝と帰還の強制を許さず全原発廃炉を実現しよう。3・11反原発福島行動に総決起しよう。
(城之崎進)

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