労働者をだまして搾り取る 仮想通貨は新自由主義の極致 〈投稿〉群馬 田島俊昭

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週刊『前進』04頁(2921号04面04)(2018/03/05)


労働者をだまして搾り取る
 仮想通貨は新自由主義の極致
 〈投稿〉群馬 田島俊昭

安倍政権が広めた

 仮想通貨取引所大手コインチェックから「仮想通貨約580億円不正流出」(1月26日)により26万人もの人びとのお金が奪われる大事件が起き、仮想通貨の危うさを全社会に示しました。
 しかし、その後も毎日のようにビットコインへの「投資」がCMであおられています。
 日本で急激に仮想通貨を広めたのは安倍政権で、労働法制大改悪と一体の団結破壊です。有期雇用労働者の「無期転換」を1年後に控えた昨年4月1日に「改正資金決済法」を施行させ世界に先駆けて仮想通貨を位置づけました。
 仮想通貨は、2008年10月31日、インターネット上での「サトシナカモト」名の9ページ論文から始まったとされますが、それはすでにリーマンショックで失敗している金融工学技術の焼き直しで、投機だけが目的の仮構です。
 12年にヨーロッパ中央銀行(ECB)から「仮想通貨報告書」が出されます。その中で、金銭についての歴史と背景が説明され、初期の金銭は日用品貨幣でそれ自身に価値があり、18世紀から現れる貨幣も、その日用品(金銀など)と交換できる裏付けをもっていたことが強調されています。
 貨幣における戦後世界体制は1945年12月に発効した「金1オンスと35㌦を交換する」IMF体制から始まります。担保は、米政府がもつ2万2千㌧の金塊。仮想通貨は価値の裏づけが何もなく、貨幣でも「通貨」でもありません。
 その戦後支配体制も労働者人民の闘いで突き崩され、71年「ニクソンショック」で交換停止、75年ベトナム戦争敗北に至ります。
 そこから出てきた新自由主義は、超金融緩和やマイナス金利などで生き延びていますが、さらに労働や生産の裏づけのない仮想通貨は、労働者民衆をだましお金を巻き上げるだけです。

大手銀行が参入へ

 この強欲さにブルジョアジーが群がっています。三菱UFJ銀行は、すでに独自の仮想通貨「MUFGコイン」発行を決定、みずほや三井住友、ゆうちょ銀行も参入予定です。
 2月5日ニューヨークで、6日には東京証券市場で史上最悪の株暴落が始まっています。奨学金でしぼりとり、職場でしぼりとるために団結を奪い、低賃金の上に賃金を上げないで仮想通貨に幻想を抱かせて、また搾り取る。
 崩壊する新自由主義と資本主義社会を終わりにしましょう。仮想通貨ではなく労働組合に力を集めて、賃金も自由な時間もとりもどそう。
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