雇用・賃金破壊し命まで奪う 安倍「働き方改革」にトドメを

週刊『前進』04頁(2923号02面03)(2018/03/12)


雇用・賃金破壊し命まで奪う
 安倍「働き方改革」にトドメを


 「働き方改革」にトドメをさし、安倍政権打倒へ攻め上る時が来た。政権中枢による裁量労働制に関する労働時間データでっち上げ、森友学園をめぐる財務省文書書き換えが発覚した。うそにうそを重ねて改憲・戦争と労働法制大改悪に突進する安倍への怒りが爆発している。動労総連合先頭に18春闘ストに立とう。

殺された労働者の声聴け

 2月21日、衆院予算委員会の中央公聴会で「全国過労死を考える家族の会」代表世話人の寺西笑子(えみこ)さんは、過労死の実例(表参照)を示し「働き方改革」の断念を訴えた。
 「私たちは大切な家族をある日突然に過労死で亡くしました。社会に蔓延(まんえん)している長時間労働が多くの労働者の命と健康を奪っているということです。夫は会社の利益のために、睡眠時間と家族と過ごす時間、自分の自由な時間を犠牲にして会社に尽くしました。その見返りが過労自死だったのです。夫は死ぬために働いたのではなく、生きるために働きました。夫の無念を思うと悔しくてなりません。今回の働き方改革法案は残業代ゼロ法案です。過労死促進法です」。殺された労働者の無念と遺族の怒りは全労働者の思いだ。安倍はこの叫びを聴こうともしない。
 厚生労働省は、企画業務型裁量労働制が適用されている労働者数を初めて開示した。2016年度は7万4299人(3090事業場)に上り、毎年増え続けている。その企画業務型の違法適用で労働局の特別指導を受けた野村不動産で、50代の労働者が16年9月に自殺し、月180時間超の残業が原因として労災認定されていた。今国会で安倍政権は、「裁量労働制が過労死を招く」との批判に対し、「違法を取り締まった具体例」として野村不動産への特別指導を挙げ、過労自殺の事実を隠したまま、あたかもチェック機能が働いているかのように描いてすり抜けようとした。だが現行制度下でも労働者が殺されているのだ。裁量労働制は撤廃以外にない。
 安倍政権がなお新設を狙う残業代ゼロ制度は「スーパー裁量労働制」と言われる。新制度では、資本は労働時間規制から完全に外れる。4週間のうち最初の4日間休ませれば、残る24日間はどんなに長時間労働になっても違法にならない。裁量制では残業についての労使協定(36協定)や割増賃金が必要だが、残業代ゼロ制度では必要なくなる。「労働者の同意が必要で1075万円以上という年収条件があり交渉力のある労働者にしか適用されない」と政府は説明する。しかし現行の裁量制が示すように、御用組合のもとで団結を破壊された労働者に拒否できる余地などほとんどないと見越しているのだ。絶対反対で闘う労働組合を職場に取り戻そう。

安倍も連合もぶっ飛ばせ

 「働き方改革」法案は粉砕あるのみだ。
 3月1日の参院予算委員会で民進党・大塚耕平代表は、「残業時間の罰則付き上限規制」や「同一労働同一賃金」は「われわれも賛成だ」として、残業代ゼロ制度を関連法案から削れば「審議に応じられる」と表明した。これが野党や連合の基本的立場だ。
 しかし「上限規制」は厚労省も過労死ラインとしてきた月80時間を超える100時間残業を合法化する。「罰則」に何の意味があるというのか。15年に過労自殺に追い込まれた電通労働者、高橋まつりさんの母、幸美さんは17年12月25日、命日に手記を発表。「まつりも長時間労働とパワハラとセクハラの犠牲となりました。安倍総理が働き方改革を成し遂げ、残業の上限規制を月100時間未満にすると約束されましたが、過労死ラインを超える長時間労働を認めることになります。労働時間規制の例外の拡大は絶対にあってはなりません」と訴えている。
 「同一労働同一賃金」は雇用・賃金体系全体に評価制度を導入する。全労働者を分断して誇りを奪い、最低賃金水準に落として労働強化と長時間労働を強い、「解雇自由」の総非正規職化を狙う大攻撃だ。
 労働時間規制撤廃と評価制度導入、非正規職化、団結破壊は一体である。だから安倍は残業代ゼロ制度と「上限規制」、「同一労働同一賃金」、個人事業主拡大を柱とする一括法案にこだわり続けているのだ。
 安倍は「戦争か革命か」の絶体絶命の危機にある。国鉄分割・民営化以来のJR・東労組結託体制は崩壊し、第3の分割・民営化をめぐる大決戦が始まった。戦争・改憲阻止、働き方改革粉砕! 1日8時間の労働で食えるだけの賃金よこせ! 安倍と連合を倒す18春闘ストに立とう。

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2月21日、衆院予算委・中央公聴会で「全国過労死を考える家族の会」代表世話人・寺西笑子さんが示した実例
・1996年/2週間連続勤務、月320~350時間、年4千時間超の勤務で過労自殺した「名ばかり店長」(49歳)=寺西さんの夫
・1999年/月5~8回の当直と32時間連続勤務で過労死した小児科医(44歳)
・2000年/大手電機メーカーがエンジニア(40歳)遺族に投げつけた言葉「お宅の場合は過労死ではない。裁量労働だから」
・2015年/夜1時帰宅、3時就寝、朝6時半起床・出勤で過労死の大手印刷会社社員(27歳)

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