被曝と帰還の強制反対 3・11反原発 郡山集会での発言

週刊『前進』04頁(2925号02面01)(2018/03/19)


被曝と帰還の強制反対
 3・11反原発 郡山集会での発言

(写真 集まった1100人を前に、実行委員長の橋本光一さんが気迫と確信に満ちた主催者あいさつを行った【3月11日 郡山市】)

 3月11日に郡山市で3・11反原発福島行動18が取り組まれ、怒りと感動があふれる集会となりました。集会での発言(要旨)を掲載します。(編集局)

主催者あいさつ

原発事故から7年職場に闘う労組を
 動労福島委員長 橋本光一さん

 3・11から7年、安倍政権は原発事故の事実を消そうと、帰還困難区域を除く地域の除染作業を今月末で終了し、東京オリンピック前に常磐線を全線開通し、「安全・復興」をさらにキャンペーンしようとしています。小児甲状腺がんとがんの疑いの子どもは200人以上なのに検査のうち切りを策動しています。多くの住民が帰還を拒否しているのに、住宅援助金を切って帰還を強制しています。
 一方、3月17日に楢葉町で「県民大集会」が清水修二・福島大学名誉教授らによって呼びかけられ、労働組合などが動員されていますが、帰還と被曝を強制する政策の尻押し集会であり、労働組合として賛同すべきものではありません。
 私たちは昨年4月1日に浪江駅で、10月21日に富岡駅で動労水戸と動労福島が先頭に立って常磐線開通式典粉砕の実力闘争をたたきつけました。さらに「避難・保養・医療」の原則をつらぬく地域拠点としてふくしま共同診療所が存在しています。「被曝と帰還の強制反対署名」は5万筆になろうとしています。
 私たちは職場、地域、労働組合へ、3・11結集と常磐線全線開通反対署名を呼びかけて入り、ある学校で真剣な討論になりました。「被曝はよくない。しかし復興も常磐線も拒否してその先はどうするんだ」と、一人ひとりがもん絶している。これに対して反原発福島行動がひとつの回答であると思います。
 JR東労組から脱退が続出しています。動労福島は「外注化と常磐線全線開通阻止!3・15ストライキ」を会社に通告しました。職場に闘う労働組合を打ち立てましょう。福島から改憲も戦争も止める大きなうねりをつくりましょう。

福島からの訴え

(写真 布施幸彦さん、吉沢正巳さんなどとともに佐藤幸子さんが「福島をなかったことにさせない!」とアピール)

利用者の方が急性心不全で亡くなる
 福島診療所建設委員会代表 佐藤幸子さん

 福島診療所建設委員会はみなさんの募金で運営をさせていただいています。
 私は福祉の仕事、ヘルパーの派遣事業所をやっています。福島の状況はあまりにもひどい。飯舘村の蕨平(わらびだいら)に新たに焼却場ができました。その蕨平から避難されている方のところにヘルパーに入らせていただいています。元の家のすぐ目の前に焼却場があり、そのすぐ前にお墓がある。お墓参りにはそこに行かなければいけない。避難解除はされたけれども誰も戻っていません。
 その方は「0・8㍃シーベルトという数値が表示されたモニタリングポストの前が私の家です。こんなところに誰が帰るんですか。煙が見えている、子どもを遊ばせられるわけないじゃないですか」とおっしゃってました。つい最近、私の利用者のところのお父さまが、急性心不全で亡くなりました。そういうことを報道は絶対にしません。こういう福島の状況を、私たちは弱い立場の人たちと一緒になって声を出していく。そういう活動をこれからも続けていきます。

診療所は県民と共に生き、共に闘う
 ふくしま共同診療所院長 布施幸彦さん

 診療所は開設してから5年間、みなさんのご支援で、診療を含めてさまざまな活動をしてこれました。
 現在、小児甲状腺がんないし疑いは200人を超えています。それなのに「県民健康調査」検討委員会、甲状腺検査評価部会、県立医大は、甲状腺検査を縮小し、自主検査にしようとしています。これに対し、住民は検査を維持するよう県当局に申し入れています。
 大人の甲状腺がんも増えています。診療所は甲状腺検査を維持し大人にも拡充するために、県内各地で大人も含めた甲状腺エコー検査と講演を行っています。
 避難指示が解除されても、多くの住民は帰らない闘いをしています。しかし飯舘村や川俣町山木屋地区では、小中一貫教育と称して学校を元の場所で再開しようとしています。子どもを人質にとって住民を帰還させようとしています。私たちは「被曝と帰還の強制反対署名」で県内の小中学校をまわっています。教職員が学校再開に反対すれば、止められるのです。
 福島県民の闘いは始まっています。診療所は彼らとともに生き、彼らとともに闘っていきます。

安倍政治への怒りを集中しとどめを
 希望の牧場・ふくしま代表 吉沢正巳さん

 浪江町の避難解除がされて1年、戻った人は500人です。町は意味を失い、崩れようとしています。産業も農業も病院も商店街も請戸(うけど)の漁港も、本当を言うと成り立たない。これが現実です。
 僕の牧場には「さようなら浪江町」と掲げています。でも、これをはっきり言うと非常に問題になります。なぜなら役場には「おかえりなさい浪江町」の大きな看板があるからです。
 大勢の浪江町の人が離散してよそに新しい家をつくり、どんどんそこに定着していく。役場の職員の人たちもわかっているのに、「浪江町、5年後に8千人戻す」なんて夢みたいなことを言ってる。現実的に言うべきです。
 オリンピックも無事成功するなんて思えない。アンダーコントロールと言ったあの安倍さんがいまグラグラですよ。私たちは安倍政治への怒りを集中して、実力でとどめを刺す時がきている。その先に原発をのりこえ、新しいエネルギー社会が展望できる。
 チャンス到来です。僕たちが生涯のテーマとして、この戦争と原発の時代に対する闘いをつくり、道をつくり、国民の粘り強い実力の闘いで扉を押し開こう。

孫は甲状腺検査で異常が見つかった
 ふくしま共同診療所利用者

 2011年3月11日の大地震で福島第一原発事故が発生し、放射能をまき散らしたのです。孫は甲状腺検査で異常が見つかりました。ある時、福島駅前でふくしま共同診療所の報告会のチラシをもらい、さっそく会場に走り、孫の甲状腺のことをお話しました。
 孫の甲状腺異常は大きくなっています。これは放射能の影響だと確信しています。公式発表だけで197人が甲状腺がんとされました。そこで国と県は検査を縮小・打ち切ろうとしているのです。私は反対です。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。

これからも保養を続けてください
 保養参加者

 この7年間、福島に寄り添い続けていただき、本当にありがとうございます。
 私は県外に「自主避難」しています。ですが夫が福島に残っており、子どもと会いに戻っていました。
 子どもは福島から帰ると大量の鼻血を出していました。お医者さんには「放射能の影響ではない」と言われましたが、ふくしま共同診療所で甲状腺に異常が見つかりました。それで被曝させていたのではないかと考え、原爆のことを知るためにも、昨年夏、広島の保養にお世話になりました。ありがたく思っています。これからも保養を続けてください。

被曝労働拒否の闘い

常磐線開通反対!署名にすごい反応
 動労水戸委員長 石井真一さん

 動労水戸は動労総連合とともに常磐線全線開通反対の署名運動を開始しました。3月3日、4日と署名運動を展開して、すごい反応が来ています。いわきで「常磐線が通ると便利」と言う女性に「原発の脇を走らせるので労働者も乗客もものすごく被曝します」と話し、熱い討論になりました。昨日も福島の矢祭町で「最近、安倍の顔見たら腹立つ」と家族全員の署名をしてくれました。全国でどんどん展開してほしい。
 JR東労組の瓦解(がかい)が始まっています。JR水戸支社では全員が抜けたという。課長や部長が決裁のはんこを押すのに「脱退しなければ押してやらない」と露骨にやっているらしい。東労組のようにストを通知したら解体していく労働組合ではダメ。ストで闘う動労総連合にチャンスが来ている。「動労水戸に入って闘おう」と職場で訴えて闘っていきます。

自治体職場、街頭で原発反対を訴え
 愛媛県職労委員長 宇都宮理さん

 愛媛県庁前での金曜行動はもうすぐ連続300回を迎えます。毎月11日の伊方原発ゲート前行動は今日も闘われました。
 私たち愛媛県職労は自治体の労働者という立場で、自分たちの自治体職場、街頭で「住民も労働者も被曝してはいけない」と訴え、原発反対の声を上げ続けています。同じく原発近接自治体の京都府職労舞鶴支部とともに闘っています。
 伊方原発は昨年末の広島高裁の決定により9月末までの限定ではありますけれども運転が差し止められています。福島の怒りと被爆地広島の怒り、全国の多くのみなさんの闘いが出させた決定だと思っています。
 核の力に頼り、戦争を起こし、世界に分断を持ち込んでいるのは一部の支配者だけです。私たちの力を結集し、核のない、戦争のない世界を実現しましょう。

再稼働を許さない原発を廃炉にする
 京都府職労舞鶴支部長 長岡達也さん

 政府・関西電力は、3月14日に大飯原発3号機を再稼働すると発表しました。大飯原発再稼働を阻止する、そして高浜原発をとめるために闘っていきます。
 3月6日に当局交渉を行いました。自治体当局は、原子力防災について事故の対応マニュアル、職員の動員体制なども策定できていない、今後いつできるかも答えられないという回答です。私たちの被曝労働拒否の闘いが、事故のときに職員を動員する計画づくりを阻んでいます。それなのに当局は再稼働の強行を許している。住民を守るためには再稼働を許さない、原発を廃炉にする、その唯一の道を闘っていきたい。
 戦争反対や原発反対は自治体労働者の責務です。この闘いを押しつぶそうとする自治体当局と徹底的に対決して必ず勝利します。

集会宣言

 あれから7年。原発事故を「なかったこと」になどさせてたまるか。あの悲しみ、あの無念、この苦悩、この怒りを、なかったことにすることなど、できるわけがないし、させるわけにはいかない。
 あらゆるものを奪われたが、だからこそ労働者人民が、生き抜くために団結して闘う原点に立った日、それが「3・11」だ。
 いっさいの責任は国と東電にある。闘う相手を間違え、避難者や保養参加者を攻撃することは、「しあわせ」のためではなく、「復興」という名の被曝強制と福島切り捨てへの加担でしかない。それは、核との共存を認めることであり、福島から核武装と核戦争への道を許すものだ。
 原発事故への反省のかけらもなく再稼働をすすめ、トランプと一体で改憲と核戦争へ突き進む安倍政権を、福島の怒りでいまこそ倒そう!
 避難者は帰還を拒み、「闘う相手は国家権力」と言い切って立ち上がっている。「何も解決していない」と必死の思いで続けられる保養は闘いだ。200人を超える小児甲状腺がんの発症にうろたえ、「過剰診断だ」、「強制的で人権侵害だ」と検査の打ち切りをわめく御用学者に負けるわけにはいかない。「避難・保養・医療」の原則をかかげ、福島圧殺攻撃の矢面に立って6年目を迎えた住民の拠り所、ふくしま共同診療所を守り抜こう。
 「住民も労働者も被ばくしてはならない」と被曝労働拒否で闘う動労水戸の闘いは、JR常磐線全線開通と帰還の強制を阻み、住民の希望となっている。民営化、外注化と絶対反対で闘ってきた動労千葉とともに、ウソとペテンの安倍政権の「復興五輪」も改憲プランもゆさぶっている。非正規職化と地方切り捨て、新自由主義のトップランナーJR体制の崩壊と大再編が始まった。新自由主義の究極の姿である福島の現実に対し、労働組合を先頭に総反乱に立ち上がり、青年の未来を奪い返そう。3・15動労福島ストライキは、その突破口だ。
 国際連帯の力で、始まる前に戦争を止めよう。原発も戦争も無い社会の実現に向けて団結して闘おう!
 3・11反原発福島行動18参加者一同

このエントリーをはてなブックマークに追加