JR分社化攻撃に東労組が屈服 動労総連合とともにストで反撃を

週刊『前進』04頁(2927号02面01)(2018/03/26)


JR分社化攻撃に東労組が屈服
 動労総連合とともにストで反撃を


 4万3600人だったJR東労組から、すでに2万人が脱退したと言われている。JR資本の東労組解体への踏み切りは、第3の分割・民営化攻撃の本格的な始まりだ。JRは鉄道業務を何百もの子会社に分社化し、そこへの転籍を労働者に強いようとしている。これを公然と表明したものが、東労組に対しJR東日本が突きつけた6項目だ。第3の分割・民営化攻撃粉砕へ、ストライキを構え闘う動労総連合に結集しよう。

組織破壊に抵抗しないと誓う

 JR東日本は2月26日、東労組に労使共同宣言の失効=破棄を通告した。これに続き3月9日、JR資本は〝業務改革と生産性向上施策の実行に向け、スピード感を持って対応すること〟などの6項目を東労組に突きつけた(表参照)。
 資本の姿勢はきわめて居丈高だ。会社幹部の指示のもと、労組に所属していれば不利益に扱うという恫喝で組合脱退を強いることは不当労働行為そのものだ。だが資本は、「『不当労働行為』といった事実と異なる喧伝(けんでん)をやめること」と東労組に迫った。
 これに対し東労組は、「(効率化)施策に向き合う。時間軸も意識している」と全面屈服を表明した。〝脱退者を引き止めるな。職場規律の厳正を下部機関に徹底しろ〟という要求にも「直す必要があれば対応する」と応じた。資本の組織解体攻撃に、一切抵抗しないと誓ったのだ。
 JRが示した6項目は、単に東労組に対してだけ向けられたものではない。JRの全労働者に、第3の分割・民営化攻撃を強行すると突きつけてきたのだ。東労組は、これを受け入れ、組織崩壊を自ら促進する形で、第3の分割・民営化攻撃の最悪の手先としての役割を果たしている。

東労組解体と並行し大合理化

 JR資本は東労組解体とともに大合理化提案を矢継ぎ早に打ち出した。東労組の解体と分社化攻撃は、同時並行で進んでいる。
 JR東日本は3月、「保線部門におけるメンテナンス体制の最適化」と題する大合理化案を提案した。そこでJRは、「線路設備モニタリング装置」を活用することで、徒歩による線路巡回の頻度を減らすとしている。IT機器で線路の状態を監視すれば、労働者が自らの目で線路を検査する必要はないというのだ。ローカル線では、これまでJRがやっていた線路の検査業務を外注化し、線路の修繕が必要かどうかの判断も外注先に丸投げする。
 こうした合理化は、保線だけにとどまらない。今年1月、JR東日本会長の清野智は、社内報『JRひがし』で、AI(人工知能)を活用した「状態基準保全」をさらに拡大すると言い放った。何カ月に1度、または列車走行何キロごとに1度という形で周期的に行われていた検査を廃止し、IT機器が「壊れた」「壊れそうだ」と判断したところだけを修繕すればいいということだ。
 だが、こうしたIT依存の危険性は、昨年12月11日の新幹線の台車亀裂事故で明白になった。事故を起こした博多発東京行きの新幹線「のぞみ」の車両は、その直前に東京発博多行き「のぞみ」として運行されたが、その際、JR東海は赤外線センサーで台車の温度上昇を検知していた。にもかかわらず、JR東海は何の対策もとらなかった。
 この現実を前にしてなお、JRはメンテナンス業務の外注化・分社化に突き進んでいる。これは、乗客を安全に輸送する仕事への労働者の誇りを徹底的に踏みにじらなければ、貫徹できない。
 だからJRは、カクマルが執行部を握るファシスト的な御用労組であっても、労組である限りその存在を許さないとして、東労組解体に踏み込んできたのだ。

職場に闘う労組を取り戻そう

 不当労働行為を公然と行いつつ〝不当労働行為と騒ぐな〟と叫ぶJRの6項目は、改憲攻撃そのものだ。労働者の団結権保障は、戦争放棄・戦力不保持と並び憲法の根幹をなしている。
 労使共同宣言の破棄に先立つ2月22日、JR東日本社長の冨田哲郎が首相官邸に赴き、東労組解体への決意を示したと報じられている。東労組解体は、国家権力中枢の意思に基づくものだ。安倍は、資本の意思ひとつで御用労組など解体できるという実例を示すことにより連合幹部を震え上がらせ、連合の改憲勢力化=産業報国会化を一挙に進めようとしているのだ。
 だがそれは、資本や権力にとっても危うい賭けだ。直ちに問題になるのは36協定だ。現在、JR東日本が東労組と結んでいる36協定は、4月末に切れる。もはや東労組が「労働者の過半数を代表する」とは言えない以上、資本は純然たる会社派組合か、会社指名の「労働者代表」なるものをでっち上げるしかない。だが、それは労働者にはなんの説得力も持たない。職場で怒り、不満、疑問が渦巻くことは避けられない。
 JRが乗務員詰め所や休憩室に監視カメラを設置し、労働者の言動をこと細かくチェックし始めたのは、そうした反乱を抑え込むためだ。だがそれは逆に労働者の怒りに火をつける。この中に動労総連合を拡大するチャンスがある。
 動労総連合は反合理化・運転保安闘争を闘い、外注化・非正規職化と真正面から対決し、CTS(千葉鉄道サービス)の非正規労働者と団結して超低賃金と過酷な労働条件を覆すために闘っている。ローカル線の切り捨てに地域住民と結んで反撃し、被曝労働拒否・常磐線全線開通阻止の闘いを貫いている。JRと関連会社の労働者は、第3の分割・民営化攻撃粉砕へ、ストライキを構えて闘う動労総連合に結集しよう。

JR東日本が東労組に突きつけた6項目
JR資本の要求 東労組の対応
①労働組合の権利に介入することは出来ないが、紛争状態の根源的解消を図り、労働協約に則り、労使間の諸問題は速やかに団体交渉における話し合いにより解決すること 紛争状態は解決しスト権は消滅した
②業務改革と生産性向上のための各種施策の確実な実行に向け、時間軸を意識してスピード感を持って対応すること 施策に向き合い、時間軸も意識している
③この間、36協定の短期での締結が、現場を疲弊させ現場管理者に不要な苦労をかけ、社員に不安を与えていることを認識し、36協定を安定的に締結すること 安定的な協定については考えている
④My Projectなど、職場における業務改善や自己啓発を尊重すること 尊重してきている。本人のやる気を止めない
⑤脱退した社員等に対する嫌がらせや残留強要、業務上での非協力の教唆といった行為を行わず、職場規律の厳正に関して、組織として指導すること 直す必要があれば対応する
⑥「不当労働行為」といった事実と異なる喧伝をやめること 話し合いで解決する
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