改憲阻止の大運動を 「自衛隊」明記は9条破壊だ 「戦争する国」への大転換許すな

週刊『前進』04頁(2929号03面01)(2018/04/02)


改憲阻止の大運動を
 「自衛隊」明記は9条破壊だ
 「戦争する国」への大転換許すな

(写真 自民党大会会場のグランドプリンスホテル新高輪に向け、「安倍は監獄へ行け」と怒りのコールをたたき付けた【3月25日】)

 3月25日の自民党大会で自民党憲法改正推進本部(本部長・細田博之)は、第9条に自衛隊を明記し、緊急事態条項を新たに導入するなどの「改憲4項目」を報告した。安倍は森友学園疑獄をめぐる広範な怒りの爆発に追い詰められながらも、あくまで改憲を強行しようと狙い、党大会でも改憲を前面に押し出した。

無制限の武力行使が可能に

 党大会に先立つ22日、自民党憲法改正推進本部は、党内の意見集約が一向にまとまらない中で、本部長・細田に条文案の作成を一任することを半ば強引に決定した。これを受けて細田は、安倍が昨年5月に発表した「1項、2項を残して自衛隊を明記する」との案に沿って改憲案をまとめ、党大会で報告した。
 その内容は、9条1項、2項に続いて「9条の2」を新設し、「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として……自衛隊を保持する」と明記するというものだ。
 これは結論から言って、「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権否認」を定めた現行憲法9条を完全に死文化するものであり、「二度と戦争をしない」ことを前提に成り立つ戦後憲法の全体系を転覆するものである。「戦争する国」へ大転換するための憲法破壊そのものだ。
 特に重大なのは、「9条の2」の冒頭に「前条の規定は……自衛の措置をとることを妨げず」として、9条1項、2項の規定を無効化する文言を入れたことだ。この条文では「戦争」は憲法違反となるが、「自衛の措置」と銘打てばどんな武力行使も合憲となる。
 さらに、これまでの改憲案で書かれていた「自衛のための必要最小限度の実力組織」という自衛隊の規定から、「必要最小限度」という文言を抜いたことである。これにより「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つ」という口実のもと、自衛隊の装備、部隊編成、演習、そして実際の武力行使に至るまで際限なく拡大することが可能となるのだ。
 この間、自民党内では、特に安倍と石破茂らとの間で「2項を残すか削除するか」で対立してきたが、改憲をめぐる問題の核心はそんなところにはない。2項を残しても、9条に自衛隊を明記する以上、現行憲法を根底から破壊する条文に必ずなるのである。

「日本版海兵隊」は侵略軍隊

 さらに改憲推進本部は、「緊急事態条項」についても案文を示した。党大会では、争点となっていた「私権制限」はいったん見送り、国会議員の任期延長や国会の議決を経ずに法律に相当する政令を制定できるなどの規定にとどめた。だが自民党内からは「私権制限」を盛り込むよう求める声が噴出している。
 重大なことは、こうした改憲への動きと並行して、自衛隊がとてつもない侵略戦争遂行部隊へ変貌(へんぼう)しようとしていることである。すでに防衛省は、最新鋭ステルス戦闘機F35Bを艦載できるよう護衛艦「いずも」を本格的な空母に改修しようとしている。さらに戦闘機に搭載できる長距離巡航ミサイル導入も検討されている。
 また防衛省は27日、陸上自衛隊の五つの方面隊(北部、東北、東部、中部、西部)を一元的に指揮する「陸上総隊」を新設。同時に陸上総隊の直轄部隊として「水陸機動団」(日本版海兵隊)約2100人を発足させ、相浦(あいのうら)駐屯地(長崎県佐世保市)に配置した。任務は「離島奪還」と言うが、朝鮮半島への上陸作戦をも想定していることは明白だ。
 安倍の支持率急落で改憲への機運が後退したかのような報道もあるが、安倍は危機だからこそ改憲・戦争への衝動をますます強め、戦争突入への準備を急ピッチで進めているのだ。3・25自民党大会「直撃」行動と改憲・戦争阻止大行進inHIBIYAは、こうした戦争・改憲への策動と真正面から対決する画期的な闘いとして大成功した。この運動を大きく広げ、安倍の改憲を打ち砕こう。
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