尼崎事故13年 鉄道の安全を破壊するJR「水平分業」粉砕へ 現地集会に集まろう

週刊『前進』04頁(2931号02面01)(2018/04/09)


尼崎事故13年
 鉄道の安全を破壊するJR「水平分業」粉砕へ
 現地集会に集まろう


 国鉄分割・民営化から31年、JR東日本は東労組を解体するとともに、第3の分割・民営化攻撃に本格的に乗り出してきた。JR西日本でも、昨年12月11日の新幹線台車亀裂事故で、尼崎事故の時とまったく同じ安全崩壊が突き出された。今年の尼崎事故弾劾闘争は、この情勢の中で闘われる重要な闘いだ。

東労組を解体し分社化狙う

 2005年4月25日、福知山線の塚口―尼崎駅間で起きた尼崎事故は、107人の乗員・乗客の命を一瞬のうちに奪った大惨事だった。動労千葉と国鉄闘争全国運動・関西は、この事故を弾劾する闘いを毎年、尼崎現地で続けてきた。
 JR東労組の大崩壊は、JRによる第3の分割・民営化攻撃の始まりだ。それは鉄道業務を数百の子会社に分割し、そこに労働者を転籍させ、低賃金・無権利の非正規職に突き落としていくものだ。JR東日本はこれを「水平分業」と称して一挙に進めようとしている。そのために東労組のような御用労組も一掃し、出向や転籍を資本の意のままに行える体制をつくり出そうとしているのだ。
 そのためにJR東日本は、乗務員詰め所や休憩所に監視カメラを設置し、労働者の言動を逐一チェックし始めた。これは安全を崩壊させる攻撃だ。乗務員は休憩も取れず、疲弊したまま長時間乗務を強制されることになる。尼崎事故当時に問題となった悪名高い「日勤教育」と同じだ。
 だが、労働者がこうした攻撃に沈黙していることなど絶対にない。動労千葉は3月30~31日、千葉検査派出の要員削減提案という安全解体の攻撃に、ストライキで反撃に立った。反合理化・運転保安確立と「水平分業」粉砕へ、決定的な闘いが打ちぬかれたのだ。

尼崎事故時と同じ安全崩壊

 鉄道業務をばらばらに分社化する「水平分業」は、鉄道の安全を全面的に破壊する。一元的な指揮命令系統が崩され、共同作業が解体された時に、事故は起きるのだ。
 昨年12月11日の新幹線台車事故は、亀裂があと3㌢進めば台車が破断し、車両は脱線・転覆・大破して、大惨事になっていた。JR西日本は、異臭や異音などの異常があったのに、新幹線を運転し続けた。
 JR東海によると、新幹線のぞみは東京―新大阪間(552・6㌔)を最速2時間22分で走るが、大部分の列車のダイヤは10分程度の「余裕時間」が上乗せされている。他方、JR西日本が管轄する新大阪―博多間(644㌔)は最速2時間21分で、現役社員は「余裕時分は数分程度だけ。ぎりぎりでやっている」「5分でも遅れていたら取り戻せない。遅れを東海に引き継ぐのには心理的な負担がある」と語っている。
 13年前の尼崎事故でも、スピードアップのために余裕時分をゼロにしていたことが問題になった。JR西日本は「安全は輸送業務の最大の使命である」とした国鉄安全綱領を投げ捨て、「稼ぐ」をスローガンに掲げた。「私鉄に負けるな」と余裕ゼロのダイヤを組み、無謀なダイヤを労働者に強制するために、数十秒でも列車を遅らせたら運転士を「日勤教育」の名でいじめ、さらしものにして痛めつけてきた。
 JR西日本の来島達夫社長は新幹線台車事故についての記者会見で「列車を止めるのは勇気がいる」と述べた。余裕のないダイヤを強制し続けるということだ。絶対に許せない。

JR職場で階級的労働運動の復権を

 東労組が大崩壊する中で、JR連合傘下のJR西労組などの御用労組は「階級的労働運動では組合員は守れない」と叫び始めた。資本にすり寄る以外に道はないと、あからさまに表明しているのだ。
 カクマルが執行部を握る東労組の運動は、そもそも階級的労働運動の対極にあるものだ。カクマルは国鉄分割・民営化の手先となり、20万人の労働者の首切りに手を貸し、200人を自殺に追いやった。当時の首相・中曽根が語ったように、国鉄分割・民営化は国鉄労働運動をつぶして「立派な憲法を安置する」ために強行された。その最悪の先兵がカクマルだ。
 他方、動労千葉は首をかけて国鉄分割・民営化反対のストに立ち、民営化後もJRの外注化攻撃に立ちはだかり続けた。改憲を強行して戦争のできる国家体制をつくるという支配階級のもくろみを根底で阻んできたのは、動労千葉・動労総連合の闘いだ。
 安倍政権とJR資本は、この状態を覆すために、東労組の解体を手始めにすべての労働組合をつぶそうとしている。だが、東労組の崩壊は、JRに闘う労働運動を復権させる好機を生み出している。全国に動労総連合をつくり出してきた力を、今こそ発揮する時だ。
 その先頭に動労総連合青年部が立っている。青年労働者が資本の支配にあまんじることはあり得ない。
 青年の怒りを軸に第3の分割・民営化攻撃を打ち砕き、国鉄分割・民営化体制を転覆しよう。改憲阻止大行進の運動を各地で組織し、戦争・改憲をゼネストと国際連帯で阻止しよう。尼崎事故13カ年弾劾の現地闘争に集まろう。
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