安倍の「働き方改革」にとどめを 「自衛隊」明記は9条の破壊だ オスプレイ配備粉砕

週刊『前進』02頁(2932号01面01)(2018/04/12)


安倍の「働き方改革」にとどめを
 「自衛隊」明記は9条の破壊だ
 オスプレイ配備粉砕


 安倍政権への労働者人民の怒りが、安倍の改憲プランを危機にたたき込んでいます。その中で安倍政権は「働き方改革」関連法案を6日に閣議決定し、国会に提出しました。8時間労働制を解体し「月100時間」の残業まで認める労働基準法改悪や、一部の労働者を労働時間規制から外し残業代すら支払わない「高度プロフェッショナル制」を含む戦後労働法制の解体攻撃であり、改憲・戦争攻撃と一体です。今秋臨時国会で改憲発議、来春国民投票、2020年新憲法施行を狙う安倍を打倒し、「働き方改革」もろとも改憲攻撃をつぶす時です。

「戦争する国」への大転換

 自民党がとりまとめた「改憲4項目」は、憲法第9条に「9条の2」を新設し(別掲)、自衛隊を明記するとともに、緊急事態条項を導入するというものです。現行9条1項、2項に続いて「9条の2」で、「前条の規定は......必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、......内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」と明記しています。これは、憲法9条を根底から破壊することで戦後憲法の全体系を転覆し、「戦争する国」に大転換する攻撃です。
 ❶「9条の2」を新設すれば、後から書いた条文が優先されるので、「戦争放棄・戦力不保持・交戦権否認」を規定した9条1項・2項は完全に無効化されます。「必要な自衛の措置」と銘打てば、いかなる武力行使も、自衛隊の権限拡大も制約なく合憲とされるのです。集団的自衛権行使に踏み込んだ安保・戦争法も合憲化されます。
 ❷憲法の全体から見れば、第1条から第8条までの「天皇」に続いて自衛隊が位置づけられます。基本的人権、国会、内閣、裁判所などよりも先に自衛隊が明記され、明記されていない防衛省よりも憲法上の位置づけが上になります。自衛隊=軍部の、防衛省をも超える権限・権力の拡大、軍事費の一層の増額に道を開くことになります。
 ❸これまでの改憲案で書かれていた「必要最小限度の」という文言も削られました。どんなペテン的文言であれ自衛隊の装備や任務拡大にとっての「制約」や「議論の余地」をなくすということです。
 すでに自衛隊は安保・戦争法のもとで米軍との合同演習や共同作戦を展開しています。米海兵隊を手本にした「日本版海兵隊」発足や、護衛艦「いずも」を空母に改修する構想、敵基地攻撃能力の保有など、改憲を見越した侵略軍隊化を現実に進めています。条文は、より一層の侵略軍隊化をも合憲とするものです。

日報隠しは派兵実態隠し

 「自衛隊は命を張って国を守る。しかし、現行憲法のもとでは『自衛隊は違憲だ』という論争がいつまでも出てくる。そのような状況を終わらせる」。安倍は繰り返しこのように改憲の理由を主張しています。
 自衛隊を憲法に明記する最大の理由は、安倍自身が自衛隊の最高指揮監督者として「命を捨てて国を守れ!」と自衛隊員に命令するためです。労働者人民に戦争で死ぬことを甘受させなければ、戦争を実際に遂行することは不可能だからです。
 実際には、イラクやインド洋、南スーダンに派兵された自衛官の多くは死と隣り合わせの戦闘を経験し、家族も含め深刻な不安やストレスを強制されてきました。自衛隊の日報隠しの核心は、こうした自衛隊派兵の実態が徹底的に隠蔽(いんぺい)されてきたということです。憲法上禁止された戦闘地域に自衛隊が展開されていることを隠し、国会で政府はうその説明をでっち上げ、侵略派兵を拡大し続けたのです。
 この度し難い国家犯罪を開き直り、戦争で死ぬことを労働者人民に強制するために改憲に突き進んでいるのが安倍自民党です。

民衆の命脅かすのは誰か

 「国を守れ」「日本を守れ」は、労働者人民の立場でしょうか? 断じてそうではありません。現に今、私たち労働者人民の生活と生命を破壊しているのは「外国の脅威」ではありません。墜落事故を繰り返す米軍オスプレイが昼夜を問わず沖縄の上空を飛び回る現実、高放射能汚染地帯への帰還と被曝が強制されている福島、過労死と貧困と非正規職拡大の「働き方改革」など、日本の政府・支配階級こそ労働者人民の生活、生命を破壊しています。いったい、この国のどこに守る価値があるのか!
 19年10月以降とされていた米空軍オスプレイの横田基地(東京都)配備が突然前倒しされました。沖縄のみならず全土を朝鮮侵略戦争の出撃基地とするものです。ひとたび事故が起きれば大惨事は不可避です。
 かつての第2次世界大戦では天皇を頂点とする支配階級は、自らの利益のために2千万人のアジアの人民を殺戮(さつりく)し、私たちの先輩労働者たちをむごたらしく犠牲とし、最後は沖縄戦と全国各地の空襲、広島・長崎の原爆にまで行き着いたのです。国家は労働者人民の生命も生活も人生も奪い尽くしました。「この戦争を二度と許してはならない」という決意が込められた憲法9条を破壊させてはならない!
 労働者人民の立場は、戦争をしようとする自国の政府・資本家階級に対して立ち上がり、国境を越えて世界の労働者人民との国際連帯を築くことです。そのために闘う労働組合を職場・地域からつくり上げることが戦争を阻止する最大の力です。「改憲・戦争阻止!大行進」運動を全国に広げ、闘いましょう。

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自民党の9条改憲案 (3月22日)

第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
② 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

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