JR全面分社化粉砕を ストで闘う組合が必要 動労総連合に結集し反撃へ

週刊『前進』04頁(2933号02面01)(2018/04/16)


JR全面分社化粉砕を
 ストで闘う組合が必要
 動労総連合に結集し反撃へ

 JR東日本は東労組を解体すると同時に、第3の分割・民営化攻撃を次々と繰り出している。JRが狙っているのは、鉄道のすべての業務を分社化し、そこに労働者を転籍させることだ。そして、賃金をはじめとした労働条件を徹底的に切り下げようとしている。その行き着く先は、労働者の総非正規職化だ。

JR大再編を叫ぶ新社長

 4月1日にJR東日本の新社長に就任した深澤祐二は、その日に出した「社員の皆さんへ」という掲示で、JRを大再編することを打ち出した。深澤はそこで、「これまで私たちが経験したことのない大きな変化・変革の時代」に入る中で、「ただ『現状に満足し、現状を良しとする』だけでは、JR東日本グループの持続的な発展も、社員・家族の幸福の実現も望めません」「今までの延長線上の発想と取組みだけでは、新しい時代は切り拓(ひら)けない」と叫んでいる。
 そして、「機械化・システム化」「乗務員をはじめ社員の勤務制度の改正」「職場の再編・組織の在り方の検討」「グループ会社の再編をはじめ、JR東日本とグループ会社の役割分担を見直す」などの具体策を並べている。JRはいよいよ、本格的な分社化攻撃に着手してきたのだ。
 JRが東労組の解体に踏み込んだのも、この攻撃を押し通すためだ。資本の側から現状を破壊するためには、東労組のような御用労組もじゃまになったのだ。同時にそれは、戦争・改憲のためにあらゆる労働組合をつぶす攻撃だ。
 東労組の幹部たちは、組織崩壊の責任を互いになすりつけあい、ののしりあう中で、これまで水面下では提案されていながら組合員には隠してきたJRの大合理化施策について、口走っている。それによれば、JRは、分社化・支社再編、別会社の労働組合、4万人体制をめざした生産性向上と効率化、営業職場の業務委託・子会社化、工務職場のCBM(状態基準検査)導入・全面委託、運転・車掌職場のワンマン化・乗務員勤務制度の見直し、1日の乗降客が2千人以下の23線区の輸送モード転換、などを狙っているという。
 深澤新社長の掲示と併せれば、資本がつくり出そうとしている今後のJRのあり方が見えてくる。その内容は、①人員は4万人に削減し、すべての鉄道業務を分社化する、②系統別に見れば、すでにほとんどの業務が外注化されている保線などの設備部門に加えて、駅業務や総合車両センター(工場)の業務も全面外注化する。運転職場では乗務員勤務制度を改悪して乗務員手当も廃止し、やがては運転士や車掌も分社化する、③ローカル線23線区は廃止、④現在の12支社は統合・再編、⑤今ある労働組合はすべて解体し、分社ごとの御用労組を育成する――ということだ。

安全を破壊する大合理化

 JR東日本は、東労組の解体と並行して、分社化に向けた攻撃を次々と仕掛けている。2月以降だけでも、駅業務を請け負う子会社・JESS(JR東日本ステーションサービス)での新人事賃金制度の導入、「メンテナンス体制最適化」と称する保線部門の大合理化、「モニタリング保全体系への移行」という名の車両の検査・修繕部門の大合理化などが矢継ぎ早に打ち出された。
 そこでは、これまでのTBM(時間基準検査)という考え方をやめて、CBM(状態基準検査)に転換することが強調されている。それは、何カ月に1度、列車走行何キロごとに1度という形で周期的に行われていた線路や車両の検査を廃止し、線路や車両の状態を監視するIT機器が「壊れた」「壊れそうだ」と判断したところだけを修繕すればいいというものだ。
 保線合理化の提案は、乗客を乗せて本線を走る列車が、同時に線路の状態を自動監視するので、労働者が自分の目で線路の状態を確認する徒歩巡回の回数は減らしていいという。検修合理化の提案も、山手線に導入された新型車両のE235系は、電車の機器の状態を自ら検知できる装置を積んでいるので、検査の回数を減らせるという。
 鉄道の安全を守ってきた労働者の熟練や技能はもう必要ないというのだ。JRは、労働者を取り替えのきく部品のようにしてしまおうとしている。だが、こうしたIT依存では鉄道の安全は絶対に守れない。

御用労組では闘えない!

 全面的な分社化攻撃と立ち向かうためには、闘う労働組合が必要だ。
 東労組は、幹部たちが組合財産をめぐる醜い抗争にのめりこみ、労働組合としての機能は何ひとつ果たせない。資本の叫ぶ「業務改革」「生産性向上」への協力を当然のことにしている御用組合では、労働者の権利は健康や生命とともに踏みにじられる。
 これに対して動労千葉は、千葉検査派出の要員削減に反対して3月30~31日のストライキを闘いぬいた。それは職場を守るとともに鉄道の安全を守る闘いだった。さらに動労千葉は、JRの子会社のCTS(千葉鉄道サービス)の非正規職労働者に強いられた低賃金の打破へ、春闘後半戦を闘いぬいている。
 JR本体で外注化と対決しているからこそ、外注先での労働条件をめぐる闘いも力あるものになる。こうした闘いを実現しているのは動労千葉・動労総連合だけだ。JRと関連会社のすべての労働者は動労総連合に結集しよう。

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