患者・利用者の選別するな 高槻医療福祉労組がスト 新自由主義経営と全面対決

週刊『前進』02頁(2934号02面04)(2018/04/19)


患者・利用者の選別するな
 高槻医療福祉労組がスト
 新自由主義経営と全面対決


 4月4日、庸愛会富田町病院(大阪府高槻市)で、高槻医療福祉労働組合が始業時から1時間のストライキを闘いました。「命を守るストライキ」として26人が決起し、保安要員に入った組合員もリボンをつけることでともに闘いました。
 植木団地労働組合や大阪北部ユニオン、婦人民主クラブ全国協北摂支部、全国金属機械労組港合同・昌一金属支部も組合旗を持って駆け付け、地域の患者さんも合流してスト集会参加者は60人を超えました。ストに初めて参加した青年は「普段会えない仲間とこうして合流できてよかった」と語りました。集会後、玄関前の「ストライキ決行中」の看板の前で怒りのシュプレヒコールを経営にたたきつけました。(写真)
 一時金が大幅にカットされ、「人員不足」を口実に患者、利用者が選別されて追い出されるという事態を前に、労働組合がどう闘うかが問われました。富田町診療所(富田町病院の前身)は戦前の無産診療運動の流れをくみ、地域医療を先進的に担う病院として地域、全国に債券を呼びかけて建設されました。しかし、2012年の経営危機を転機に新自由主義経営を掲げるコンサルタント会社・日本経営が導入され、定昇や一時金のストップ、食堂の外部委託(労組の反対で阻止)などが推進されました。これに対し労組は、職場で非妥協的に闘いながら16年に指名ストを決行したのです。
 しかし庸愛会は今年、患者、利用者の選別・切り捨てなどを強行するに至りました。労組は「一時金の低額分断回答をやめろ!」のスローガンとともに「患者、利用者の選別絶対反対」を掲げ、指名ストではなく一斉ストを決断。ここには大きな転換がありました。ストを「圧力」に使って有利な労働条件を獲得するという発想ではなく、患者、利用者を切り捨てるような労働を強制し、地域医療を労働者の決起を抑圧するための道具に使う経営と真正面から対決し、職場を労働者の団結の力で動かしていくための「命を守るストライキ」として闘い抜きました。ストに反対する人は「ストの獲得目標があいまい」とスト破りに走りましたが、「患者の選別を許さない」というスローガンなくして地域の労働者を巻き込んだストはできません。これこそ職場の労働者の怒りに応えるスローガンであり、全国の医療福祉労働者への決起の呼びかけであり、戦争と改憲、社会保障解体に突き進む安倍の「働き方改革」と真正面から対決するものでした。
 各部署で一斉に職場放棄する仲間の姿に労働者の団結力が示され、このストを組織した執行委員会―職場委員会を持つ労働組合の力が示されました。これを実現したのは執行部の決断であり、スローガンに凝縮された執行部の路線です。
 今回は庸愛会富田町病院の拠点でのストでしたが、うえだ下田部病院や健康会など他の病院からも「私もストに入りたい」との声が寄せられました。高槻医療福祉労働組合が組織する高槻市の医療・福祉関連4法人全体でストを実現する展望が切り開かれました。

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