マルクス主義を学ぼう(下) レーニン『帝国主義論』『国家と革命』 戦争不可避とする帝国主義 国家機構は階級支配の道具

週刊『前進』04頁(2935号03面02)(2018/04/23)


マルクス主義を学ぼう(下)
 レーニン『帝国主義論』『国家と革命』
 戦争不可避とする帝国主義
 国家機構は階級支配の道具


 マルクス主義者は「戦争」にどういう態度をとるのか? そもそも戦争はなぜ起きるのか? どうやって戦争を止めるのか? 戦争のない社会はつくれるのか? レーニンの著作『帝国主義論』(1916年)、『国家と革命』(1917年)から考えます。

戦争終わらせた17年ロシア革命

 レーニン率いるボルシェヴィキ(ロシア社会民主労働党)とロシア労働者階級は第1次世界大戦渦中の1917年、ロシア帝国主義を打倒し、労働者政府を樹立して戦争を終わらせました。これがロシア革命です。革命の原動力は、戦争への怒りでした。
 第1次大戦では、各国政府が「自衛」を掲げて参戦を正当化しましたが、レーニンのみが、「1914〜18年の戦争が、どちらの側から見ても帝国主義戦争(すなわち、侵略的、略奪的、強盗的な戦争)であり、世界の分けどりのための、植民地や金融資本の『勢力範囲』等々の分割と再分割とのための戦争であった」(『帝国主義論』フランス語版およびドイツ語版への序言)と本質を見抜いていました。逆に、レーニン以外のすべての「社会主義」潮流は、開戦と同時に社会排外主義(言葉では社会主義、行動では排外主義)に転落し、戦争に協力しました。
 帝国主義戦争に内乱(国内戦)を対置し、自国政府を打倒することにのみ展望がある——レーニンは、このことを実践で示したのです。

帝国主義戦争は社会革命の前夜

 戦争(世界戦争)の経済的・政治的要因を明らかにしたのが『帝国主義論』です。
 キーワードは一つに「独占」です。
 「帝国主義とは資本主義の独占的段階である」(第7章)——19世紀末からの重化学工業の発展は、一つの産業を独占するような巨大資本を生み出し、独占資本は国内市場のみならず世界市場も独り占めにします。そのために植民地(勢力圏)や資源も独占的に獲得します。
 「帝国主義とは、独占と金融資本との支配が成立し、資本の輸出が顕著な意義を獲得し、国際トラストによる世界の分割がはじまり、最大の資本主義諸国による地球上の全領土の分割が完了した、というような発展段階における資本主義である」(第7章)ということです。
 「資本主義の基礎のうえでは、一方における生産力の発展および資本の蓄積と、他方における植民地および金融資本の『勢力範囲』の分割とのあいだの不均衡を除去するのに、戦争以外にどのような手段がありうるだろうか?」(第7章)——市場・勢力圏獲得をめぐって戦争が引き起こされます。
 二つに、「生産の社会化」と「死滅しつつある資本主義」です。巨大独占体は社会主義社会の土台となります。「競争は独占に転化する。その結果は、生産の社会化の巨大な前進となる」、しかし「生産は社会的になるが、取得は依然として私的である」(第1章)。
 つまり、独占資本は地球規模の生産を計画的に行うにもかかわらず、利潤はブルジョアジーが専有します。これを粉砕し、生産手段を社会の共有物とすれば、社会主義―共産主義はただちに実現できるし戦争の原因は除去される。帝国主義とは「死滅しつつある資本主義」(第10章)であり、「プロレタリアートの社会革命の前夜」(フランス語版およびドイツ語版への序言)なのです。
 三つに、「寄生性と腐朽化」(第8章)です。帝国主義の超過利潤に買収された日和見主義者が生まれ、戦争賛成の社会排外主義の根拠となります。戦争を止めるためには、こうした連中を打倒しなければならないのです。

国家粉砕は共同社会への出発点

 帝国主義を打倒してどうするのか? 労働者階級は国家権力を掌握して社会を運営できるのか? これに回答を与えたのが、ロシア10月革命直前に執筆された『国家と革命』です。
 「国家」とは何か?  「国家は、階級対立の非和解性の産物であり、その現れである」(第1章)。資本家階級が労働者階級を支配し、「賃金奴隷」に縛りつけるために国家があります。このブルジョア国家(機構)を粉砕し、社会的生産力を共同のものとするのがプロレタリア革命です。資本家の強制的支配をうち破るのが、労働者階級の実力的決起=暴力革命です。そして、労働者階級の国家=プロレタリア独裁を経ることで「階級」そのものが消滅し、「国家も不可避的に消滅」(エンゲルス)します。
 それをマルクスは、「階級と階級対立の存在する古いブルジョア社会のかわりに、一人ひとりの自由な発展が、すべての人びとの自由な発展の条件となるような協力体が登場する」(『共産党宣言』)と表現しました。
 しかし、スターリン主義はこうしたマルクスとレーニンの展望をねじ曲げ、帝国主義世界戦争にくみし、世界の共産主義運動を血の海に沈めてきました。
 ソ連崩壊を経て、21世紀の最末期帝国主義(新自由主義)は再びの世界戦争に乗り出しています。
 あらためて訴えます。青年・学生を先頭にマルクス主義をよみがえらせ、世界革命を実現しよう!
(マルクス主義学生同盟中核派)
このエントリーをはてなブックマークに追加